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【レビュー】Arlo Parks / Collapsed In Sunbeams (2021.1.29 発売)
音が漂う雰囲気と、音に潜む言葉の意味を、追いかけて探るうちに気付けばはまっていく。
ビート、ハスキーな声、メロディ、最小限な音飾、ミニマムな雰囲気、すべてがあまりに心地いい。
明るめの、でもどこかに憂いを感じる声と曲の雰囲気は、安定感があるようで何故か心にざわめきが残るような不思議な感覚。
そして、一定のテンションで曲が続いていても、絶妙な間やポエトリーディングによるフックで何度となくハッとさせ
【コラム】2020年 マイベスト40曲
2020年のベスト40曲を選んでみました。洋楽邦楽問わず、そして順不同です。以下、トピックごとにその背景や思いを書いていきたいと思います。
コロナ前なのに
コロナがやってくる前に作られたのに、まるでコロナを予見していたように感じさせる曲が印象に残りました。
”人間だった(羊文学)”が示す行きつく文明化と自然の恐ろしさ、”東京(GEZAN)”が表す社会との対峙とその混沌さ。ただしいずれも、空恐ろ
【レビュー】GOGO PENGUIN /GOGO PENGUIN (2020.6.5 発売)
波の間を通り抜けながら、流暢に歩いているような音
時には大波、または細波。
どんな波も自分たちと共鳴させて、揺らいだ美しい音を生み出しているようだ。
音の抜き差しや音の流れが強く感じられる。
ダイナミズムも随所にあるが、それらは数十秒ほど長い時間をかけてじわじわと盛り上がっていくものだ。
これまでの作品よりも、余裕と威厳が感じられる。大人の余裕というべきか、セルフタイトルをつけるだけあって、
【レビュー】THE NOVEMBERS / At The Beginning (2020年5月発売)
喜でも怒でも哀でも楽でも0でも1でもない思い
巷に溢れる曲の多くは、1曲を通じて1つの感情や思いが表現されるのが普通ではないかと考える。
1つの題材がいくつかの視点で切り取りとられたり、ストーリーに乗って展開されたりする。
例外もあると思うが、THE NOVEMBERSのこれまでの曲の多くも、1曲で1つの題材が表現されてきたと感じる。
しかし、今回のアルバムでは、1曲の中で複数の思いが感じ
【ディスクレビュー】吉田一郎不可触世界 / えぴせし (2020.5.13 発売)
どこか懐かしく、日常を感じる。
猫のこと、コーヒーのこと、おばけのこと。
生活に出てくるキーワードが歌詞には並んでいる。
メロディもキャッチーで、優しい人柄が出ているような落ち着いた声に癒される。
でも、シュールなのだ。
パズルのピースは全部揃っているのに、正確に当てはめていっても、いびつで凸凹なものが完成してしまうような感覚。
1つ1つの単語や文はありふれているのに、まとまりで聴いてみる