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【人生の指針】被爆3世として「選択した未来」と「戦争」への想い

人生は、選択の連続。

「この道で良かったのか?」
「今の仕事を続けていていいのか?」

現代は、一見すると職業選択の自由度が高まったように見えますが、一方で“自己肯定感の低い人達”も多く、“自分の特性”“潜在性(可能性)”と向き合う勇気を持てない若者も溢れているように感じます。

今回の主人公は、被爆3世であるご自身の系譜を、ありのまま受け入れて、體と健康に携わる職業従事者となった竹村幸太さんです。

アスリートのサポートをするセブンシーズ・アンド・パートナーズ株式会社で執行役員として活躍する傍ら、個人事業主としてヨガスタジオも運営しています。

幸太さんのキャリア選択のお話や、先日勃発したウクライナ危機について被爆3世としてのご意見も聴かせて頂きました。
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■幸太さんの経歴について教えて下さい。

僕は、大学卒業後は専門商社で7年ほど働きました。その後は、今もやっていますがヨガスタジオの運営や、セブンシーズ・アンド・パートナーズ㈱で執行役員も務めています。

一時期はフィットネスクラブでパーソナルトレーナーもやっていて、その時にテレビ出演したりもしました。


■なぜ商社から、ヨガやパーソナルトレーナーの道に進まれたんですか?

父方の祖母が長崎で被曝した影響で早くに亡くなり、僕自身も被曝3世ということもあり、子どもの頃から健康への意識は高い方でした。

また母方の曽祖母との同居経験、最終的に寝たきりになってしまった彼女の姿を見て、「最後まで自らの足で歩けること」の大切さを子どもながらに痛感しました。

高校時代に怪我が治らず、評判の良い整形外科、接骨院を1年以上訪ねるも「痛みを止める」ことしか考えていない医師や施術家たちに幻滅していたところ、原因除去を目指す素晴らしい施術家にお会いし、セルフケアも行い完治した経験も、自分の人生における重要な出来事の1つです。

大学卒業後は、海外への漠然とした憧れから商社へ入社しましたが、理想と現実とのギャップや、もっと自らが目指す世界、「寝たきりを減らす」「一人ひとりが可能性を最大限に発揮できる社会を創る」というビジョンに向けて商社を退職しました。

その後、パーソナルトレーナーとして活動、またヨガスタジオの運営を始めました。

ちなみにヨガは、バレエスタジオを経営する母の知人から勧められて、嫌々ながら受けたところ「他人と比べず自分の呼吸や身体に集中する」ということの素晴らしさに感動したのが、ヨガに取り組むことになったきっかけです。

■被爆3世なのですね。命や病気について想いを巡らせる機会は多かったかもしれませんが、「会社員→ヨガスタジオ運営」の決断にハードルの高さは感じませんでしたか?

親類で被爆したのは父方の祖母だけで、父も身体が弱かったようですが今は健康です。

両親は二人とも自ら事業をおこなっている事業主、経営者です。

父はもともとサラリーマンでしたが、前述の祖母が早くに癌で亡くなったことから、自身が被爆2世であることを自覚し、健康関連の企業に転職、その後独立し、社員はおりませんが父一人でこの20年近く会社を経営しております。

母はクラシックバレエ講師として、バレエスタジオを2005年から運営しております。

そのような両親を身近で見ていたことは、決断に影響していることは間違いないですね。


◼️スタジオ運営にあたり、大変だったことを教えて頂けないでしょうか?

自己規律を持って仕事をしていくことです。会社で働いている時と違い、スケジュールやタスクを誰かが決めてくれるわけではないので、自分で目標を設定して、行動して、振り返ってということ(PDCA)を、日々規律を持って淡々と行うのがとても難しく感じました。

それと同時に、それ以前まで会社員として毎月給料を貰えていたことの有り難み、またその環境に甘んじていたばかりに、自己と向き合い、成長出来ていなかった自身の未熟さも痛感しました。


■素晴らしい…。ヨガは取り組まれてから何年ですか?

ヨガを始めて8年ほどです。

■ 上記インスタでご発言しているように、50年と長期間で物事を捉えるのは、小さい頃からですか?用務員のおじ様の言葉が、今も心に残っている理由についても教えて下さい。

長いスパンで考えるようになったのはある程度大きくなってからだと思いますが、子どもの頃に父親から「目的と目標を混同してはいけない」と教えてもらったことが視座を高くする、視点の抽象度を上げるのに役立ったのだと思います。

用務員のおじさんは、何となく人柄とか好きだったんですよね。飾っていない「ありのままの人間」って感じで。

職業に貴賎は無い、というのを幼い頃から感じていて、書いてくれた字はあまり上手とは言えないものでしたが、他の教師の言葉よりも、真っ直ぐで力があって、より心に迫る感じで、強く印象に残っています。


■幸太さんご自身も言葉選びがとても素敵なのですが、その言葉選びに強く影響を与えたのはご両親でしょうか?

