人間が自然に護られて生きている

今年の秋、仕事で新千歳空港から東京の羽田空港までのフライトの移動の間に、日本列島を空からずっと眺めていました。

人々が暮らす街を日本の緑豊かな自然が囲んでいます。
人間が自然を護っているのではありません。人間が自然に護られて生かされていることがよくわかります。

欧米人の「自然保護」というのは、人間の傲慢ではないでしょうか…？
そして、日本人は、世界に類のないほど、自然豊かな国に暮らし、日本の自然からこんなにも愛されていることに、気が付くべきだと私は思います。

大災害しか、自然に関心がない日本人

自然は、時に、大災害を引き起こし、人間にとって大変、脅威となることがあります。しかし、今の日本人は、「自然」というものを「大災害」でも起きない限り、日々、意識して暮らしていないように感じます。自然の猛威の方は、大災害が起きれば気が付くけれど、自然によって自分たちが日々、育まれ、生かされていることには「無関心」ではないかと思うのです。

2022年11月11日公開のアニメーション映画『すずめの戸締り』を観てきました。新海誠・監督の作品はとても好きで、『君の名は。』『天気の子』や、それ以前の新海誠・監督の作品も私は大好きです。

ただ、映画『すずめの戸締り』に関しては、『自然』という１つのテーマだけを考えると、私と新海誠・監督は、価値観が真逆なのだなと感じたのです。
映画館に入場の際に、以下の「新海誠本」というパンフレットを配布されたため、映画鑑賞の後に読んだ感想が以下です。

このパンフレットの中のインタビューで、新海誠・監督は、こう述べています。

「（東日本大震災があった）3.11の10日後くらいに、東京で桜が咲いたんですよね。当然ですが、心底驚いた記憶があります。・・・・・自然はどこまでも冷徹で、人間には無関心なんだ、という底知れない怖さを感じました。」と。

3.11ほどの大震災で多くの人が亡くなった直後に、桜の花が咲いた。それを新海誠・監督は、冷徹だと述べているのです。私が新海誠・監督と価値観が異なる点は、私なら、大災害の後に、桜の花すら咲かなかったら…、人間にとって、それは絶望の世界でしかないのではないか？と思うのです。
そして、監督の言うように、自然はどこまでも冷徹で、人間に「無関心」でしょうか？という疑問を持ちました。

私はむしろ、大災害でも起こらないと、いまの人間は、普段、「自然」を全くといって意識しなくなっただけで、日々、私たちが元気に生かされているのは、日本の大自然が在るおかげだと思っています。
「自然に無関心」なのは、むしろ人間の方で、日本の自然は、人間に常に関心をもって愛してくれているのではないかとさえ思うのです。

自然も、人間も〈両義性〉

自然も、自然の一部である人間も、〈善〉も〈悪〉もどちらも備えた存在です。自然も、人間も〈両義性〉であることを私たちは忘れてしまっているように感じています。

上記の記事で書いたように、もし、2021年の日本の「竹林」が、日本人への大切なメッセージを伝えてくれていたとしたら…、自国の自然に、こんなにも愛されているのは、日本人だけかもしれないと私は思うのです。
科学で解明できていないことの方が大半の世界に私たちは暮らしています。それなのに、科学で解明できていないことはすべてオカルト扱いしてしまうことは、あまりに愚かで、哀しいことだと私は感じます。

※精神医学的な病状に関して、以下の書籍で、虐待の後遺症（複雑性PTSD）の典型的な症例としてまとめてあります。精神科医の和田秀樹先生の監修・対談付き。