スペオペ

第13話:泥棒猫のワルツ

【前回のあらすじ】
 タクヤはヴェロニカとのデートに浮かれていた。まさか自分が騙されていようとは知らず、大事な「青いトランク」を奪われてしまった。彼はまだそのことに気づいてさえいない。

 一度は床が見えるようにまでなった倉庫であったが、海賊船制圧後にまた荷物が増えた。

 今後こそ足の踏み場もなくなってしまった愛船の倉庫内を、船長レイノン・ハーツはひとり探検していた。

 酒樽の詰まった大きめの

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第12話:うれし恥ずかし――情けなし

【前回のあらすじ】
「星の牙」を名乗る海賊の船からヴェロニカという女性を救出した。ひとり浮かれているタクヤは、レイノンからトランクの配達を命じられる。

 火星にはふたつの衛星が存在する。フォボスとダイモス。火星のそれとは比べるべくもないがそれぞれのラグランジュポイントにもコロニーが建設されており、小規模ではあるがアジア連邦の領土とされていた。

 フール号の降り立ったβ4はスタジアム型のコロニー

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第11話:タクヤ、野良猫を拾う

【前回のあらすじ】
 当然のように海賊を壊滅させたレイノンは、そのまま相手の船の制圧へと動いた。タクヤはまた少しだけ成長したことを自覚したが、彼の大きな背中を見ると、一体正義とは何だろうかと思ってしまう。

 タクヤが無人の船内通路を散策する。
 フール号よりも倍は広い船内は、気を緩めると迷子になってしまいそうである。無人、とは言ったが別に人気がないわけではいない。
 つい先ほどこの船の乗組員は全

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第10話:喧嘩は相手を見てから売ろう

【前回のあらすじ】
 法外な報酬に目がくらんだレイノンがタクヤを連れて新たな仕事へと向かった。目的地は火星の衛生フォボスにあるコロニーである。しかしその道中に、海賊・星の牙を名乗るゴロツキたちに行く手を阻まれた。

 いかつい男たちが列をなして、あのデタラメに広い倉庫の中から次々と荷物を運び出している。

 酒、食料、調度品。
 うず高く積まれていた積荷の山が切り崩され、タクヤは初めてこの部屋の壁

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第9話:因果報応

【前回のあらすじ】
 糊口をしのぐため手っ取り早く稼げる仕事を、総合配送センターへと探しにきたレイノンとタクヤだったが、そこで明らかに法外ともいえる100万UDの報酬がもらえる仕事をゲットした。

 スペースコロニーから宇宙船が出発する際は必ずエアロックというものを通る。それは居住空間と宇宙とを隔てる外壁であり、また気密を保持するために設けられた多重式の扉でもある。

 コロニー内にある停泊所から

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第8話:うまい話にゃ・・・

【前回のあらすじ】
 愛車『リフト・モービル』でコロニー内を配達に回ったレイノンとタクヤだったが、度重なる配送の遅延で顧客からこってりと絞られる。さらに別の配送先では、何ならいわくありげな雰囲気だった。

 宇宙規模にまで拡大したマーケット。
 その物流の最前線とも言える総合配送センターは、各コロニーに最低でもひとつはあった。そびえ立つ円筒型のビルは人類繁栄の象徴か。

 総合配送の名の通り、その

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第7話:宇宙で運び屋やってます

【前回のあらすじ】
 レイノンが船長をしている貨物船「フール号」で目を覚ましたタクヤだったが、彼の本気とも冗談ともつかない言動に振り回される。そしてタクヤはレイノンを仕事を手伝いはじめた。

 フール号の船内は大きく分けて船首、船腹、船尾の三つ。
 さらに船腹は三つの階層からなっている。

 一番上は艦橋で、甲板から上部に突き出している。その下が居住スペースになっており、リビングを始めとする個室が

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第6話:『Fool』と『F001』

【前回のあらすじ】
 誘拐犯に拉致されていたタクヤは、ひょんなことで出会った謎の男レイノン・ハーツに助けられ、彼の船へと乗り込んだ。

【 2 】

 窓のない広い部屋にひとり。
 煌々と明かりは灯るが壁すら見えない。うず高く積まれた荷物の山が部屋中を埋め尽くしていた。

 奥の方になるとかなり永いこと動かされた形跡がなく埃塗れだ。足の踏み場――ぐらいはあるようだが人ひとり通るのがやっとである。

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第5話:一握りの勇気

【前回のあらすじ】
 一瞬のうちに艦橋を制圧してしまった白髪の男。その大きな背中にタクヤは自分の求める「ちから」への憧れを見出していた。

 自分とは住んでいる世界が違い過ぎる。
 直感でそう思ったタクヤは、まるで珍しいものでも見るかのように彼らを眺めていた。そしてようやく思い至ったのだ。

「あ、あの……メイド、さん?」

「エイプリルとお呼び下さい」

「あ、じゃあ、あのエイプリルさん……」

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第4話:四月のメイドさん

【前回のあらすじ】
 誘拐犯の船に乗り込んできた白髪の男は、「当たり屋」であることを悪びれることなくオカシラたちを脅迫する。行き過ぎた態度から、ついには戦闘となるが――。

 白髪の男を四方から取り囲んでいたチンピラたちは、突然の嵐に動転してまだ身動きが取れない。

 だが嵐の止む気配は一向になく。
 まるで本物の竜巻のように男は回転した。
 突き出されたブーツは凶器となり、棒立ちになっていたチン

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