【ミニ社長塾 第40講】採用の重要なポイント: 経営ビジョンと文化フィットの重視と継続的な育成。
おつかれさまです。
中小企業診断士で、社長の後継者に【徹底伴走】するコンサルタントの長谷川です。
今月の社長塾は20期が今週、21期は来週になります。来週の21期は「財務分析」がテーマで2日間の研修です。ガッツリやります。
修了生の方も、久しぶりにレジュメを見直して、改めて自社の決算書を見ていただくと思わぬ発見があるかもしれません。是非、「復習」してみてください!
そして、今週の社長塾のテーマの一つが「採用」です。修了生とお会いし、話をさせていただくと、よく話題にあがります。
そこで今回は『採用の重要なポイント』について話させていただきます。今回のミニ社長塾も、どうぞよろしくお願いいたします。
1.採用が難しい4つの理由
どの会社でも「いい人財」を求めています。それは皆さんの会社だけでなく弊社もそうです。新卒はほぼいなく中途採用が主ですので、通年で採用活動をしています。
そこで感じるのは「いい人財」を採用することの難しさ、です。これには理由が4つほどあると考えています。次の4つです。
①リソースの制約
採用活動でまず思い浮かべるのは求人広告媒体や人材紹介会社の活用です。これらを活用するには当然ですが費用がかかり、予算や人材リソースが限られていると常に実施できるわけではありません。さまざまある募集手段の、どこにどのくらいの予算をかけるべきなのかを考える必要があります。
②競争力の低下
大企業やグローバル企業と比較して、中堅中小企業は知名度やブランド力に劣ってしまいます。また、求職者にとって魅力的なキャリアチャンスや福利厚生、成長の機会が大企業に比べて少ないと捉えられることがあります。
③労働市場の変化
企業側も求職者側も常に変化しています。例えば、求職者の企業選びで重視しているポイントはワークライフバランスや社会にどれだけ貢献できるか、といったところを見ています。また、企業も応募者数をどれだけ集めるか、というところから自社に会った応募者を集められるかや求職者にいかに動機づけできるか、といったことが課題になってきています。この変化を捉えられないと、採用には苦労する可能性があります。
④採用戦略の不足
採用に関する戦略やプロセスが欠けていると採用は困難になります。冒頭「いい人財」を採用したい、と書きましたが皆さんの会社にとっての「いい人財」とはどのような方でしょうか? 候補者の選考基準の設定などが曖昧であると、人材の採用だけでなく定着についても影響があります。ここを明確にするうえで欠かせない視点が経営ビジョンや組織文化です。
社長塾で行う「強くて愛される会社の人材採用戦略」では①~③を踏まえ、④の採用戦略について見直す講義です。改めて、「いい人財」を採用するためのポイントを見ていきます。
2.いい人財を採用するために何を決めるのか
採用活動では相手に見つけてもらう、あるいは他者に紹介いただくために決めるべきことを、このパートでは見ていきます。
ここで決めなければならないことは次の3つです。
まずは、「Why」から。「いい人財とは?」を考える前に、なぜ採用活動をする必要があるのでしょうか?
その理由が単に「人手が足りていないから」だったら求職者はどう思うでしょうか。この会社に必要とされている、と思うでしょうか?
求職者に目を止めてもらうには、「あなたじゃなければダメなんです!」と訴えかけ、共感を呼ぶような強いメッセージが必要だと思います。例えば、「お客様に愛されるお店づくりを一緒にしませんか?」のようなものです。ちなみに、これは近所のとあるスーパーの求人募集のメッセージでした。
Whyで採用目的が定まると、次はWhoの採用人物像を具体化していきます。この時に押さえていただきたいのは採用の成否は入社時点で決まるのではないということ、つまり採用と教育はセットで考えなければならないです。
私の周りで良くお聞きするのは「入社したあとに何か違った」という話です。これは能力やスキルといった面ではなく、経営ビジョンへの共感や価値観を含めた組織文化と合うかどうか、といった面のことを指しています。
入社後の社員教育によって伸ばせる能力やスキルに対して、価値観は先天的な要素が大きいです。したがって、採用人物像を具体化する際には能力やスキルだけでなく、性格や価値観、人間性といったところも忘れずに整理しておいた方が良いと思います。
そして、Whatの入社ベネフィットについてですが、言い換えると入社することによってどのようなキャリアが築けるかや成長できるかといった求職者が得られるメリットのことです。ここが、上述した「採用が難しい4つの理由」として挙げた①リソースの制約と②競争力の低下が関わってきます。
実は、いい会社がいい人材を採用できるかと言えばそうではないです。重要なことは「自社があなたにとってどれだけ役に立つのか、または何をしてあげられるのか」です。求職者は世の中にあるすべての会社を見てあなたの会社と比較しているのではなく、求職者が見ている範囲内での比較です。
そのため、求職者にとって「いい会社」であればよいので、差別化のポイントは経営理念やビジョン、そして組織文化だったりします。この部分を整理して言語化することが入社ベネフィットを考える切り口になり得ます。
以上の3つを決めることで、採用戦略の方向性は固まってきます。次は、これらをどのように実行していくか、ということについて話をしていきます。
3.見極めのポイントは「事実」と「再現性」
採用で苦労されている経営者の方から次のような話をよく耳にします。
「せっかく入社してもらったのに辞めてしまった」
「期待していたのに、思っていたような人じゃなかった」
字で書くと軽くなってしまいますが、入社までにかかったコスト(経済的なものだけでなく時間や精神的なものも含む)を考えるととても重い話です。
採用戦略のWhy→Who→Whatの次に来る
に問題があったかと思われます。ここで注意いただきたいのは大きく2つ。「事実」と「再現性」です。面接では、求職者からの話はどれも主観的です。話を「盛る」ことができます。客観的な目線が必要になるのですが、そのような人はその場にはいません。
そこで、過去の成果ではなく、その成果を出した時の行動や思考といった「事実」を聞くのがポイントです。そして、その「事実」を踏まえて、自社でも成果を「再現できるのか」を考えていきます。このあたりについては、下記の記事に詳しく解説されていますので、ぜひご覧ください。
そして、リクルートサイトや人材紹介の活用などの募集手段を考えるのは、この後になります。How(募集手段)は採用戦略の最後の最後です。
採用活動で苦労すると、「どの人材紹介会社を使っていますか?」などの話をしがちですが、問題はそこでない可能性があります。改めて、この5ステップを見直しながら(修了生の方はレジュメを見直しながら)採用戦略をつくっていただきたいです。
今回の記事は『採用の重要なポイント』ということで話をいたしました。何かしらのお役に立てておりましたら幸いです。次回の【ミニ社長塾】も、どうぞよろしくお願いいたします。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?