見出し画像

【読書】『硝子の塔の殺人』知念実希人【2022年本屋大賞ノミネート】


1月20日、2022年本屋大賞ノミネート作品10作品が発表されました。このうち、私が既に読んだことがあるのは2作品、『正欲』(朝井リョウ 著)『六人の嘘つきな大学生』(浅倉秋成 著)でした。



今回は、『硝子の塔の殺人』(知念実希人 著)について書いていきます。作者のミステリ愛に溢れたクローズドサークルものということで、わくわくしながら読みました。


いかにも「吹雪の山荘」もの


ミステリマニアで科学者の神津島は、重大な発表があると言って、自らが住む山奥の「硝子館」に刑事や名探偵、医師、ミステリ作家らを招きました。


雪の中、北アルプスに建つ円錐状の硝子の塔。いかにも「吹雪の山荘」もののような状況の中、事件が発生します。


様々なミステリ作品が登場


神津島は、ミステリ関連のコレクション、通称「神津島コレクション」を硝子館の展望室に保管している、重度のミステリマニアです。硝子館に招かれた名探偵の碧月夜も大のミステリ好き、医師の遊馬もミステリが好きで、九流間先生は本格ミステリ作家です。この本では、このような環境の中、様々な有名ミステリ作品が登場します。


名探偵の碧月夜は、推理すると言いながらすぐに話が脱線し、ミステリ談義を始めてしまうのですが、その中身も興味深いのです。


アガサ・クリスティー、コナン・ドイル、エラリー・クイーン。綾辻行人。その他にもたくさんの作家、作品の名前があがり、「読んだことある」と嬉しくなったり、「読んでみたいと思っていた作品だ」と次の読書に繋がる発見があったり、楽しく読みました


違和感やヒントが繋がる


読み進めていくうちにどこか覚える違和感、提示されるヒントが繋がる、最後が圧巻でした。


これで解決するのかな、いやでもまだ何かあるはず、というところからラストまで、先を急ぐ気持ちでページを捲り続けました。


登場人物一人ひとりの個性も魅力的で、硝子館の世界に完全に入り込める、素敵な作品でした。



ミステリ好きの皆さんにぜひおすすめしたい、贅沢な一冊です。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。


💍———✳︎———✳︎———✳︎———✳︎

2022年本屋大賞ノミネート作品の感想はこちら↓


この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?