見出し画像

ボケた人は、周りは大変だが本人はボケて何もわからないから幸せだという話をよく聞く。

そんなことはない!

以前にこんな患者がいた。

久しぶりに来院した患者さん。
診てみるとストレスの反応がいっぱい。
そのことは患者さんには言わずに淡々と治療していく。
すると頭がすっきりしてきたという。

次第に悩みを打ち明ける。
「実はこないだ街に行ったら帰り方がわかんなくなっちゃったのよ。あんなこともあった、こんなこともあった」と話し出す。
薄々自分がボケているのではないかと気づいている様子。

私はボケの診断をする立場ではないので患者さんの不安感を少しでも取り除きながらストレスの反応を取り除いていくということに徹する。
治療すると頭がすっきりするようで何回か続けて来院してきたが、その後ぱったりと来なくなった。
もしかしたら施設にでも入ったのかなぁという気もするが真相はわからない。

ボケてくるということは決して幸せなことではなく、悩みの多いことなのだとつくづく思う。
確かに周りも大変だが、本人はもっと大変なのだろう。
そう思ってボケ始めた人に接してあげなければとあらためて決意する。
その行動の一つひとつが自分の成長でもあるのだから。
いずれは自分の姿でもあるのかなぁと思いながら少々さみしい気もしてしまう。

ただ見ていて思うことは、同じボケているようなお年寄りでもかわいいと感じる人もいればカチンとくる人もいる。やはりその人の元々の性格や価値観というか執着するものなどがあらわれてくるような気がする。
そう考えると、どんなに年をとっても、たとえボケてきたとしても、自分が成長する努力だけはしていたいと思う。
最後の最後までこのおじいちゃんとなら一緒にいてあげたいなぁと思ってもらえるようなお年寄りになれるように。

最後まで読んでいただきありがとうございます。
今日も笑顔あふれる一日をお過ごしください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?