言葉選びの影響は、今日に至るまで毎年誕生日に手紙を認めて(したためて)くれる母方の祖母かもしれません。

祖母からは両親と同じぐらい、あるいはそれ以上に、生活の知恵や生きていく上での指針となるようなことを、沢山教えてもらい、本当に感謝しています。


■お祖母様、素敵すぎます。。
最後に、先日勃発したウクライナ危機について、被爆3世として率直なご意見を聞かせて頂けないでしょうか?

僕は、戦争をはじめ生命の尊厳を脅かす全ての行為には反対です。しかし「戦争反対」「核兵器反対」と声を上げるだけでは、解決しないと思っています。

「戦争とは一体何なのか?」「何故戦争が起きるのか?」ということ、出来事の背景(歴史やマネーの流れ)に目を向け、長期的な視点・計画を持ち、今自分ができることにひとつひとつ取り組んでいくことが重要だと考えています。

私たちは往々にして、マスメディアが報道し、ニュースで取り上げられることだけが「世界(=真実)」であると認識しています

今回のウクライナ危機の件、大手(西側)メディア以外の報道では、8年間にわたってウクライナに住むロシア系住民(ドネツクやルガンスク人民)がウクライナ政府軍によって虐殺されていたと言われています。

権力を持つ人達は
①自分たちにとって不都合な国や団体を「悪」や「敵」に仕立て上げる
②マスメディアを使い喧伝する
③世論を盛り上げる
④自らの非人道的行為を正当化(正義であると喧伝)する
⑤利益を得る
ということを、グーテンベルクにより活版印刷が発明された中世以降、手を替え品を替え、世界中で続けています。

今、「戦争反対」と声を上げている人たちの多くは、「ロシアが悪であり、ウクライナ及びウクライナを支援するアメリカが善である」という構図を、意識的か無意識的か受け入れています

もちろん、世界中で起きていることを全て知ることは不可能です。

しかし、世界は二元論(善か悪)では説明出来ないことマスメディアはある一方向の意見しか取り上げないこと権力者やマスメディアは常に自分達にとって都合の良い方向に人々を扇動していく、ということを認識し、上記の③に自分が加担していないか自問自答していくことが大切です。

何故ならば、世界中の人々が賢くなって①〜⑤を見破らない限り、永遠にこの構図が終わらないからです。

冒頭でも述べたように、僕は戦争をはじめ生命の尊厳を脅かす全ての行為には反対です。ただ僕はこの時流に乗って「戦争反対」と軽々しく言うことはしません。

この世界の構造を変えていく、本質的な問題の解決に向けて、自ら出来ることに日々取り組んでいきたいと思っています。


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お話をしていて、幸太さんの強みは「挑戦と受け入れること」のバランスだと思いました。

自分の特性を度外視したり、夢だけ語ったり、逆に自分の性質を拒絶するしかできない人もいるなかで、被爆3世であること、ご両親の職業のことも、とても自然体で受け入れられています。

人が自分の未来を選択する時に、「ルーツ」を見つめること、これもとても大切な要素のひとつだと思います。

また、今回のウクライナ危機についても、冷静な意見を語って下さったことにも感謝を致します。元ウクライナ大使の馬渕睦夫さんの下記記事では、ウクライナでロシア人が被害に遭った「オデッサの虐殺」についても触れています。(情報源の一つと考えてください)

ウクライナ人が火炎瓶でロシア人を焼き殺し、ウクライナ政府が虐殺を称賛した「オデッサの虐殺」

私と幸太さんで意見が一致をしているのは「思考停止しない」「考えること・調べることを止めない」です。今回の戦争に対してのお互いのアプローチは異なりますが、この部分は一致しています。

そして私自身は、彼の意見も理解した上で、「戦争反対」の声もあげたいと思っています。理由は、日本も戦禍に巻き込まれる可能性もあること日本人も出兵して加害者になる可能性もあるからです。(勿論、世界のあらゆる戦争に対しても反対です)どちらか一方だけを悪者にする気はありませんが、戦争をしたい人達の思惑に、私達の日常を巻き込まないで欲しいです。(すでに食料・エネルギーの高騰が起こっています…)

このことも踏まえて、お互いのアプローチが異なることを前提に「僕の考えを他の方に伝えるのは、もちろん問題ありませんよ」と言って下さった彼の包容力に感謝を致します。

幸太さんが指摘して下さったように世界は二元論(善か悪)では説明出来ないこと、出来事の背景(歴史やマネーの流れ)に目を向けることメディアが報道することを安易に鵜呑みにしないこと、これらを胸に留めて、今後もウクライナ危機について動向を追っていきたいと思います。

竹村幸太さん、取材のお時間を頂きましてありがとうございました。

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