エッセイ : 彼女のいない男たちの楽しいクリスマス

今日から12月、僕が住む街でもショーウィンドウ等にクリスマスの装いが始まっている。
僕の奥さんは絵本を集めるのが趣味で、玄関にその季節に合った絵本を飾っている。
節分には節分の絵本、ハロウィンにはハロウィンの
絵本を飾る。
昨日、家に帰るとクリスマスの絵本が飾られ、
小さなクリスマスツリー等も飾られていた。
女の人はクリスマスイブを一緒に過ごす彼がいないと寂しく思うみたいだが、男はそうでもない。

僕が東京で大学時代を過ごしている時に、札幌から来ていた片桐、宇和島から来ていた松本、福岡から来ていた岡村の3人の親友がいた。
大学2年生のクリスマスイブの時、僕にもこの3人の親友たちにも彼女がいなかった。
僕はこの日、クリスマスイブなのでお惣菜屋さんの鶏の唐揚げとショートケーキを買って来て夕食にしようと思っていた。
ところが3時半頃、片桐から電話があった。

片桐
「鈴原、みんなでクリスマスパーティーやらねえか?」

「いいねえ。」
片桐
「会場は鈴原の部屋でいいか?」

「いいよ。松本と岡村には僕が連絡する。
いつものスーパーの前に集合しよう。」

僕たちはいつも買い物に行くスーパーで、ローストチキンとシャンパンを買った。
これだけでは足りなかった。

片桐
「お前ら、鮭のちゃんちゃん焼き食ったことあるか? 旨えぞ、俺が作っちゃる。」

「僕はご飯物を作るけど何がいいかな?」
松本
「カレーにしようで。」
片桐
「カレーだな。クリスマスだから最後の飯は豪華にカレーにしようぜ。」
岡村
「俺は自分の部屋でサラダを作って持ってくけん。」
松本
「ワイは料理はアカンからクリスマスケーキを買って来る。」

片桐と僕は、僕の部屋で料理を作った。松本がクリスマスケーキを買って来て、岡村がサラダを持って到着し、6時からクリスマスパーティーを始めた。

最初はシャンパンで乾杯したが、途中から日本酒の
熱燗に変えた。
みんな冗談を言い合い、僕がギターを弾き、みんなでクリスマスソングを歌った。
料理を食べ終わると、最後の締めだと言って、
みんなでカレーを食べた。
僕が珈琲を淹れ、クリスマスケーキを食べ、お開きとなった。
誰も、来年のクリスマスイブは彼女と過ごすぞ、
みたいには言わなかった。
ただ楽しく飲んで食べていた。
そして、みんな、じゃあまたな。
と言って帰って行った。

恋人がいない人は、僕たちみたいに、恋人のいない人たちで集まってクリスマスを楽しめばいいと思う
この時のクリスマスイブは、僕の思い出のクリスマスのひとつになっている。






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