家族からの退職物語 2 アメリカ人女性が映画犬神家の一族を見なかった理由 お金を持っている人が天国に行くのはラクダを針の穴に通すよりも難しい(アメリカの諺)

僕はごく普通の日本人同様宗教というものを信じていない。 
結婚式やお宮参り等のおめでたいことは神社に行き
お葬式はお寺にお願いする。

だが、僕は海外営業をした経験から知っているが、
何の宗教も信じていない、というのは世界では日本人位のものだ。アフリカの人たちも森の精霊等を信じている。
ヨーロッパのホテルの部屋には必ずと言っていい位聖書が置いてある。
ハマスがイスラエルの人たちを人質に取った事件があったが、これはイスラエルが旧約聖書の最終章、
イスラエルの民は世紀末になったら神のための第三神殿を建てなさい、という言葉を実行に移そうとしていることをハマスが知ったことが発端だ。
第三神殿を建てる場所はイスラム教の創始者とも言えるムハンマドが瞑想をしていた洞窟のある場所だからだ。今までイスラエルもキリスト教国もこの地は聖地として足を踏み入れなかったのに、イスラエルは視察と称してこの地に足を踏み入れてしまったこれに激怒したハマスが行動を起こした結果だ

ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の3つの宗教争いの1番の原因は、この3つの宗教が全く同じ神様を信じていることにある。
ユダヤ教では神のことをヤハウェ、このスペルを日本語読みするとエホバになる。
キリストの父である神は英語でゴッド。
イスラム教ではアラーだ。よくアラーの神と言う人がいるがアラーとは神様という意味だ。
この3つの宗教は、人間如き卑しき存在が神様に名前をつける等、とんでもないことだ、ということで神様に名前がない。

ユダヤ教は旧約聖書。
キリスト教は旧約聖書と新約聖書。
イスラム教はコーランだが、イスラム教徒は旧約聖書と新約聖書を読んだ後コーランを学ぶ。
神様がムハンマドの前に人間とどんな契約をしたか
勉強するためだ。

この3つの宗教はやり直しが利かない。
仏教の様な輪廻転生という考えがない。今生きている人生が全てで、永遠の天国か地獄に行くしかない 
キリスト教には教会で行われる懺悔というシステムがあるが、イスラム教にはない。彼らがモスクに向かっての祈りのを欠かさないのも、イスラムの教えを破ったら永遠の地獄行きになってしまうからだ。

僕がサラリーマン時代、先輩から興味深い話しを聞いたことがある。
アメリカ人女性が日本に来た時、推理映画が好きなので日本の推理映画が見たいと言った。
そこで皆で如何にも日本の推理映画らしい、映画 
犬神家の一族を見せてあげた。
ところが最初のシーンでその女性は私には理解出来ない、と言って犬神家の一族を見なかったという。
何故か?
犬神家の一族の最初のシーンは犬神家の当主が莫大な遺産を残して亡くなる。その遺産をめぐる骨肉の争いを描いた映画だが・・ 
アメリカには、お金を持っている人が天国に行くのはラクダを針の穴に通すよりも難しい、という諺がある。
つまり、お金を持っている人は死ぬと天国に行けない、ということだ。  
それは、アメリカがキリスト教の国で、キリスト教では持っている者は持たざる物に自分も含め平等に分け与えなくてはならない、そして、全ての人間は平等である、という教えのためだ。
つまり、お金を持っている人は、慈善団体等に全て寄付してお金が全くない状態で亡くなって行く。
また、欧米では、子どもに遺産を残すのは子どものためにならない、という考えがあり、思い出の品を残すだけで、基本的にお金は残さない。
キリスト教の教えで行けば、犬神家の当主は莫大な遺産を残して亡くなった時点で天国には行けない。
つまり、このアメリカ人女性は、この人は天国に行きたくないの?私には理解出来ないわ、となったということだ。

これはユダヤ教もイスラム教も同じ。
どんなに貧しくてもイスラム教徒の人たちがメッカ巡礼が出来るのは、お金を持っている人たちが持っていない人たちにお金を分けてあげるからだ。

日本人は例え宗教を信じなくとも、仏教と日本の神様の勉強位はするべきだと思う。
仏教でも、キリスト教と同じ様な考え方をしている
僕は小学生の時、奉仕活動で地元の大きなお寺の庭掃除を友達をしたことがある。
庭掃除が終わると、そのお寺の御住職様がお礼にと
山菜蕎麦をご馳走してくれた。
その時、御住職様は僕たちにこんな話をしてくれた
「君たち、極楽に行くことは難しいことではありません。皆平等で仲良くしていれば良いのです。例えば君がお饅頭を10個持っていたとします。でも自分以外のお友達4人はお饅頭を持っていません。
全部1人で食べてはいけないのは分かりますね?
他のお友達に1つずつあげて、自分は6個食べるのもいけません。4人のお友達にお饅頭を2個ずつ分けてあげましょう。お饅頭を10個持っていても、
2個しか食べてはいけません。そうすれば死んだ後極楽に行けますからね。」

日本では古事記や日本書紀に登場する神様がいる。
八百万の神だ。
最高位に君臨しているのが天照大御神。
今の天皇家は天照大御神の子孫。
日本の神様は基本的に祟り神で、悪いことをすると
人間に災いをもたらす。キリスト教の神様とは違う 
だから、バチが当たるという考えがある。
この独特な宗教観が日本の犯罪発生率を抑止しているという説まであるみたいだ。
確かに、キリストの教えで行けば、もう自分は天国に行けないとなると、地獄行き決定となる。人生は1回だけだからだ。そうなると自暴自棄になり犯罪にまで手を染めてしまうのかもしれない。

長女の結婚披露パーティーの翌週、僕は駅で高校の同級生と何十年ぶりかで偶然会った。
彼は葬儀の会社で部長になっていた。
僕は彼と食事をしながら、今の時代のお葬式が僕の想像以上に変化していることを教えてもらった。


つづく


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