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セルフ・ロックダウン〜ロードバイク転倒小話

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人生初のロードバイクに挑み、存分に楽しむはずが、転倒による肋骨骨折を経験。 新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛や世界情勢と相俟って、“セルフ・ロックダウン”に陥った顛末記。
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セルフ・ロックダウン〜ロードバイク転倒小話【第3話】

セルフ・ロックダウン〜ロードバイク転倒小話【第3話】

2020年某月某日
「緊急事態宣言」の下で、私はロードバイク転倒による肋骨骨折とともに、
予期せぬ“セルフ・ロックダウンライフ”の幕が上がった。
初体験の肋骨骨折は、これほどまでに自由を失うとは予想だにしなかった。

思えば、何故にロードバイクを欲したのだろう?

私は、自動車免許を有していない。
それは自らの意思として有しておらず、欲したこともなかった。
その性分のせいなのか、物欲に関して言えば

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セルフ・ロックダウン〜ロードバイク転倒小話【第2話】

セルフ・ロックダウン〜ロードバイク転倒小話【第2話】

2020年某月某日
さらに言ってしまえば、ゴールデンウィークの初日の土曜日の重苦しい雲行きが漂う朝、ロードバイク転倒によって、私の体はもはや自由を失っていた。

熱を帯び、時として全身を覆う左脇腹の痛みに耐えながら服を着替えた。
この痛みは放置すれば治る、というレベルではないことは否応もなく自覚した。
が、体以外に目の届く物はさほどダメージはないようだ。
ダウンジャケットの肘の部分が擦り切れていた

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セルフ・ロックダウン〜ロードバイク転倒小話【第1話】

セルフ・ロックダウン〜ロードバイク転倒小話【第1話】

2020年某月某日。
その日は、ゴールデンウィークの初日であった。
が、今年はいつものそれとは異なり、不穏な静寂の中から始まっていた。
世界中がすでに新型コロナウイルスに侵され、
外出自粛やロックダウンという脅迫を受けていたのだ。

いつもの時間に目覚めた。
少し気怠い体も、いつもの通りであった。
毎朝の日課ともなった窓辺からの朝景のスマートフォン撮影もルーティン通りであった。
その作業は、別段S

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