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目に見えない世界の話

もうクリスマスは明日で、毎年、チキンを食べたりケーキを食べたりするのは24日(クリスマス・イブ)にしようか、25日(クリスマス・デイ)にしようか、と迷って25日にすることが多いのだが、今年はなぜか24日にしようということになった。ばーばがつくって持って来てくれたチキンを食べ、昼間に母子でつくったケーキを食べ、パパ・サンタからは息子とママが欲しいと言っていた本を1冊ずつプレゼントしてもらって、満足?

息子は5歳になって、もうあと数ヶ月で6歳になるが、ちょっと「お?」と思うようなことを言うようになっている。今朝も、

「サンタは目に見えないんだよ」

と言ったので少し驚いた。

先ほど、寝る前には、

「でも、サンタって本当にいるのかな?」

と言い出した。

「いなかったら、プレゼントこないね?」

「あっ、はやくねなきゃ!」

と言って寝た。

先日、1897年にニューヨークで発行されていた"The Sun"という新聞に載った"Is There a Santa Claus?(サンタクロースって本当にいるの?)"という社説を読んだ。英語圏では有名な社説みたい。ぼくは初めて読んだ。

当時8歳だったバージニア・オハンロンさんによる投書に答えるかたちで、書かれている。問いはズバリ!「サンタはいるの?」だ。

社説では、まず、「サンタクロースはいます」と断言している。彼は、「愛」や「寛大さ」や「献身」が存在するのと同じように、確かに存在する。ただし、目には見えない。でも見えないことは彼が「いない」ことの証明にはならない。──なんて書いた後、「目に見えない世界」というものがあるんです、という話が続く。しかもそれは、いつまでも変わらないもので、サンタクロースは永遠に生きるでしょう、と。

バージニアさんはその後、81歳で亡くなるまで、「サンタの友だち」であり続け、「サンタを信じる」と話していたというから、いい話だ。

次の話には、2013年のクリスマスに、たまたま、猫沢エミさんという方がブログで紹介しているのを見つけて出会った。渡辺茂男さんがこんな話をされていたらしい。渡辺さんといえば、ぼくが幼い頃に大好きだった絵本『しょうぼうじどうしゃじぷた』の作者だ。

子供の頃にサンタクロースとか、ドラゴンとか、いるはずのない架空の生き物を心底いる、と信じることが人間には必要なんです。その数が多ければ多いほど、子供の心の中に、椅子ができる。大人になってゆくと、なあんだ、サンタクロースなんかいないじゃん。と、そこに座っていた架空の生き物たちは消えてしまいます。でも、それまでその椅子を温めてくれたサンタクロースのお陰で、人は、大人になって愛を知った時、今度は本当に大事な人をそこに座らせることができる。

いい話でしょう? ここでは、目に見える・見えないの話はしてないけれど、どこか似ている。

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大人になってからのぼくにとっては、クリスマスといえば音楽、ということになった。ラジオやレコードに夢中だったから。

19歳の冬、コーラスのサークルをやっていて、クリスマス・コンサート用に大半の曲を自分で編曲した際、すごく張り切ってやっていたらみんなから驚かれた。だって、クリスマスの音楽はいいよ、クリスマスといえば音楽だよ、と。ポカンとされつつ、力説していたら、ふと「晴海三太郎」というペンネーム(編曲者名)が降りてきた。サンタクロースを早口で言い続けているとサンタローになる。ならない?(『アフリカ』の発行者・晴海三太郎はそこから来ている。すごくどーでもいい話でした。シャレですシャレ。)

その時に、ブレンダ・リーの"Rockin' Around The Christmas Tree"をDoo Wop調(かなぁ?)でやったんだけど、そのアレンジの元ネタは、Dionが1993年に発表したクリスマス・アルバムに入っているバージョンだった。が、じつはぼくはそれをラジオで聴いて、入手はできなかったので、ずっと欲しかった。今年の夏、それを900円で見つけて入手した時は嬉しかった。

聴いてみたら、それ以外の曲もご機嫌で、アレンジのバリエーションも豊富で、細かいシャレがたくさん効いていて(知らなければわからないことかもしれないが、でもわからなくても楽しいはず)、聴き飽きない。11月くらいからずっと聴いていた。

当たり前だと言われるかもしれないが、音楽だって目には見えない。

さて、12月24日の夜中、これからぼくはもうひと仕事しなければなりません。

(つづく)

日常を旅する雑誌『アフリカ』最新号(2019年7月号)、相変わらず発売中。在庫が少なくなってきたので、お早めに。

「道草の家・ことのは山房」のトップ・ページに置いてある"日めくりカレンダーは、1日めくって、12月24日。今日は、エアコンのクリーニングについて。

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