仏教徒の街・ナグプール学校の設立と貧困の課題

インド全体で1%ほどと言われる仏教徒が多く住むナグプールは、また他の街とは違う趣がある

昨年マハラシュトラ州第二の都市・ナグプールを訪問した。ムンバイから飛行機で1時間半、そこから車でさらに1時間。そこで活動する日本人の僧侶の方に会い、農村の小さい村で一泊お世話になった。前日のムンバイの5つ星ホテルとはある意味、天と地の違いである。水洗トイレがない古民家。シャワーもなく、熱湯入りのバケツと冷たい水のバケツを両方使ったのも初めての経験だった。ただしこれは、インド人の大半が毎日経験していること。平均月給約3000ルピー(約5000円)で、比較的「良い状況の村」である。上には上に層があり、下には下の層がある。生活は貧しいが、集落の方々からは沢山おもてなしをして頂き、大変感動した。また、彼ら自らで始動する社会貢献事業にも感銘を受けた。集落の有識者が学校を作ったのだ。

ナグプールは、約800万人強のインドの仏教信者のうち約300万人がナグプール周辺に生活をするという場所。元法務大臣でLondon School of Economics and Political Science大学卒のB・R・Ambedkar氏が1956年、カースト制度の一番底辺「Untouchables」(別名Dalit)から仏教徒に転向、三千年変わらなかったカースト制度の差別の壁を打ち破る一つのきっかけになった。しかし、まだカースト制度と差別は根強く残っている。
都市部ムンバイとは全く違うインドの景色が、ナグプールには存在している。集落は貧しいが、村人と僧侶、日本の支援者等が協力し小学校を設立。175人が学ぶ幼稚園と小学校を作ったのは2年前。学費は月額250ルピー(約430円)で、年間20万ルピー(34万円)の赤字だという。テーブルも椅子もない教室もあり、窓ガラスがない窓が当たり前。教材も充実していない環境で子ども達が学ぶ。どうにかしたい気持ちで集落の有識者が作った学校だが、この状況では長続きしないだろう。サステイナブル(持続できる)な仕組みが必要だ。改めてインドに存在する根深い社会問題について考えさせられた。

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