命在るカタチ 第二話 日常の狭間(過去作品)

合作小説『命在るカタチ』(life exist form (Life's existe a Form))

第二話
「日常の狭間」

 ブラインドで光をさえぎり、光を落とした会議室。
 ここでは現在重要な会議が開かれていた。

 カシャッ カシャッ

 OHPのスライドに未羅が映っている。
 ゲームセンターの未羅。
 泣き出してしまう未羅。
 喫茶店でオレンジジュースを飲む未羅……

「……以上が

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珈琲の大霊師306

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最終章

    珈琲の大霊師

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 ――大陸北部

 二つの国が、国境を挟んでにらみ合っていた。

 物々しい装備、血を求める鈍色の武具。そして、血走る目。

 彼らは総じて気が立っていた。それも無理は無い。

 その原因は、彼らの国境に突如立てられた1つのテントにあった。

 彼らの王、両国の王は、昨夜前線の

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『天使のはにかみ』10話/全10話・完結

『天使のはにかみ』10話/全10話・完結

 第三商店街の一角にある金物屋に珍しく行列ができた。

 内装の広さを体が小さいドベルに合わせているため、多くの種は外でカタログを見て声をかける形の、ほとんど倉庫同然の工房だ。それでも体裁としては多数の陳列棚を並べた店舗なので、入口前では招き猫の鏡のような表面が陽を受けて輝いている。

 行列も掃けた、招き猫が陰に隠れるまで日が傾いたころに男がやってきた

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読者さん! 操作は小さいが私にとっては大喝采
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【男声向け】いわゆるナンパってやつ【フリー台本】

とあるカフェは貴女のお気に入りの場所。
今日も友人との待ち合わせでひとり、時間を潰していたら──。

男声向けの音声作品台本のシリーズ(完結済み)。
別サイトからのサルベージです。

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利用時の連絡は任意ですが、一言お声がけいただけますと私が非常に喜びます。ご連絡いただけます場合は、該当台本にコメントしていただく形でお願

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しあわせストーカー日記

1.すべてが嘘でありますように

 タクシーの中での私はおしゃべり。だって会話の相手とは、もう二度と会うことがないから。一期一会の運転手、もしくは隣に座っている男の人との目的地に着くまでのやり取りは、降車の瞬間に夜の空気の中に消えてしまう。掃除機のコードを収納するボタンを押したみたいに。
  星の見えない繁華街や自分のヒールの音だけが聞こえる住宅街で、深い夜の中に吸い込まれていった私の話は、もうど

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しあわせストーカー日記|6.運命は正しく歪む

あおいちゃんからのメッセージに添付されていた手書きの地図は分かりやすく正確だったので、私ははじめての土地でも迷うことなく無事に他人の家の中に侵入することができた。家主が帰ってくるまでまだ時間はあるはずだけれど、できるだけ長居はしたくない。
 床には男物の洋服が脱ぎっぱなしのまま散らばっている。踏んづけないようにつま先立ちで部屋の奥にある木製のチェストの前まで移動した。目的の青い缶ケースは、メモの通

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しあわせストーカー日記|5.あ・い・そ・わ・ら・い・も・力尽きて

ヘアメイクさんに髪の毛をセットされている鏡の中の自分を眺めていると、私はいつまでこんなことを続けるのだろうと、整っていく髪型とは裏腹に気持ちはどんどんすさんでくる。
 恋人がいる時は相手に好印象を与えたくて昼の仕事に就くけれど、相手と別れれば私はすぐに水商売に戻ってしまう。この仕事は大嫌いだったし、向いてもいなかった。いつまでもこうやってキャバ嬢をやれるわけではないのだから早く堅実な仕事に就かなく

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しあわせストーカー日記|4.赤い私とミドリの彼女

「来週、ランチ行かない?」
 美南(みなみ)から送られてきたそのメッセージに、もう三日も返信をしていない。千塚さんのいるLinxにはこまめにアクセスできても、それ以外のことになるとからきしダメ。メッセージを受け取った時点での来週はすでにもう今週だ。彼女にはいつも世話になってばかりなのに、なんて不義理で失礼なことをしてるんだろうと自己嫌悪を覚えるけれど、それでも指は動かない。脳みそも働かない。まるで

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しあわせストーカー日記|3.まぼろしの男

私は千塚さんの指を想像してしまう。
 しなやかな長い指。今、私の口の中にあるこの指が千塚さんのものだったらいいのに……と、いつも、千塚さんではない、私の目の前にいる誰かの指に。

 夜が更けていくひとり暮らしの部屋で私は、スマホを手に取るたびにLinxを開いては千塚さんの日記の更新や彼からのメッセージが届いていないかを確認していた。千塚さんの動きの見えないSNSの画面を見ていると、飢えて死ぬ寸前

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しあわせストーカー日記|2.IDLING FOR LOVE

まなこはぐしゃぐしゃに泣いていた。
 これから私にされることを予感しているのだろう。それが楽しいことでないのは、彼女の身体がコンクリートの冷たい台の上に拘束され、その顔の前にナイフがかざされていることが教えてくれている。
 身体の端々に刃先が当たるたびにまなこは泣き叫んで、それが、当たり前だけれどいつも聴いているその声と同じなので、私は分かっていても我慢ができなくなってしまう。自分の聴覚をサイレン

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