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違うんじゃないか説浮上、呼び名は何でも構わない

長男は学校で色々あっても登校したくないと言ったことは今のところない。例外的に、一度だけ、さすがの長男もひどく落ち込むことがあって、数週間出席を停止したことがあったが、それでも長男がやっぱり友達と会いたくて学校に行くと言って再開した。

親の方が、こんなに色眼鏡で見られて濡れ衣も着せられて、さらにちょっとここでは数年先まで書けないようなことまでされて、もうそんな所には行かなくていい、それに散々な目に合わないように長男自身も行動を変えられないなら学校はリスクでしかないと言っても、友達と遊びたいからと登校は止めなかった。

学校ではその当時相性が悪かった担任とも毎日顔を合わせていたわけで、これをどうやって耐えてるのだい?と訊いたら、絶対に目を見ないようにしていると言っていた。目さえ合わさなければやり過ごせるという技を編み出していたらしい。

ただ冗談ではなく、長男が自身の生命を脅かすような行為までしてこの時の担任に反抗の態度を示したことがあって(長男はそこまでの事にはならないと思っていたに違いないが)、一歩間違うと大事故になりかねないということもあった(このように親にとっては即連絡がほしいような事案は何週間も経ってから話のついでに報告があった)。そんな中で、学校で無事に過ごして生きて帰宅してくれるのかと、心配でしょうがなかった時期もあったのだ。

よくこの状況で学校に行きたいと思えるなと不思議だった。学校の勉強は楽しくないわ、理不尽な思いをするわでギフティッド児なら学校に行きたがらないケースが多そうに思っていた。

そんなことを思い出したりしながら夫と話していた。

夫 :違うんじゃないの?
私 :えっ?
夫 :WISCの結果だって一般的なギフティッドのパターンと違うし。
私 :まぁ・・。でもじゃあ何?
夫 :単なる、問題・・児w
私 :いやいやいやいやいや
夫 :異能だと、もう少し”異なる”って意味合いになるんだろうけど。
私 :ただ異能ってのもイメージは特殊な能力の方にフォーカスされてて、知らない人だと本人も周りも困ってることが多いってのは気づかないよね。だから勘違いもされやすくて余計大変だったり。
夫 :ギフティッドって呼び方じゃない方がいいのかもね。バランスがあまり良くないんだということも伝わるように、アンバランス児とか、ゆがみ児、凸凹児、切れ痔・・
私 :うーん響きがなぁ・・えっ!?

長男はそれでも幼少期を思い出すとやはり教えなくても物事を習得したし、今思うと学習面での進みも早かったと思う。

NHKのニュースで音声とテロップを一致させて漢字は覚えたらしく、5歳の後半の時には新聞見開きを初見で難なく音読した。意味もほぼ分かって読んでいた。6歳になりたての頃、祖父が読んでいたノーベル物理学賞を受賞した中村修二さんの本を長男がすらすらと読んで見せたところ、じーじは「高校生レベルだなぁ・・」と驚いていた。

ニュースはよく見ていて、日銀がマイナス金利を導入したときに反応していたのを覚えている。2016年1月に導入したとあるので、まだまだ幼かった。「お母さん、日銀がマイナス金利を導入したって」と言った。ほう、その意義がわかるのかと思って、私が「マイナスってどういうことだと思う?」と訊いたら、「ゼロより小さい数字」と答えた。ほう。では「マイナス3に2を足したらどうなると思う?」と訊いたら、「マイナス1」と答えた。どうやって考えたのかと訊いたら、「マイナスは穴が掘ってあるイメージ。3個の穴のうち、2つ埋めると、穴が1つ残る」と答えた。なかなか面白いと思った。

こういった会話はたくさんあった。大人も手を伸ばさないような本も没頭して読んでいた。小学生になってちょっとしたら「Precision Medicin時代の肺癌の画像診断」という医学ジャーナルをむさぼるように繰り返し読んでいた。むしろ本を渡していないと何かと手がかかる子だったので、本はどんどん与えていた。すぐ読み終わるのでたまらんと思って、子供向けの本から大人向けの本まで、何でもなるべくシリーズものを借りるようにして、本を毎回探す手間を省くようにしたりもしていた。図書館は無料ではない。税金を払っている。使わないと損だと思って、今もだけど毎週行っている。

長男がギフティッドかどうか、呼び方はこの際重要ではない。親は長男を見ていて感じるものがあるのだ。突出した能力を持つと同時に、苦手なことも持っていて、さらには納得しないとテコでも動かない、もう勘弁してくれと叫びたくなるような忍耐を要する子なのだ。それを試行錯誤で全力でサポートするのみなんだろう。