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ゆっくりでいいんですよ。

私は比較的、話し方や身体の動きがゆっくりしている方だと思う。

1つの質問に答えるにしても、
まずその質問の意図や、どう答えれば相手に自分の考えが伝わりやすいかなど色々考えてからになるので、
どうしても真剣になればなるほどに発言に時間を要することになる。

動作がゆっくりなのは、元々の運動神経と笑、
立ちくらみが起きやすい性質から急な動作が苦手なこと、あとはのんびりした気性によるものだと思う。

せかせかといつも急いでいる人よりかは
余裕を持っているように見えるし、
自分らしくていいかなぁと感じるので、
普段は特に何も気にしていない。

しかし、東京都心に毎日通っていた時は、これはなかなか街に馴染まない性質だな~とよく感じていた。

基本歩くのが速い人が多いので、私は道の端に寄って歩くようにしていた。
(それでも2、3回かかとを踏まれたことがある笑)

大勢の人に追い抜かされるのを横目に歩きながら、ペースに合わないな、と日々感じていた。

でも、無理に合わせようとしても体力的・精神的にしんどいし。

そんなこんなな中、体調を崩していた頃のある日、私はタクシーに乗った。
支払いのため財布を開いて小銭を探すも、なかなか出てこない。

タクシー運転手の視線にも焦りを感じていると、
その人は言った。

「ゆっくりでいいんですよ」と。

しばらくぼうっとした後、じわあっと温かい気持ちになって
「はい」、と答えた。

ゆっくりでいい。

そう直接声をかけてもらうことはなかなか無く、体調の悪さに悩まされていた私は、とても嬉しくなった。

それから、事あるごとにその言葉を思い出す。

会社に行く足取りが重たくなって、
行きたくないなと思いながら少しずつ歩いて学校へ行っていた頃に戻ったようだ、と思い
やになっちゃうな、とうっすら涙が滲むのを感じた時。

これから学ぶことに関するコースを決めるにあたり、みっちり力を付けるためのコースではなく、今の自分に無理なくやれそうな方を選んだ時。

自分のペースで行けばいい、と頭では分かっていてもなんだか少し落ち込む時に、
「ゆっくりでいいんですよ」と
あの時の運転手の声をもう一度自分のためにかけてあげるのだ。

お読みいただき、ありがとうございます。