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なるべく上等な劣等感日記

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誰も劣等感を脱ぎ捨てることはできない。人生はけっして素晴らしいものではないが、どうせ生き続けなければならないのなら、なるべく上等な劣等感を身につけた方がいい。 ──吉行淳之介
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#コラム

秋の空気とコスプレ三昧(2018年10月23日〜10月29日)

秋の空気とコスプレ三昧(2018年10月23日〜10月29日)

2018年10月23日 すっかり秋の寒さ きのこまつり

妻と銭湯で落ち合ったあとに、スーパーへ寄って、きのこをたくさん買う。何かの記事で「きのこは3種類以上混ぜて食べたほうが美味しい」というのを目にしてから、きのこは数種類ずつ買うことが多い。えのき、えりんぎ、しめじ、あとは何だっけな。とにかくきのこを買って、だし汁で煮て、味噌を溶いたきのこ汁を鍋いっぱいつくって食べる。当然にうまい。ただ、時間

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こんにちは負の感情、ありがとうレンズ沼(2018年10月16日〜10月22日)

こんにちは負の感情、ありがとうレンズ沼(2018年10月16日〜10月22日)

2018年10月16日 たしか曇り 当たり店に出会って幸せ

昼頃起きて、事務所で仕事。事務所を構えるまでは自宅が仕事場だったんだけれど、僕はやっぱり分離しているほうが気持ちが入りやすくていいみたい。根本的に僕はオフィスとか仕事場っていう存在そのものが好きなのだ。そこにいる間は、ちゃんとしているっぽい空気もまとえるし。

事務所仲間が買ってきてくれたケバブライスを食べる。夕方に、動画番組の構成作家

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僕たちはマジックアワーを生きていたのか

秋葉原の夜19時はマジックアワーで全部が薄紫色に包まれていて、それはなんとも「欲望の街」という雰囲気を描き出す。目の前を、スーツ姿でリュックを背負った男性が、キックボードで過ぎていった。好きだよ、そういうの。缶ビールが熱く胃におりる。

福岡で傷ましい事件が起きて、すっかり心の平穏をやられてしまっている。吉行淳之介の小説に倣って「心の平衡をとる」ために缶ビールを飲んだけど、なんとなくまだ治らない。

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知らずの意味づけに気づいて

低気圧だと不調になるのはいつからだっけ、と、ストロングゼロのダブルマンゴーを飲みながらおもう。秋葉原の中央通りは雨でも活況で、海外から来たと思しき人がにこにこして過ぎゆく。

メイドやナースの格好をした彼女たちは、伸ばした髪が湿気にやられるのを気にしながら、今日も気を引くために裏路地に立つのかしら。防水加工のコスプレ衣装が急務である。洗えなそうだから大変か。

日記を書いていなかったひと月ほどの間

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恐怖は頭でつくられる

お化け屋敷に行った。物心ついてから、初めてのことだった。東京ドームシティにある五味弘文さんプロデュースの「怨霊座敷」。恋人が五味さんのお化け屋敷のファンで、これまでも作られるたびに足を運んでいたらしい。

恋人が行きたがっていたので、という理由に勝るモチベーションなんてそうそうない。ぼくは努めて「いいねぇ」と乗っかることにした。32歳にもなってお化け屋敷を妙に避けているのも、どこかで格好がつかない

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乾杯の挨拶に使えるひと言は、恋愛のマンネリにも効く

先日、乾杯の挨拶で「おめでとう、ありがとう」といった方がいてね。たしかに結婚報告があっての席だったのだけど、何に対しての「ありがとう」なのかわからないままに、みんなして「ありがとう……ありがとう⁈」って笑いながら乾杯した。

でも、よくよく思うと、結構いい挨拶なのかもしれない。その飲み会は高校の部活のOB会だったから、予定をあけて集まったみんなへの感謝とも取れるし、参加していた先生への長年のお礼で

