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「人生のどん底だった私を救ってくれたのは、ハンドボールだった」ハンド観戦好きOL・かずみさんの物語 #ものマガ


誰かの物語が走り出すスポーツのwebマガジン、 #ものマガ

第2回目となる今回は、SNSで噂のハンドボール観戦好きOL、かずみさんにお話を聴かせてもらいました!

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Twitter / Instagram

毎日のように発信をして、ハンドボール愛がビシビシ伝わってくるかずみさん。そんな彼女がハンドボールにハマるきっかけは、人生のどん底で悩んでいたときに偶然観に行った「ある試合」なのだとか。

ハンドボールとの出会い、観戦の醍醐味、日本リーグの見どころからオリンピックへの期待まで。「ハンドボールが世界一好き」と語る彼女の物語を、深掘りしていきます。

〈聞き手:坂 柊貴〉


■きっかけは部活紹介の写真から

ーーはじめに、かずみさん自身のルーツについて聴かせてください!ご出身はどちらなんですか?

愛知県出身です!大学までは愛知県で過ごして、社会人になってから仕事で都内に越してきました。

ーー何かスポーツはしていましたか?

小学校のころは部活でバスケットボールをしていて、習い事で硬式テニスもしていました。あとは、市内の陸上大会には短距離と走り幅跳びで駆り出されていました。中学では硬式テニス部がなかったので軟式テニス部に入って…。思い返せばたくさんやっていますね(笑)。

ーー昔からスポーツが好きだったんですね!ハンドボールの経験は?

ハンドは高校の部活からです。高校では中学とは逆で軟式テニス部がなかったので、何部に入ろうか迷っていました。そんなときに部活紹介のパンフレットを見ていたら、ハンドの写真が一番かっこよくて(笑)。ルールも何もかも知らない状態でしたが、写真がきっかけでハンド部に入ろうと決めました!

ーー写真次第ではハンド部に入らなかったかもしれないんですね(笑)。ちなみにポジションは?

左サイドでした!陸上の経験をいかして、コートサイドをずっと走り回っていました(笑)。

ーーそのころから、今のようにハンドに熱中していたんですか?

いや、全然です。部活を引退してからは一切ハンドとは関わらなくなりました。高校で一旦燃え切った、という感じですね。当時は日本リーグも全く知りませんでした。


■ハンドボールに人生を救われた


ーー部活の引退で関わらなくなったハンドボールですが、再び燃え上がるきっかけは何だったんですか?

大学を卒業して社会人になっても、ハンドとの関わりはありませんでした。それどころか、毎日夜遅くまで仕事をして、休日出勤も多々ありました。プライベートもまったくうまくいかなくて。本当に人生のどん底みたいな日々が続いていたんです。

そんなとき、たまたまFacebookで同僚がJAPAN CUP(※)の告知をシェアしているのを見ました。特に理由はなかったんですけど、なぜか自然と「行こう」という気持ちになりました。ちょうど仕事も休みで、予約していた料理教室をキャンセルして会場に向かいました。その日はどしゃぶりの雨だったのを覚えています。

※2019/6/22(土) 男子日本代表vsスウェーデン代表 @アリーナ立川立飛

ーー悩んでいたときに再びハンドボールと出会って、どう感じましたか?

そのときは代表の選手を誰も知らなくて、そもそもお金を払ってハンドを観戦するのは初めてだったと思います。チケットが現金でしか買えないのも現地で知って、会場の隣のららぽーとでお金をおろしました(笑)。

試合はゴール裏で観戦したのですか、とにかく選手たちがかっこよくて。何もかもうまくいかない日々が続いていたけど、60分間の試合時間で悩みがすべて吹き飛びました。彗星JAPANの選手たちが私の人生を救ってくれたんです。その日から、ハンドボールが世界一好きなスポーツになりました。

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ーー彗星JAPANが希望になってくれたんですね。特に印象に残っている選手はいますか?

