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拝啓、あれから1ヶ月が経ちました。

こんにちは。
熊本県南関町で60年間「竹の、箸だけ」を作る株式会社ヤマチクの3代目、
山﨑彰悟です。


早いものでヤマチクのファクトリーショップ「拝啓」をオープンしてから1ヶ月。
振り返りも兼ねて、「できたこと」「できていないこと」を赤裸々に書いていきたいと思います。
ここ数年のコロナ禍と事業再構築補助金も相まって、世はまさに空前のファクトリーショップブーム。
今まさに準備中の方も多いと思います。そのような方のご参考になれば幸いです。

またこれは新しいことに挑戦してる全国の同志たちに向けたエールでもあります。
長いですが最後までご覧いただければ幸いです。


地元メディア、ほぼ全部でる。


オープンに向けて、地元の新聞社様やテレビ局の方々に「拝啓」を取り上げていただくために、プレスリリースはもちろん、メディア向けの内覧会も行いました。
「お箸メーカーが営むセレクトショップ&カフェ」が珍しいらしく、多くのメディアに掲載いただきました。ほぼ地元メディアは制覇したような気がします。

内覧会で同時に情報発信することで11月11日のオープン前後に集中して「メディア露出」が行えて、注目度を上げることができました。
一方でその注目度を公式SNSのフォロワー獲得まで誘引できなかったのはもったいなかったです。メディア掲載情報を「拝啓」のインスタグラムでリアルタイム投稿すらできていなかった。
そこまで手が回らなかったといえばそこまでですが、本来ならメディアアプローチとオウンドメディアの連携は計画すべきでした。
そこはSNSに疎い僕がタスクを抱え込んでいたのが敗因です。


11月の売り上げは218万円。


多くのメディア出演のお陰様もあって、オープンの11月11日から31日までに1000名以上のお客様にご来店いただきました。
当初の目標売上であった200万円もなんとか達成。
12月も、12月12日時点で売上95万円と見込み通りの数字が出ています。

観光地でもない田舎町で、平日でも平均10万円の売上を創出している。
「売上10万円」というのは、ヤマチクがイベントに出展する際の売上基準。
つまり、都市部のイベント出展と同じ結果を毎日南関町で出せているということになります。冷静に考えれば凄いことです。
「南関町では絶対に成功しない」
と言われていたファクトリーショップ事業。
数字の上ではその通説を覆せそうな兆しはあります。
とはいえまだ1ヶ月。開店直後の「ご祝儀来店」も当然ありますし、今後これを継続できるかがカギです。

12月は「拝啓」の真価が問われます。
1年間の中でお箸が最も売れる年末。さらにはクリスマスギフトとお歳暮のシーズン。
この時期のお客様の需要をどのように満たすことができるかが、12月の業績を大きく左右します。
でも現状はクリスマスギフトやお歳暮シーズンにも見合ったギフトボックスすら作っておらず、急遽製作している始末です。
本当に行き当たりばったりだなぁと反省しています。

お店の仕様やクリエイティブの打ち合わせなどで手一杯だと思いますが、
開業後の詳細な売上計画は絶対に作った方がいいです。
「事業再構築補助金」の事業計画書では不十分です。
ちゃんと計画を作っておけば、日々の売上で一喜一憂する必要がありません。
皆様は僕と同じ轍を踏まぬよう・・。

「拝啓」のお客様はほぼ町外・・。


「拝啓」を作った目的は、「南関町に住む若者の自慢になること」

南関町は熊本県と福岡県の県境に位置する人口9000人にも満たない小さな町。
地元に高校もなく、例に漏れず「少子高齢化」地域。
九州自動車道のインターチェンジはあるものの、目立った観光資源は特にないため「通りすぎる」だけ。


地元の人たちは口を揃えて「南関町には何もない」という。
僕はそんな南関町の「何か」になるべく、「拝啓」をつくりました。

オープンから1ヶ月で1000人を超える方のお客様がいらっしゃいました。
その中には熊本市内や福岡市内、遠いところだと京都や東京からわざわざお越しいただいたお客様も。
町外のお客様にとって拝啓が「南関町にわざわざ来る理由」の1つになっている。
これはとても嬉しいことですし、「拝啓」が南関町にできた意義の1つです。

でも僕は手放しには喜べません。
なぜなら、一番来て欲しい地元の人は全体の1割も集客できていないからです。
特に「地元の若い人」になるとほとんど呼べていない。
「地元の自慢になる」と言っておきながら、地元の人にアプローチできていないことに、めちゃくちゃ危機感を持ってます。

この状況を打開すべく近隣にチラシのポスティングを行っています。
現時点で僕の犬の散歩ついでに200世帯ぐらい配布済み。
近隣の飲食店様にもチラシを置いてもらうようにお願いして回りました。
その結果、少しずつ地元の人から問い合わせの電話をいただくようになりました。
中にはチラシをご覧になった地元のお客様が「年末年始に帰省してくる孫と一緒に来たい」とわざわざロケハンにいらっしゃる方も。