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徳島で全裸にグッドフェローズを

東京出身のぼくは、徳島の東横インのベッドで腹ばいになって、今これを書いている。全裸で。

全裸なのは何かイイコトがあったわけではなくて、部屋がちょっと暑いのと、裸でシーツに触れるのが好きだからだ。一人用の部屋だから何をしてもいいだろうという開放感を表現する手段でもある。ホテルのさらさらしたシーツと裸をあわせるのは、人生のなかでも結構に上級な喜びのひとつだとおもう。恋人がいれば、なお最高だけれど。

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ポジティブな石川啄木

あの時、そうだね、と言えていたら。

言葉は「そうだね」でも「ちがうんじゃないかな」でもいいのだけれど、もし他のことを口にしていたら未来は変わったかもしれない。そんな戯れを想うのはろくでもないときである。

スカイツリーの真下で焼き鳥を食べた。友人にソファとテーブルを譲った帰り道、明るい時間から店の外まで座席を用意した店があいていた。いい天気だったので、外の席でサッポロビールの赤星を、友人と3本ほ

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スピードが、優しい貴方を鬼にする

降りたった山形県の庄内空港は小ぶりで、だけれど市街地からも近くて、使い勝手はそれほど悪くなさそうだった。窓からの景色は一面に、次の秋を待つ田んぼが続いていた。

公私ともに、ちょこちょこと飛行機に乗る機会があって、たった数時間のうちに「誰かにとっての玄関口」に降りたてるのはすごく楽しい。働いてる人も、流れてる空気も、ここを行き来する人の姿も、日本にいるみたいなのに外国みたいな「よそ者」感がまだまだ

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結婚とストロングゼロと生きる価値

友達づてに、元カノが結婚したことを聞いた。

結婚そのものも喜ばしいことだし、友達と元カノの関係性が続いていることもよかった。

ぼくは恋人ができると、割とすぐ友達を引き合わせることがあって、なんやかやでぼくと元カノの関係が事切れたあとでも、付き合いが良く継続していたりするのを聞くと、自分にも人生で何がしかの役割を担えたのかもしれなくて嬉しくなる。

ぼくを通じて出会えたこと、言い換えれば遠い点を

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なぜラガーマンはVネックを着て、ベトナムで働けないし、産後3週間の心得を知る

ここ最近、人から聞いて、日記のネタ用にメモしておいたことをまとめてみる。

もともとラグビーをプレーしていた人が飲み会にいた。ラガーマンは首まわりが太くなることもあって、丸首シャツがキツイそうだ。よくVネックを着ているイメージがあるのもこのためで、むしろVネックでも詰まり気味のことさえあるらしい。

ちなみに、ふつうのYシャツは首が閉まらず、首に合わせてシャツを買うと、胴体がブカブカになる。だから

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振り向きざまに毒で殺せます

恋人が寝起きにお菓子を口へ入れてくる。なんの前触れもなく指先がそろそろと向けられることもあれば、振り向きざまに何かを差し出してくることも。ぼくは疑いもせず口を開ける。

たいていは、ラムネとか、チョコレートとか、ビタミンCのタブレットとか、あとはたまにサプリメント。

「嫌がったりしないよね」と(自分でしておきながら)恋人は不思議がるけれど、それはもちろん、君がくれるから嬉しいのだよ、という気持ち

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思いわずらうことなく愉しく生きるためのMacBook Air

「定期的におしりを触ってもらえないと愛情を確認できない」と恋人が言うので、寝転んでいるときとかにふいに手を伸ばしてみているのだけど今だに正解なのかわからない。

物言いが面白い人なのでジョークかもしれないけれど、ぼくは馬鹿正直に信じて行動するほかない。

というより、過去の恋愛のアレコレで、すっかり猜疑心が強い性格に育ってきているがゆえに、「信じようが信じまいがダメな時はダメだから、だったら信じて

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中途採用で落ちて恨み節のメールをもらう

先週の水曜日には、大学の同窓生ふたりと久々に会う。ふたりとも職場も仕事も変わっていて、実に2年半ほど会っていなかったことがわかる。

ふたりの外見がそれほど変化がないようなので、ぼくまで大して変わりないように思うけれど、体重がぜんぜん増えている。ふたりは優しみで言葉にしなかったけれど。

Mさんはいま人事に関わっている。彼女の会社は中途採用がメイン。飲みの席なので「過去にあったすごい応募者」なんて

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