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今までの制作した作品から編纂しています。 主に詩作品といくつかの散文を掲載していきます。
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記事一覧

講義・花

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スケッチ

広い美術館 青い海の前に 提げられた 一枚の絵画 筆はいつか のたうちまわり 黒いつぶてが キ…

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神さまのスカートの裾

海の遠くから聞こえてくる 声にならない声を 意味にならない 音の連続を 知らない土地から 吹…

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初心

かくことよむこと、はなすこと ひょうげんすること、ないせいをすること かんがえめぐらせる…

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仄かな明かり

明日はどんな日になるかな、生きていたいと思う自分が明日にいるからご飯が美味しいんだ。祈…

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スピーチ

スピーチ 知らないうちに 胸の温度は下がって 気づかないうちに 言葉の色は失われ 人間は知…

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生命分子ぶつかって交差点

ご覧よ。生命分子がぶつかり合うこの景色を。 高い山から見下ろす青い星の中で、 有機物として構成された生きるものたちは、 かつかつと、そのいっとう尖った部分をぶつけ合いながら、 これが我の生命也 と肩で息をして叫んでいる。 この高い山まで轟くような深く低い声で、 さあ、これが僕の生命である。 そうだ生命、なので、ある。ああ。あああ。あああ。 と声を上げている。 生命分子たちは思い思いに、 身体縮めては伸ばして、 ひっくり返っては、 太陽にそのはらわたを晒しながら。 交錯する

Hey Siri

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白い羽

僕が愛しているのは君じゃない、 ただ愛くるしい時間たちに、 一つずつ質問をしよう。 横断…

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餞別

卒業とともに、この家を離れていくときに、 門出を祝ってくれた同胞に、 一冊の詩集を渡された…

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クリスマス・ベル

りん、ごんとなるベルの音は 祈りの声と重なり、遠くで鳴っている。 暮れること祝うこと、ここ…

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棒切れ

一つの棒切れが、僕にとっての母のよう。 どうして僕らは生きていようか、 この棒切れを折ら…

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断点

海から吹き降ろされる風の強い夜に 浜辺に素足で 手をかいてもかいても進まない 暗がりの中…

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サイケデリック・生命

乱視みたいだった生命を繰り返して、 幻覚が、幻覚が、 砂漠の中を立ちのぼっていく。 僕が昨日見た夢の中を 君が生きて歩き続けている。 君は夢から覚めないで ずっと砂漠を歩いている。 喉は乾いている 月が砂を冷やして、 太陽が砂を熱くする。 星はそれを眺めている。 君は少しづつ強くなる。 生命は砂漠に潜んでいる。 君の前には現れることはごく稀だが。 命を手当たり次第に胃袋に流し込む。 この砂漠に友人はまだいない。 砂丘が生まれては死んでいく。 君に越えられた壁のような砂

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