キャロル・キング

「慈雨」 〜 Calling you 〜  (5)

雨の日が苦手と言う私に、その人は飛び切りチャーミングでパワフルな”おまじない”をくれた。

「此処はパリ!」

そう声に出して言うだけで、窓の外は景色のパーツそのままに、パートカラーの映画のようにニュアンスだけをハラリと変える。
冷たくくぐもった鉛色の街がしっとり落ち着いた艶を見せ、霧雨のスクリーンはソフトフォーカスの画面、路地の向こうには先の読めない出来事が手招きしているようだ。

寒さが厳しく

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