徳田選手東江選手土井選手ですね。徳田選手はすごく速くて得点をバンバンとっていて、東江選手はフェイントがキレキレで華やかな選手だと思いました。土井選手は同じポジション(左サイド)というのもあって、注目していました。特に印象に残ったのは3選手ですが、彗星JAPANのみんなが本当にかっこよくて、帰ってからすぐに調べました(笑)。

ーーそこから日本リーグ観戦につながったわけですね。

そうですね!選手の所属チームや日本リーグについて、とにかく調べまくりました(笑)。リーグもすぐに開幕するということで、「絶対行きたい!」と思いましたが、仕事が忙しくてなかなか予定が合わず…。でも、お盆休みで愛知の実家に帰るときがちょうど開催日と被っていて!豊田合成のアリーナへ行ったのが最初の日本リーグ観戦です。普段は都内にいるので、大崎電気のホームの埼玉県に行くことが多いですね。現地に行けないときは、JHLTVに張り付いています(笑)。


■ハンド観戦の醍醐味

ーーかずみさんが好きな現地での観戦スタイルを教えてください!

とにかくコートサイドの、選手たちに近い席で観戦するのが大好きです!身体がぶつかり合う音なんかは、コートに近くないと聞けないので、ハンドボールならではの魅力だと思います。あとコートサイドの席だと、アップ中にボールが飛んできたりするのでドキドキできます(笑)。

ーー試合中にご自身の中で一番興奮するプレーは何ですか?

身体のぶつかり合いや打点の高いジャンプシュートはもちろん盛り上がるプレーだと思うんですけど、私はステップシュートが好きです!DFの間から一瞬の隙をついて突き刺すシュートには「おおっ!」となります!

ーー(目の付け所が渋い…!)ほかのスポーツも観戦するんですか?

ハンド以外のスポーツ観戦も大好きです!特に野球はとく観に行きますね。野球は「飲みに行くがてら」というか、お酒を飲みながらみんなで歌ったり踊ったりするお祭りみたいな雰囲気が好きです。ハンドもそんな雰囲気になってほしいとは思います。あ、でもハンド観戦は酔っぱらうと試合についていけなくなっちゃうので注意ですね(笑)。

④野球観戦_200815

ーー僕もいろんな競技のスポーツ観戦が大好きですが、ハンドの試合会場の「平和な感じ」はとても魅力的だと思います。

ハンドは選手もファンもみんな平和というか、温かいですよね。もちろん選手は試合中にバチバチ戦っているけど、試合が終われば笑顔で挨拶し合っているのが印象的です。ハンドのいいところの一つだと思います。

ーー試合後には選手サイン会があったり、ファンサービスも嬉しいですよね!

私は恥ずかしくてあんまり行かないんですけど…(笑)。でも、一度トヨタ車体の試合を観戦したときに、吉野選手のところにサインをもらいに行ったことがあります。彗星JAPANのユニフォームを持っていったんですけど、「代表とチームどっちの番号がいいですか?」って聞いてくれたり、代表戦の感想を伝えると「あの試合は~…」と話してくれたり、凄く紳士的でした!

⑤ユニ(杉岡選手と吉野選手のサイン)_200815


■今シーズンの注目はポルトガルからの助っ人

ーーコロナでリモートマッチを決めている試合もありますが、今シーズン注目している選手はいますか?

豊田合成に入ったヨアン選手ですね!加入が発表された後すぐに調べて、TwitterとInstagramは速攻でフォローしました(笑)。日本でプレーするのは今シーズンだけみたいなので、なんとしても現地で観たいです。彼には、「日本でプレーできてよかった」と思ってもらえるように、一ファンとして応援したいと思います!

Yoan Balázquez(ヨアン・バラスケツ) Twitter / Instagram

ーーヨアン選手、楽しみですね!チームで注目しているところはありますか?

私は彗星JAPANの選手たちが大好きなので、そういう意味では全チーム注目しています!あとは、ジークスターが日本リーグに来てくれたおかげで、東京で試合が観れるのは本当に嬉しいです。都内だと友達も誘いやすいので、ハンドをあまり知らない友達も誘ったり、いろんな人にハンドを楽しんでもらいたいです!

ーー普段は一人で観戦することが多いんですか?

