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小説【青くて痛くて脆い】から読み解く【友達】

※トップ画は『青くて痛くて脆い』(住野よるさん著、角川文庫)の表紙より引用。

🔖友達がいないアヤ先生?😭

私に与えられた今月のテーマは「友達」
…友達のいない私にとって、ある意味で最も難題かもしれません😭

🔖『青くて痛くて脆い』

というわけで、リアルな友達について語れることは何もないので小説の話をします💧
この記事で扱うテキストは『青くて痛くて脆い』(住野よるさん著、角川文庫)


住野よるさんと言えば
『君の膵臓をたべたい』でおなじみ、
「青春の痛み」を描かせたら右に出る者はいない(アヤ調べ😝)
作家さんでございます🙇‍♀️

初版は2018年、
2020年6月には待望だった文庫版も出ています。
同年8月には映画も公開されていましたね。

⚠️本記事では、
核心に迫るネタバレは避けておりますが、
ある程度ストーリーにも言及しています。
気になる方は、
原作や映画などをご覧になってから本記事をお読みください。

🔖あらすじ

人に不用意に近づきすぎない、
人の意見に反する意見はできるだけ口にしない、
この2つを信条にしていた大学1年の男子学生である田端楓(たばたかえで)は、
同学年の女子学生である
秋好寿乃(あきよしひさの)に出会います。

授業中に質問という形で堂々と理想論を語る青くて痛い彼女は周囲から浮いていて、
けれど誰よりもまっすぐでした。
ふとしたきっかけから田端楓は秋好寿乃の理想と情熱にふれて、
2人で秘密結社「モアイ」をつくります。

それから3年が経ち、あのとき将来の夢を語り合った秋好はもういません。
そして、田端もモアイとの関わりはなくなっていました。
たった2人の秘密結社だったモアイは、
今ではリーダーのヒロや幹部のテンなどが運営する、
大学の内外で有名な巨大組織になっていました。

理想を追うことを止め、すっかり世俗的になり腐敗しきったモアイ。
すべてを諦めていた田端でしたが、
しかし自らの就職活動をきっかけにして、
あの頃のモアイと自分を取り戻そうと何人かの力を借りながらモアイとの闘いを開始するのです。
果たして田端のこの行動は、どんな結末を迎えるのでしょうか?

🔖これでもかと抉り出される青春の痛さと脆さ

人との距離感を測り損なって傷つけたり傷ついたり、
夢を追うつもりだったのにいつの間にか金か夢かわからない暮らしになっていたり、
そういう経験って誰にもあると思います。

「友達・友情」と聞いて良い想い出を思い出せる方もいれば、
そうではない方もいらっしゃることと拝察します。
そんな青春の痛さと脆さが、
とてもよく描かれています。
タイトルのつけ方も秀逸だと思います。
まさに、青くて痛くて脆い物語です。

🔖見事な構成

この小説は、大学4年生現在、
巨大組織となったモアイと闘うパートがメインで進行していきます。
…が、冒頭や要所要所で回想シーンとして、
かつてのモアイや田端と秋好との交流に関する描写が挟まっています。

この構成が、物語上実に効果的に展開していきます。

主人公は田端なので、基本的には田端の目線や思考で本文は描かれています。

しかし、間に挟まる回想シーン、
そして登場人物のセリフなどでは、
その人物の目線で物事が語られます。

読み進めていくうちに察しの良い読者は、
ちょっとした違和感というか、
「おや?」と思いながら読んでいくことになるでしょう。

読み返してみると、
伏線や態(ワザ)とミスリードを誘うような描写にも気づくことができて、
また違う趣を味わうことができます。

🔖変わるのはいけないことか?「成長」と「正義」

物語の後半、まさにクライマックスで、
ついに田端はモアイの現リーダー、
ヒロと直接対決をすることになります。

ここが最高に青くて痛くて脆い。

一方は変化を「世俗化・腐敗」と捉え、
もう一方は変化を目的の実現に必要な「成長」だと考えている

と私は受け止めました。

私は、
どちらかと言えば「ヒロ」のほうに共感を覚えましたが、
皆さんはいかがだったでしょうか。

いずれにせよ、
人はみな異なる正義感の尺度を持っていると思います。

(『ドラえもん』より引用。
©藤子・F・不二雄先生、小学館)


