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【孤独】なぜ、「孤独」の感じやすさは人によって違うのか

先日、こんな記事を書きました。

ざっくりまとめると、「孤独感はリアルな痛みと同じくらい危険」という内容。

本記事では、そのような「孤独感」がなぜ生まれてくるのかという内容を取り扱います。

ぜひとも、読んでみてくださいね。

▼「孤独感」を感じやすい人の以外な理由

こんな記事にも書きましたが、人間の特徴として、「同じような状況に陥ったとしても、見方によって捉え方が違ってくる」というものがあります。

それこそ人間の個性的な部分なのですが、コップに入った水に対して、

「まだ、半分も残っている」

と捉える人がいれば、

「もう、半分しかない」

と捉える人もいる。

「孤独感」に関しても同じで、

「社会的なつながりに対する感受性の高い人」、いわゆる「孤独感を感じやすい人」もいれば、社会的なつながりへの要求水準が低い、「孤独感を感じにくい人」がいるのです。

付き合い始めのカップルに見られる「どれだけ一緒にいたいか問題」は、もしかしたら、この「社会的なつながりに対する要求水準」が関係しているのかもしれません。

この捉え方の違いは、些細なものだとしても、このような見方が積もり積もっていくことでその人の生き方に大きな影響を与えることは想像に難くありません。

とすると、「孤独感」の難しさは、「主観的なもの」であるということ。

テーマパークで夜通し盛り上がる大人数の人に囲まれていたとしても、心の中では孤独感を感じている場合すらあるのです。

では、ここからが本題。

「なぜ、そのような捉え方の違いが生まれるのか?」という疑問に対する答えの1つとして、「遺伝子」があげられています。

アムステルダム自由大学のドレット・ボームスマさんは、双子の成長を追いかけることで、「孤独感」が遺伝と関係するのではないかという結論に達しました。

例えば、調査の初期に「孤独感」を感じていた人は、2年後、6年後、さらに10年後も孤独を感じる傾向にあったのです。

さらに、一卵性双生児の一方が「孤独感」を感じている場合、もう一方も孤独を感じているという予測は、約48%の確率で正しかったことが分かりました。

ということは、残りの52%は、遺伝ではなく「環境から受ける影響である」と言えますよね。

ややこしくなったのでまとめると、

「孤独の感じやすさの半分は『遺伝』であり、残りの半分は『環境』から受ける影響である」

と、結論づけられたのです。

▼「孤独感」のデメリット

「と、結論づけられたのです。」と言われたところで、「だったら、どうすればいいのよ!」というのが気になるところですよね。

前提として、半分は遺伝が関わっているというのは、どうにもこうにも変えることはできません。

とすると、もう半分の「環境要因」に対して何かしらの策を打つべき。

そんな作戦を立てる際に、一筋の光となるような研究を意志力で有名なロイ・バウマイスターさんが取り組んでいるので紹介します。

バウマイスターさんは、実験参加者に対してアンケートに答えてもらい、その結果を次の3のパターンで伝えました。

①「おめでとうございます! あなたはこれからの人生でどのような人とも充実した関係性を築くことができるタイプです。」

②「言いにくいのですが、あなたはいずれ孤独になってしまうタイプの人です。今の友人や恋人とは、いずれ疎遠になってしまうでしょう…」

③のグループの人には、わざと的外れなフィードバックをしました。
「あなたは、もともと事故に遭いやすいタイプです。腕や脚を何度も骨折すると思っていて間違いないでしょう。」みたいな。

肝心なのはここからです。

この3パターンの結果を伝えられた実験参加者たちは、その後に「一般的な知能テスト」に挑戦してもらったのです。

その結果、①③の参加者はいつも通りの実力を出したのに対して、②の「未来への希望を否定されたグループ」は、「テスト結果がめちゃくちゃ悪かった」というのです。

この結果が何を意味しているかというと、

「社会的なつながりに対する悪い知らせは、人間の認知能力を低下させる」

ということなのです。

さらに、「食べ過ぎない方がよい」と分かっているクッキーを使って追加の実験も行われました。

その実験では、

「社会的なつながりに対する悪い知らせを受けた人の方が、不健康をもたらすクッキーを通常の2倍食べた!」

ということが確認されました。

これは、「人間関係の破綻が望ましくないことの歯止めを効かなくさせる」ということ。

誰しもが経験し得る可能性のある「孤独感」には、見逃すことのできないデメリットが隠れているのです。

▼「孤独感」からの救い方

ここまで「孤独感の恐ろしさ」を書いてきましたが、このまま終わってしまうと救いようがない記事になってしまいます。

難しいことを承知で言えば、根本から孤独感を味方につけるには「孤独感があることを認知してメリットが生きるような行動に変換する」しかありません。

ただ、それはかなりの部分本人任せになってしまうので、本記事では、周囲の人ができるサポート方法を1つ紹介します。

それは、単純明快超絶シンプル。

「『受け入れてあげる』という声かけや態度」

なのです。

バウマイスターさんの実験の中で確認されたのですが、「協働作業を求められる場面でグループになれなかった」としても、

「みんな『あなたと作業したい』とは言っているのですが、グループが組めないので独りで作業してください。」

という”伝え方”をされた人は、「孤独感」に囚われることなく「クッキーを食べ過ぎることもなかった」のです。

ということは、単純に「独りぼっちという状態が孤独感を高める」とも言い切れない。

「周囲のサポートにより選択的に孤立しているという意識をもつことは、孤独感に囚われることなく本来の実力を発揮できる」

という可能性を秘めているのです。

まさに「環境づくり」が大事ということなのです!

▼まとめ

本記事では、「孤独感は、遺伝と環境の相互作用だよ!」という内容をまとめました。

調べれば調べるほど、「コミュニティって大切だなぁ」と思う今日この頃。

そして、この記事では「孤独」のデメリットをたくさん書いてしまいましたが、「敢えて孤独を選択する」ことで、孤独のメリットを獲得することもできます。

孤独を避けるのではなく、「ニーズに合わせて上手に孤独を選択する」ことができれば、きっと役に立つ側面もあることでしょう。

📘参考文献
#孤独の科学
#孤独の達人

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