関東で試合があまりないので一人観戦が多いですが、去年の日本選手権は友達を誘って行きました。ハンド初観戦の子もいたんですけど、一人は大崎電気の土井選手のシュートに凄い感動していて。もう一人は信太選手の後ろ姿に惚れていました(笑)。ハンドにはいろんな魅力があるので、たくさんの人を会場に連れていきたいですね。

⑥日本選手権_200815


■東京オリンピックは絶対に泣く

ーー本当なら東京オリンピック真っ最中な時期(8月7日取材)ですが、一年間の延期が決まりました。

実は男子ハンドボールの予選のチケットが当たっていて、とても楽しみにしていました。チケットは来年に使いまわせるみたいなので、チケットの日が日本戦になることを祈っています(笑)。

ーー僕は女子の3位決定戦が当たりました!会場も代々木体育館なので行きやすいですよね!

この前代々木体育館の前を通ったんですけど、来年のことを想像してうるうるしちゃいました(笑)。

ーー愛が深い…(笑)!ハンドが大好きになるきっかけが彗星JAPANだっただけに、想い入れも大きいんじゃないですか?

私の人生を救ってくれたチームの悲願のオリンピックなので、選手たちが出場している姿を想像するだけでも、感動してしまいます。もし日本戦を生で観戦できたら、絶対に泣く自信があります(笑)。


■たくさんの人にハンドを好きになってもらいたい

ーーかずみさんはSNSでの発信を積極的に行っていますよね。何か理由はあるんですか?

やっぱり、たくさんの人に興味をもってもらって、好きになってほしいという想いはあります。今は一部の人たちがSNSで発信をしていますが、各チームであったり選手の推しはたくさんいると思うので、みんなでハンドを盛り上げていきたいです!

ーー確かに、ファンの発信が多いとは言えないかもしれないですね。

最近は選手やチームも積極的に発信してくれるようになったけど、一人一人のファン自身が発信をすれば、きっとハンドに関心がない人にも興味を持ってもらえるきっかけになるんじゃないかと思います。私が彗星JAPANを観に行ったのも、同僚のFacebookの投稿からだったので!

ーーSNSで発信し始めて、よかったことはありますか?

ハンドファンの方とSNSで仲良くなれたり、ハンド関係の情報をたくさん教えてもらえるようになったことですね。半年前に彗星JAPANがアジア予選が銅メダルを取って、クウェートから日本に帰国する日をある方から教えていただいたので、成田空港までお出迎えに行ったりもしました!

そのときは協会や記者の方、選手の家族などの関係者がほとんどで、ファンは私一人しかいませんでした…。サッカーみたいに、ファンが声を掛け合って空港でお出迎えする、みたいな文化もこれから作っていきたいですね!

代表キャプテン土井選手のパパ・ダニエルさんと


■ハンドボールが世界一好き

ーー最後の質問です。人生のどん底だった一年前、ハンド以外のスポーツを観戦していたら、同じようにそのスポーツに熱中していたと思いますか?

ハンドじゃなかったら、今みたいに発信もしていないし、こんなにハマることもなかったと思います。ハンドの、いつ誰が何をするかわからない、一秒も目を離せない試合展開が、悩みを吹き飛ばしてくれました。毎日仕事に追われていて、家に帰ってもつらかった私の人生を、ハンドが救ってくれたんです。あの日がなかったら、絶対に今みたいな明るい日々は過ごしていないことは間違いありません。

だからこそ、私を救ってくれた彗星JAPANをずっと応援し続けるし、日本リーグの試合もたくさん観に行きたいです。みんなで楽しみながら、世界一好きなハンドボールが、日本でもっと盛り上がってほしいと思います!今シーズンも、早く観に行きたくて仕方ありません!!

ーーファン・選手・チーム・リーグ・協会、みんなで盛り上げていきたいですね!今日はありがとうございました!

ありがとうございました!


■おわりに

「最悪だった人生をスポーツが変えた」という話はテレビのドキュメンタリー番組でしかないと思っていましたが、身近なハンドボールファンの実際の物語を聴いて、改めてスポーツの持つパワーに驚かされました。

今回お話を聴けて、僕自身ももっとハンドボールを多くの人に知ってほしい、好きになってほしいと、改めて思えました。今はコロナで厳しいかもしれませんが、代表チームを空港でお出迎えする文化だったり、みんなが楽しめる文化を、みんなで創っていきたいですね。

かずみさんの今後の発信も、要チェックです!

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