めおとへんろのすすめ　～夫（わたし）のへんろエッセイ～

　2023年の9月から10月にかけて、スペイン・サンティアゴ巡礼 フランス人の道を歩いたのですが、実は、出かける直前まで、不整脈の頻発に悩まされる日々が続いていたのでした。

　遡って、出発のおよそ1年前、母親の看取りの最中から動悸や不整脈が出始め、葬儀を終えた2週間後に、冠攣縮性狭心症との診断を受け、以来、心臓への不安と胸の苦しさ、不整脈に悩まされていました。介護の荷下ろし症候群だったのか、色んなことも手につかず、元気もやる気も失せ、仕事もいくつかキャンセルさせてもらいました。思うに、うつに近い状態だったのではないかと思います。

　その後、大きな病院で精密検査を受けて「どうやら狭心症ではなさそうだ、薬も飲まなくてよい」との診断を受け、少しは安心したものの、不整脈はその後も続き、原因をあれこれ突き詰める日々が続きました。

　そんな中、自律神経失調症に関する本にたどり着き、書かれていることと自覚症状がほとんど一致したため、どうやらこれが原因だろうと考え、改善のための習慣や食生活・リラックス方法などを、いろいろ試し始めました。

　それでもなお、なかなか不整脈は収まらず、どうすればこの苦しみから抜け出せるか、分からない状態のまま、スペイン巡礼の旅支度をしていました。果たして800kmの旅に耐えられるのか、途中で行き倒れたりしないか、などと考え、暗澹たる思いに沈むこともしばしばあったのです。

　そうこうしているうちに、出発の日が訪れました。旅立ちの朝、やはり不整脈が出ます。国際線への乗り換えのため宿泊した、羽田空港近接のホテルでも不整脈が出ました。そして翌日、カミさんとともに機上の人となりました。飛行機の中では、一度、胸が苦しくなり、なんとかやり過ごすことができましたが、パリに一泊した翌朝も不整脈が出ました。

　翌日、列車でサン＝ジャン＝ピエ＝ド＝ポーに到着、いよいよ明日からカミーノの始まりです。初日、サン＝ジャン＝ピエ＝ド＝ポーからオリソンまでの急な登り、翌朝、不整脈がまた出ました。

　そして、結論から言いますと、これがほぼ最後の不整脈でした。

　スペインに入り、カミーノを約800km歩き、フィステーラまでバス往復、バルセロナ観光をして出国するまで、スペインでは一度も不整脈が出ることはなかったのです。

　そして、出発前までお酒も控えていたのですが、巡礼の最中は、ワインやビールをふつうに飲む毎日となりました。

思うに…

・毎日、早寝早起き
・毎朝、決まった時間に荷物を整理し、パッキング
・太陽の光や雨を浴びる
・毎日見る風景や街並みが新鮮
・食事時間もわりと規則正しくとる
・当然のことながら毎日運動（歩行）をする
・教会ではちょっと神聖な気分になる
・予定通りに歩き、小さな達成感を積み重ねる
・宿に到着した後のシャワーの爽快感
・食事はだいたいワンパターンで、あれこれ考える余地がなく食べる
・仕事の事はほとんど気にしない（気にしてもどうしようもない）
・赤ワイン中心に適度な飲酒
・他の巡礼者との交流もそこそこ楽しい
・陽気で細かなことを気にしないスペイン人と接する
・テレビは当然スペイン語なので、ほとんど見ない
・インターネット上に溢れる どうでもいい情報に接する時間が激減
・些細なことはどうでもいい、という考え方になってくる
・歩いて疲れているので、ぐっすり眠る

　これらによって、自律神経のバランスが整ったのだと思います。

　スペイン巡礼によって4キロ減った体重と4％下がった体脂肪率は、今はリバウンドして、ほぼ元のレベルに戻りましたが、不整脈についてはリバウンドすることなく、今もまったくと言っていいほど、ほとんど出ていません。
お酒もほどほどではありますが、楽しむことが出来ているのも、気持ちを明るくさせています。

　現在、家族サービス（カミさん向け）や、仕事、ボランティア活動、趣味、勉強などに忙しい日々を送りつつ、こうやってnoteを始め、続けることが出来ているのも、スペイン巡礼のおかげ（ひいては、絶不調だったわたしをスペインくんだり？まで引っ張り出してくれたカミさんのおかげ）と感謝しています。

　（というわけで、来週からは、カミさんのスペイン巡礼日記をアップしてまいります。）