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「最近、面白い小説がないな」という人へ、絶対にお勧めできる海外の小説たち(2024.3.5更新)

本屋をブラブラしても「面白そうな小説がない」と感じる。あるいはパラパラっめくってみても、全く食指をそそられない。昔は小説が好きだったんだけど、最近は面白いものに出会えない。そんな人は多いと思う。

そこでおすすめしたいのが、外国人作家の小説を読んでみることだ。ドストエフスキーとかエミール・ゾラとかの古典ではない。本屋を当てもなく彷徨っている人の大半は心が疲れているから、古典を読む元気はないと思う。現代と異なる文化や言葉のものを読むのは、エネルギーがかかるからだ。

一方で海外文学賞を取った新しい作品なら、文化も言葉も現代に近くて読みやすい。ゴンクール賞やブッカー賞など海外の文学賞をとった作品は、ほとんどが日本語に翻訳されているから安心してほしい。今回は絶対面白い!と断言できる本たちを紹介していく。

・三人の逞しい女

Marie NDiaye (原名), マリー ンディアイ (著), 小野 正嗣 (翻訳)

不幸な生い立ちの女主人公が父親に会いに行き、幼い頃に父に引き取られた弟が衝撃の人生を送っていたことを知ることから、物語が進んでいく。とにかく登場人物が、全員揃いも揃って不幸。これから先も、幸せな未来なんて有り得ない展開が、永遠と続く。それでもつい先が気になって読んでしまうのは、他人を見る観察眼、他人から漂う匂いの描写が秀逸だから。ここまで人の人物を正確に描写できる作家って、あまりないんじゃないかな。最近すごく嫌なことがあって、世界中の人類がみんな不幸になってほしい。そんな時に読みたい一冊。

『〔仏最高峰ゴンクール賞受賞〕弁護士のノラは、長年会っていなかったアフリカ系の父のもとに帰郷するが、最愛の弟の姿が見えず……。アフリカからヨーロッパに渡ろうとするカディ・デンパは、数々の苦難に……。』


・モスクワの誤解

シモーヌ・ド ボーヴォワール (著), 井上 たか子 (翻訳)
老夫婦がソ連を旅するうちに、妻が「あれ。私、この夫のことあんまり好きじゃないのかな?」と考えたり、夫が「この妻の、この部分は許せないんだ、昔から」という葛藤を抱えていく話。夫婦なら男女問わず、誰でも「あるある!こういう風に相手にイラッとしたこと!」と共感できると思う。疲れているけど、上質な文章に身をうずめたい。そんな時にぴったりの一冊。

『老いるとは? 長年つれそった夫婦の愛情とは? 共産党時代のソ連への旅のなかで、ささいな誤解から生じた老年カップルの危機と和解。男女それぞれの語りが視点を交互に替えて展開される。大きな話題を呼んだ傑作小説!老夫婦におこった擦れ違いを繊細な筆致で描く。』


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