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ノジマ社長、社内ネットで実名挙げ「使い物にならない」を読んで

先日の2019年03月14日付朝日新聞デジタルでは、「ノジマ社長、社内ネットで実名挙げ「使い物にならない」」と題し、次のような記事が掲載されていました。

( https://www.asahi.com/articles/ASM375DCWM37ULFA014.html?ref=newspicks )

以下一部転載。
「家電量販店ノジマ(横浜市、東証1部)の野島広司社長(68)が、子会社の社員の実名を挙げて「使い物にならない」などと責めた文書が子会社のイントラネットに昨年8月に掲載されたことがわかった。この社員は昨年末に退社した。ノジマは「社員教育の一環」とするが、専門家は、国が企業に防止策を義務づける方針のパワーハラスメント(パワハラ)にあたると指摘している。…」


上記のWEB上での記事に関して、Newspicksでは、パワハラにあたるという意見が多数の中で様々な意見が飛び交っておりました。


例えば、弁護士の荘司 雅彦先生 は、

トップの危機意識が…あまりにもなさすぎです。

「ネット炎上」という言葉くらいは知っているでしょ。

あくまで指導的教育という範囲ではありますが、
「叱るときは別室等で個別に」
「褒めるときはみんなの前で」
という原則くらい知っておきましょうよ。

みんなの前でメンツを潰したら、下手すると暗殺されかねませんよ〜。


佐山 展生 さんは
(一橋大教授 インテグラル代表取締役 スカイマーク代表取締役 京大経営管理大学院客員教授)

文書の発信は、瞬間的に拡散する可能性があることを念頭に置いておく必要があります。
一般に、褒めるのは実名を挙げてもいいかも知れませんが、その逆は実名を挙げない方がいいとは思います。


安東 泰志 さんは
(ニューホライズンキャピタル株式会社 CEO)

「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば 人は動かじ。話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。」
(山本五十六 語録)

経営者であれば、部下のパフォーマンスに不満を持つことは多かろうが、そこをぐっと耐えてこそ、部下は育つ。山本五十六の明言を噛みしめたい。


宇佐美 進典 さんは
(VOYAGE GROUP 代表取締役CEO)

徳川家康の言葉である『主人への諫言は1番槍よりも難しい』にもあるように、社内に諫言してくれる人を作るのは本当に難しい。今回はノジマの社外取締役や監査役はどう社長にコミュニケーションするのかな。


ノジマ社長と同様の立場である現役トップ経営者の方々の、勉強になる客観的な視点が多い中で、僭越ながら、私( 中山 智是 )も次のように述べさせていただきました。

「ファクト」がないのが問題ですね。
①先ず事実があり、②事実に対して自分はどう解釈したのか、そして③解釈に対してどういう行動をするのか、が重要になりますが、社長さんは②の「使い物にならない」という解釈から、全社員に伝えるという③の行動をしまったのが問題ですね。
社長の立場としては、①の「店長さんが具体的にどんな行動をしているのか」という事実を示すことで、社員たちに対して「使い物になるかならないか」判断するという自由な②の解釈として公平性を与える事が可能になります。
②の解釈は、社員それぞれ異なりますが、同じMVV(Mission、Vision、Value)を共有する社員たちならば、ワザワザ社長さんの解釈を伝えなくても、①の事実だけ示せば、社長さんの言わんとする事は伝わるのではないでしょうか。
恐らくこの店長さんはMVVが共有されていませんので、店長さん本人に問題に気付かせるならば、寧ろMVVの共有を再度徹底する事が必要ではないかと私は考えます。

言うは易く行うは難しであり、常日頃から実行し続けることは容易なことではありませんが、社員の立場からみた際に、経営者本人は謙虚に振る舞っているつもりだが傲慢経営者と思われてしまうのか、或いは、「数字、ファクト、ロジック」を大切にし頼もしさと安心感を併せ持つ「ナメられないが威張らない経営者」になるかの違いは、上記の点にあると私は考えています。

上記の補足としては、私は次のようにも述べさせていただきました。

補足を加えますと、社員がMVVに共感した上で組織にジョインし、更にはそれがきちんと組織内で共有出来ていますと、低い次元の個人的な感情に起因する好きだ嫌いだという判断で物事を解釈する事が大幅に減少します。人間は誰しも聖人君子であろうとはしますが、理想の如く聖人君子であり続けることは難しく、「お前の好き嫌いなんかどうでも良い」と感じるような個人的な好きだ嫌いだという感情は生じてしまいます。しかしながら、MVVを共有しているということは、個人的な感情での判断よりも先にMVVでの判断を優先するということであり、逆にいえば、MVVが共有出来ていない人間ほど、個人的な感情に左右されやすく、周りの人間は対応に困ることになります。

どうでも良いお話のついでに、私は常に高い次元でお仕事をする事を求めていますので、低い次元でお仕事をする人は嫌いになることが多いと言えます。例え、嫌いなったとしても、お仕事でご一緒しなければいけない状況の時は、MVVを優先しますので好き嫌いよりもMVVに即したベストを尽くさせて頂きます。私の場合の具体的な行動傾向としては、嫌いな人とお仕事をしている時ほど、周りからはいつも以上に明るく楽しそうに仕事をしているように見えるかもしれません。それは、無理に我慢して嫌いな人と仕事をしようとすると、仕事時間がとてもとても長く感じてしまい耐えられなくなってしまいますが、無理矢理にでも楽しそうに演じていると予想以上に耐えられるものだからです。

これは心理学や人間学にも通ずるところがありますが、フランスの哲学者であるアランが「幸福論」(1925)で述べるように人間は「幸せだから笑うのか」それとも「笑っていると幸せになるのか」という問と同じでもあります。「人は幸せな現象が起こることで、幸せだと口にする」と思われていますが、私たちが生きるこの世の中というものは現象と行動の関係性において、人間の理解など到底及ぶところではなく、寧ろ「幸せだと口にしていると、後から幸せな現象がついてくる」ものであると言えます。

具体的な行動傾向に補足を加えますと、私は休憩時間や仕事終わりの時間は個人的な感情に対して素直になり、楽しければ明るく楽しそうに振舞います。無理して、好きでもない人と一緒にいることはありません。他方で、勤務時間内はMVVを優先させ、基本的に目の前の仕事に対してど真剣に向き合っていますので、明るく楽しそうに振舞っている事は少ないと言えます。仕事と休憩においても、忙中閑有りを意識することや、行動におけるコントラストが重要であり、それが人間の魅力を向上させる要因になると考えています。


※こちらは2019年3月15日(金)のnakayanさんの連続ツイートを読みやすいように補足・修正を加え再編集したものです。


中山兮智是(なかやま・ともゆき) / nakayanさん
JDMRI 日本経営デザイン研究所CEO兼MBAデザイナー
1978年東京都生まれ。建築設計事務所にてデザインの基礎を学んだ後、05年からフリーランスデザイナーとして活動。大学には行かず16年大学院にてMBA取得。これまでに100社以上での実務経験を持つ。
お問合せ先 : nakayama@jdmri.jp

記事:MBAデザイナーnakayanさんのアメブロ 2019年3月18日付


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