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薄幸の吐息

    細長い自社ビルの3階。
    10階建てのビルとしては、あまり高くない階層。ここが私の職場。
 パソコンをカタカタと叩く音が耳に響く。
 ブラインドの隙間から見える色とりどりのイルミネーションの光が胸の奥をチクリと刺す。
 会いたいって自分から言っときながら、いざ会うとなったら怯えて会う勇気さえない。
 それでいてプライドだけ高くって、絶対に謝らない。
 そんな私はいつも独りぼっちだ。
 別にそんな容姿が悪いと自分でも思ってもいないし、仕事だってきっちりこなしている。
 だけど私には自信がない。
 悔しいほどに、1人で生きる力もない。
 ならいっそ、この体を売ってでも自分の価値を見直してやろうかなんて時々思う。
 そうなったらなったで自分の年齢を今度は気にする。
 30を超えているわけではない。かといって女子大生のような若さもなく、今の私は宙ぶらりんの状態で、何もないままに生きている。
 同僚や上司が「お先~」と言いながらどんどん帰っていく中、私はパソコンの画面とにらみ合い、無意味な文字をただただ打ち続け、少しでも悲しさを紛らわそうとしていて、それがまた自分の惨めさを存分に強めてしまい、口から小さなため息が漏れる。
 クリスマスが近づくにつれ、街の中は急ぎ足になり、多くの光が灯る中、私だけ過去に置いてけぼりで、もうどうしようもなく悲しくなる。
 あの時の彼は今どうしているんだろう。
 私は今どうしようもなくって、1人苦しみながらクリスマスを迎えようとしている。
 職場の暖房がやけに熱く、目の奥がじーんとなって、何とも言えない感情が込み上げてくる。
 パソコンをシャットダウンして、机の上の書類を片していると、不意に背後から声をかけられた。
 部長。
 中年の部長は、ここ最近ヤケに声をかけてくる。
 理由はわからない。
 でもきっとそういうことなんだって感じている。
 以前の私ならそれでもよかった。
 でも今の私は違う。
 ある意味強くなり、弱くなった。
 自分自身を満たせるのは、きっとどこか違う場所にあり、それを追い求めている限り私は私でない何かにはもうなれない。
 だから往く。
 過去の自分を捨て去り、今の自分を強く持って。
 寒空の下、大勢の人が行きかう12月の御堂筋を歩く私は、とても儚く、寂し気に見えたのかな。
 何人かの人に見られ、耐えられなくなった私は裏路地に駆け込み、自販機で温かい飲み物を買って、御堂筋沿いの花壇に腰を掛け、空を見上げた。







あとがき

皆様ご無沙汰しております。
というわけでss書きました。
内容が無いよう。
なーんて言わせたくないけど、この内容じゃ仕方ないですよね。
なんたって今日の通勤中に書き上げたんですから 笑
はい。今回の物語は実に今の時期を象徴した物語です。
皆様この物語の背景、あまり分からないですよね。
そう、だって書いている私にしか分からないような、そんな物語なんですから。
とはいえどうして書いたのか。
別にクリスマスだからとか私に恋人が居ないとかそんなことで書いたわけじゃないんですよ 笑
この小説、実は続きがあります。
というより続きの方が本来の物語であり、このssは序章、つまりエピソード0でしかありません。
この小説の本来のタイトルは、全く別のタイトルなんです。
実はその本来の小説なんですが、なんと今年の梅雨の時期、6月頃に途中まで書いていた短編がベースとなっています。
そう、勘のいい方ならこの時期だけでお分かりかもしれません。
私が足を骨折した時期。
つまりその当時書いていた複数の小説の1つなんですね。
まったく季節感が真逆の真夏の時期に、真冬の物語を書いていたわけです。
というわけで今回は当時書いていた小説の内容を思い出しながら書いたわけですが。
非常にまとまりのない内容となってしまい、申し訳ない。




というわけでこのssの本編にあたる短編、書き上げて近々投稿します。
ここまでじっくり読むと逆に気になりますよね 笑
短編はこんなにも内容が薄いわけじゃありません。
ただこのssは今日という日に間に合うように書いたので、内容の薄さとまとまりの無さにはご了承ください。
少しだけ大人な、少々鬱気味なロマンス短編小説
乞うご期待!



P.S.前回投稿コメントありがとうございます。
宮島さん
いつまでも初々しさを忘れず、ときめきを胸に秘めていたいと思っています
ちっひーの可愛さは今も変わらず、とても偉大だと思っています 笑
これから先もっともっと年齢を重ねていくごとにきっと霞んでくるのでしょうが、それでもいつまでも自分の中の青春を忘れない為に、もしかしたらこうやって文章を書いているのかもしれません(⑅•ᴗ•⑅)◜..°♡

七田さん
お写真撮ってみたいものです!笑
決して日常生活では触れることさえできない存在に夢を見るのがとても好きなのですが、スキャンダルが起こった時はとても大きなダメージを負っています…
骨折は無事治り、今はいっぱい体を動かして走ることも出来るようになりました!
お正月ダイエットも兼ねて、来年はジムに通ってみようかなと思ってます。

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