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【詩】無色透明


精一杯言えないものを抱えて生きてきた

モノクロの世界で十分に生きて来た


必死に笑顔を作って君の答えにいつも答えたんだ

皆にだって本当のことなんて言わないで

聞き逃さないように言葉尻に注意を払って

僕の答えが消えそうになったとしても

君が笑えるために僕が消えても

僕がたとえ無色になっても

ただ認めて欲しかったから

それだけのために

自分の色を皆に見せる前に消すんだ


自分を殺しながら

影を抱えながら

僕がここにいるって

叫ぼうとするたびに

僕はどんどん消えていく


灰色の空気に嫌気がさして

殴り描きのようにペンキで色をつけても

結局自分が無色になるんだ


持っているすべてを見てなんて言えない

闇が迫ってくる前に大事なものを

大切にしようとすればするほど

どんどん壊れていく

それでも本当は無色になりたくないんだ


大事なものを壊さないために

全部拾って明るい色にして皆配る

それなのに無色になって自分が消えていく

心の限りに無色じゃないと大声で

本当はここにいるって叫びたいんだ


皆しらないモノクロの僕を見つけて

モノクロでいいじゃないかって

言って欲しいんだ


モノクロをみせないための

明るささえ僕を追いつめる

もう無色でいるなんて

嫌なんだ

もう嫌なんだ

本当は嫌なんだ


もう僕を無色透明にしないで






©2021 Haru kuzumi

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