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【小説】アラサーチー牛が英語を勉強してUKに行く話

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一人のチー牛が元カノのストーカーになってイギリスまで行く話です。 見切り発車で始めてしまいました。不定期更新ですが、完結まで書きます。 この話はフィクションです。
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#6 アラサーチー牛が英語を勉強してUKに行く話

#6 アラサーチー牛が英語を勉強してUKに行く話

あるチー牛のなんでもない平凡な日常は、その一夜にして終わったという。

「きゃああああああ!」

深夜1時、耳をつんざくような叫び声が店内に響き渡った。叫んだ彼女は同窓会の参加者の一人で、彼女の視線の先、そこには、一人の男が憔悴した表情で、一人の女性に向けて鋭利なナイフを突きつけていた。

突如として起こった尋常じゃない事態に周囲は騒然とした。

「な、なにやってるんですか!」

「おい何だソレ、

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#5 アラサーチー牛が英語を勉強してUKに行く話

#5 アラサーチー牛が英語を勉強してUKに行く話

ちょうど私が柳さんと話し始めたタイミングで、窪塚のところにインターン希望の女性が来た。気にはなったが柳から向こうの情報を仕入れるチャンスと思い、ここは窪塚に任せることにした。案内の資料自体は、窪塚が作成したので、おそらくなんとかやってくれるだろう。

「大学卒業されてから、どうしてたんですか?」

「あ、俺、伊賀商事いたんだ。営業とかいろんな部署を回ったよ。ただそこでの仕事はあんまり合わなくって、

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#4 アラサーチー牛が英語を勉強してUKに行く話

#4 アラサーチー牛が英語を勉強してUKに行く話

午後の会社説明会も滞りなく始まった。うちのブースは会社の規模に似合わずそこそこ人気だった。WEBデザインと、自社開発のアプリというのがもしかしたら就活生に刺さるのかもしれないな。年下の先輩が彼らに淀みなく説明をし、僕はそれに合わせてひたすらPageDownを押すだけだ。

ふと一人チャラいやつがいるな、と思った。なんか厚めのカジュアルジャケットを着た茶髪の男がいた。それだけなら別に構いはしないのだ

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#3 アラサーチー牛が英語を勉強してUKに行く話

#3 アラサーチー牛が英語を勉強してUKに行く話

高樹リサは悩みがあった。年上の後輩の窪塚血牛男のことである。彼が入社する前から、私は当時の先輩に怪しい経歴の人間が応募してきたという話を聞いていた。何を隠そう彼は私と同じ高校の出身であったから、彼が入社したときにはなんとなく面倒くさいことになりそうだと思ったものだ。

年は3つ離れていたので、窪塚の方から認知されてはおらず、また彼はシステム部への配属が決まったので、企画営業を担当する自分とは今まで

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#2 アラサーチー牛が英語を勉強してUKに行く話

#2 アラサーチー牛が英語を勉強してUKに行く話

あれから何日か経った。
変わったことといえば、最近少し英語を勉強し始めたことだろうか。何故とは明言できないが、元カノ『咲』が何を考えてイギリスに行ったのか知りたくなったのだ。しかしあのやり取りから連絡が来ることはなく、僕も連絡するほどの用があるわけでもなく、相変わらずうだつの上がらない毎日を過ごしていた。

「はい、えー、株式会社cheeQ、システム開発部兼広報担当、窪塚と申します。今日は当ブース

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#1 アラサーチー牛が英語を勉強してUKに行く話

#1 アラサーチー牛が英語を勉強してUKに行く話

 ここはどこだ?僕は死んだのか?
いや違った。お昼すぎの時間帯が眠すぎて一瞬意識が飛んだだけだった。異世界にでも転生していればよかったのに。

 僕はしがない5年目ITエンジニア。浪人、留年、中退と就活に響くであろうあらゆる地雷を踏み抜き、その果に空白期間(ニート経歴)まで保持している負け犬だ。今は運良く拾ってくれた情報系の会社でエンジニアに転身し、そこで人生大逆転の大成功を収めている...はずも

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