見出し画像

【思考実験】神の不在証明と詐欺

いくら無神論者だったとしても、窮地に陥ったときや宝くじを買ったときは奇跡を望んで何かしらの神に祈ることがある。一般に神というのは全知全能であり、人間を超越したものであり、概念でもある。しかしながら、全知全能の神に限って存在しないことは論理的に証明することができる。

全知全能を代償にした神は、限りのある物事を作りだすことができないという矛盾を同時に抱え込むことになるのだ。分かりやすくするために、重たい石を例に挙げよう。

全知全能なのだから、どんなに重たい石を作り出すことができるし、どんなに重たい石でも持ち上げられるはずだ。では、その神が持ち上げられない石を作ることはできるのか?と問うた時、そこに矛盾が生じてしまう。そうなると、仮定自体が間違いとなり、全知全能の神など存在しないということが証明できる。

この神の不在証明は詐欺と良く似た論理構造を持っている。詐欺の手法としては、騙したい相手に「必ず儲かるよ」という感じのことを言葉を変えて吹き込んでくるし、ネット上でも「楽して稼ごう!」という見出しの怪しげな広告が散見される。それでは、証明にかかってみよう。

仮に、必ず儲かる方法があり、それを自分が知っていたとしよう。この場合、見返りなしに誰かにその方法を教えることは、いたずらに競合相手を増やし、自分の取り分が減るという大きなリスクを負わなければならない。かといって、そのリスクをひっくり返すほどのメリットなど(教えた対象からむしり取る以外には)存在しない。つまり、そこに論理の矛盾が生じていて、必ず儲かる方法があると仮定したこと自体が間違いだ、ということが証明できるのだ。

そもそもそんな本当かどうかも分からない情報を鵜呑みにするほど馬鹿ではないし、「そんなに儲かって仕方がないんなら、取り分を一部でいいから無条件で寄越しな。それができなけりゃこの話は終わりだよ」と言う風に結論づけられるだろう。

儲かる方法をノーリスクで教えてくる相手は十中八九詐欺であり、それ以外は余程のお人好しか、金持ちの道楽と言ったところだろう。自分にだけ都合が良い話なんてものはなく、「それをすることで誰が一番得をするのか?」と先回りして考えることが、詐欺にひっかからないために必要な論理と言えるかもしれない。

「ためになるわ」と感じて頂ければサポートを頂ければ幸いです。よろしくお願いいたします。