田端とヒロは、
国家間に擬(なぞら)えるならば「戦争」になってしまいました。
もっと早く対話をして相互理解を促進できていれば、
あるいはもっと違った結末もあり得たのかもしれません。

誰も傷つけたくない、
誰にも傷つけられたくないとただ只管(ひたすら)に願い、
人に不用意に近づきすぎず、
人の意見に反する意見はできるだけ口にしないということを生きる上でのテーマとして心がけてきた田端。
しかしそのことで、
かえって自らが掲げていたテーマに反する結果となってしまう展開は最高に皮肉が利いていて、
まさに「青くて痛くて脆い」以外に言葉が見つかりません。

これは現実世界でも同じかもしれません。
友達のような個人間でも、
あるいは国家間でも。
ときには意見を主張し合うような
対話による相互理解が重要であると考えます。

空気を読み合って衝突を避けて、
表面的に仲良くするために政治の話もできないような友達なら要らないし、そもそもそんなの「友達」ではない!
(個人の意見です🙇‍♀️)

🔖男女間の友情は成立するか?

ここから先は蛇足ながら🐍

住野よるさんという作家は、
ペンネームは女性っぽい感じもありますが、
男性作家です。

このことは作品を、
特に『君の膵臓をたべたい』や『青くて痛くて脆い』を読めばすぐにわかると思います。
チョイチョイ挟まるエロネタや下世話なトーク、
妄想は明らかに男性目線のそれです笑😝

あまりおモテにはならないような男性の、
女性や恋愛に対して抱きがちな妄想や願望
を描かせたら超一流だと思います。
(disってません!褒めてます!💦

その妄想や願望が前面に出ていたのが
恋愛小説である『君の膵臓をたべたい』だとするならば
(「真実か挑戦か」ゲームのくだりとか最高😝💕)、
『青くて痛くて脆い』のほうでは、
隠しテーマとして描かれているという感じを私は持ちました。

ホントかどうかはわかりませんが、
「男女間の友情は成立するか」
という古来からある論題に対し、
女性は肯定的(成立する)、男性は否定的(成立しない)に考える方が多いとか。

この差異が、ときに悲劇を生むことがあります。
つまり、男女の性差こそが「青くて痛くて脆い」事態の一因だった。

そう捉えることもできなくはないように思います。
あなたはどう考えますか?

⚠️言うまでもないことですが、男性だからこう、女性だからこうと決めつけるような時代ではとっくにありません。恋愛観も友情観も個々人で異なるものです。

🔖おわりに 自分らしく生きる

直接間接を問わず、
「友達・友情」が重要なテーマとして設定されている小説は
『青くて痛くて脆い』以外にもたくさんあります。

本書や他の小説をたくさん読めば、
本当の意味で「自分らしく生きる」とはどういうことなのかを考える
絶好の機会になります。
「同調圧力」「空気を読む」ということが
強く言われるようになった昨今の日本において、
ぜひ意識して摂取したいものの一つです。

友達・友情や青春・恋愛だけでなく
人生全般にも通ずる学びを得ることもできるでしょう。
この記事がそのきっかけとなれば私も嬉しいです。

最後までお読みいただき真にありがとうございました🙇‍♀️
今後もがんばりますので励ましのスキ・コメント・フォロー・サポート・おススメ・記事の拡散などしていただけますとめっちゃ嬉しいです。
フォローは100%返します。
またねー!💕


🌹この記事はこちらのイベント参加のために、
過去記事を大幅にリライトしたものです。

🌸🍃この記事の執筆者、Friendship&Book Partnerは、コペル&アヤでした🐣


住野よるさんはこちらも超おススメ!💕


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