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「デビュー作にして遺作 その3」・・・映画監督の魂は消えず


小林豊規監督の初監督映画「静かに燃えて」は、
初めて観る者に驚きを与え、映画的仕掛けがちりばめられた作品で
この映画を観る事が出来た幸運な観客たちからは、好評を得た。

そして、映画好評のうちに公開を終えた。
その直後に、次の上映館(池袋シネマ・ロサ)も決まり、
メイキング映像や次回作のシナリオを書いている最中、それは起こった。

その日、私は小林監督とあるイベントに行く予定で待ち合わせをしていた。
ところが、集合時間を過ぎても一向に現れない。
携帯に電話しても、自宅の固定電話に掛けても出ない。

約束を忘れてすっぽかすような人ではない。
心配になった私は、少し前に名刺交換していた監督の妹さんと連絡を取り
自宅に向かった。

そして自室で冷たくなっている小林監督を見つけたのだった。

生前、彼は、夢をよく口にしていた。

「映画評論家を唸らせ、大衆も巻き込んで、映画の歴史に刻む一本を撮りたい」

日本のみならず、世界の映画界を席巻するはずだった。

次はあんなことをやろう、こんな事もやってみたい、と話していた。

だけど、ありがとう。
小林監督と出会えて、本当に良かった。
それはあなたに出会った多くの人が感じている事だと思う。

「映画監督の死は、肉体の死ではなく、人の心から忘れられる事、
その時に映画監督の魂は死を迎える」

と言った人がいた。誰かの受け売りらしいが、
そんな事は関係ない。

映画監督の魂は生き続ける。
彼の映画は、その感動と共に、多くの人々の心に残り続ける。

ならば、小林監督は死ぬことはない。

お疲れさまでした。そして、ありがとう。

これからも大勢に人に「静かに燃えて」を観てもらうよう、頑張るから。
今は安らかに眠っていてくれ。

          おわり

映画「静かに燃えて」は
3月30日より、池袋シネマ・ロサにて
レイトショー公開。

同時上映
小林豊規監督が中学2年で制作した8mm映画「山小屋生活」
(デジタル化してDCPで上映)






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