地元では意外とメデイアやSNSではリーチしないケースが多いです。
そんな時は結局「チラシ」や「町の広報」が効果的なことを、僕はこれまでのイベント開催を通して身をもって学んでいます。

「また来るね」と言って欲しくて。


開店から1ヶ月が経ち、ここからはご新規様のご来店と合わせてリピーターになっていただくために何をすべきかが、僕の関心事です。

「何度も足を運んでいただくためにはお得感が必要」という社員さん達からのアドバイスを受け、12月1日からポイントカードを作りました。

500円で1ポイント、20個で次回のお買い物から500円OFF
対象はカフェメニューを含む拝啓の全商品。
しかも期限は無期限。

ちょっとお得にし過ぎました
ギフト用にお箸とか買ったらすぐ1万円貯まっちゃうので。
お客様にはすごく喜んでいただいているようなので、一旦様子見です。
つい先日もポイントが貯まったお客様が
「あら!じゃあ次はカフェに来てみようかしら!」
とおっしゃっていました。

「カフェメニューでも貯まる、使える」というのが、ポイントカードのキモです。
「拝啓」にカフェ機能を併設したのは、「お箸を使い心地をお食事で体感いただくため」でもありますが、「地元の人がふらっと気軽に立ち寄れるように」という意図もあります。

しかし現状ではカフェのご利用が思ったほど伸びていません。
あれだけ「お箸で食べるスイーツ」がメディアに取り上げられてこの状態です。
認知度不足なのか、はたまた需要がないのか。
まだスイーツ2種とドリンクしかないというのも理由だと思いますが。
チラシを巻いて、最近ようやく南関マダム達がお茶会で使ってくれるようになりました。
年明けに「ランチ」を開始する予定なので、それでカフェが伸びるか正直ドキドキです。
ちなみに事業再構築補助金では「事業の新規性」の要件を満たすために「カフェ」がよく入れられがちですが、正直言ってカフェはマジで大変です。
覚悟してください。


ヤマチクができることは、誰でもできる。


2019年に自社ブランドのokaeriを立ち上げ、OEM100%の状態からたった5年足らずで自社ブランドの売上比率を全体の60%以上に押し上げました。
そして念願の「ファクトリーショップ」をつくり、次のフェーズに移行しようとしています。でも、勝算は微塵もありませんでした。

「やらなきゃ死ぬ」から、必死でやっただけです。
事実、okaeriのリリースが1年遅れていたら、コロナ禍を乗り切ることはできず、ヤマチクは間違いなく廃業していたでしょう。

「ヤマチクさん凄いですね!」「ヤマチクさんだからできることですよ!」

悪い気はしませんが、僕はそうは思いません。

事業規模たかだか2億程度。
「伝統工芸品」でも「伝統工芸士」でもない。
お箸や竹の産地でもなく、ましてや観光地に所在しているわけではない。
ブランディングやマーケティング、PRや店舗運営といった専門性の高い人材は1人もおらず、近くに大学もないため学生のアルバイトやインターンすら見つからない状態です。
当然僕自身も「元リクルート」「元P&G」「MBAホルダー」といった自慢できるようなキャリアではなく、家業に戻った頃は大学生に毛が生えた程度のもんでした。

「ヤマチクだからできている」といった要素は微塵もありません。
「産地」「伝統」「観光地」「都市部」「公共交通機関」はマジで羨ましい
その価値に気づかず不平を漏らす人をみると、本当に歯痒い
「俺と変わってくれや!」と思うこともあります。笑

「地方創生」と言われて久しいですが、「地方同士」でも人口や地理的条件など明らかに資源の格差はあります。でもそれを言い訳にしていては、何もできなくなってしまう。ヤマチクがこれまでやってきたことは、産地や観光地じゃなくてもできる戦い方。
つまり「誰でも、どこでも、できる戦い方」です。

「何にもないヤマチク」が実績をつくってそのプロセス公表すれば、もう環境を理由に「チャレンジを諦める」必要はないでしょう。
いわばヤマチクは「皆さんの実験台」だと思ってもらえれば。

実験には金がかかります。なので「クラファン」をご支援ください。笑
2023年12月25日までやってます。クリスマスプレゼントに何卒お願いします。


「長々書いて、結局それかい!」ですが、その代わりに今回のように僕らが「拝啓」を通して経験した成功談も失敗談も余すとこなく公表していきます。

僕は「拝啓」にだいたいいるので、直接聞きに来てもらってもいいです。
コーヒーとスイーツぐらい奢りますよ。
(ちなみに僕との1時間壁打ちもリターンにあります笑)

こんな長文を最後までお読みいただきありがとうございます。
チャレンジをしようとしている人、今逆境で苦しんでいる人に届けばいいなぁと思いながら書き進めてたらこんなに長くなってしまいました。

これを読んで「ヤマチクでもできるんやから」を合言葉にしてもらえるなら、ギックリ腰の最中に頑張って書いた甲斐があります。

ご感想やご質問あればコメントやDMいただければ嬉しいです。




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