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病院の日のミスド時間

用事にかこつけて、外でちょっと一息つく時間が好きだ。

月に一度、病院に通っている。
通院の日は、夫と息子を送り出し、小中学生の登校時間が落ち着く頃家を後にする。

バスに揺られて中継地点に着くと、真っ先に向かうのは駅ビルのなかにあるミスドだ。
ほとんどのテナントが10時開店なため、それ以前から開いていて比較的コーヒーがおいしいミスドは、一息つくのにちょうどいい。

頼むのは決まってミスドカフェオレ。暑ければアイスにするが、おかわりを見込んでだいたいはホットにする。
けれど滞在時間の兼ね合いで、たいていはおかわりすることなく店を出る。

朝ごはんが軽ければ好みのドーナツをひとつだけ付ける。
ミスドで昔から好きなのは、黄色のつぶつぶをまとったゴールデンチョコレート。
しかし外では非常に食べづらいため、最近は生クリームの入ったエンゼルフレンチを選ぶことが多い。

お会計を済ませ、店内に視線を巡らせると似たようなひとり客がちらほら目立つ。
コーヒーチェーン店のような喧騒も緊張感もなく、朝の静けさが橙色の照明のもとで漂っている。

幸いどこかしらの席は空いているため、腰を下ろしてまずはカフェオレやドーナツ類を食べる。
エネルギー補給であり、甘いものと飲み物を外で楽しむ、ささやかな癒しの時間だ。

移動のせわしなさが落ち着いたら、ソファの脇に置いたショルダーバッグを開いて、持ち歩きの手帳を取り出す。
しばらくはトラベラーズノートのパスポートサイズを愛用していたが、昨年の晩秋頃からちいさなシステム手帳を持ち歩いている。

KNOXのピアスというシステム手帳だ。
手のひら大のサイズだからこそ、赤い牛革の鮮やかさが似合う。
テーブルに出すと、心の中でちょっと誇らしくなる。

中にメモ代わりの方眼リフィルを入れて、そのとき考えていることをいつでも書けるようにしている。
家でもよく手帳やノートを広げて書きものをしているが、環境が違うと脳が活性化していつもより考えが広がるようだ。
この日はじっくり考えたいことを具体的な行動に置き換えていった。

ほどよい苦みとまろやかさが調和したカフェオレを口に含みながら、手帳に向き合い頭の中を整理する。

30分ほどの大切なひとときのために、病院の日は予約時間までかなりの余裕を持たせて外出する。
足取りは、雪深い日でも心なしか軽い。


※ヘッダーはみんなのフォトギャラリーからお借りしました。ありがとうございます。

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