見出し画像

#4 テクノロジー化しなければ自治体も企業も負けてしまう?

働きごこち研究所」という会社を経営している、藤野貴教(ふじのたかのり)と申します。人・組織の働きごこちを研究して、大企業や経営者向けの研修、採用コンサルティングをしています。今回は「テクノロジー化されないことのリスクと、現場社員が今からできること」についてご紹介します。“これからの働きかた”に興味がある人、大企業で働きづらさを感じている人、どうせ働くなら楽しく働きたい人に、ぜひ読んでいただけましたら嬉しいです。

▶︎前回の記事
#3 世界で1番早く「高齢化」が進む国、ニッポンに対して僕らができること

テクノロジー化されなければ負けてしまう

人口減少に伴って、今や自治体は、住民票いわんや住民税の激しい取り合いをしています。生産年齢人口を増やす上で欠かせないのは、スマートシティ化です。スマートシティ化とは、先進的技術の活用により、地域の機能やサービスを効率化して、快適性や利便性を含めた新たな価値を創出する取組みのこと。共働き世帯が増え、日々忙しくしている人が増えているからこそ、スマートシティ化が遅れると住民は他の地域に流れていきかねません。

福岡市は今、株式会社LINEと手を組みスマートシティ化を進めています。以前は、粗大ごみの引き取りを希望する際は2日前に電話をし、支払いは郵便為替をする必要がありました。ですが今は、隙間時間にLINEで引き取りを伝え、支払いはLINE PAYで可能に。非常に便利になっています。こうしたスマートシティ化の後押しもあり、福岡の移住者は年々増加しているとのこと。

画像1

自治体の例は、企業のマーケティングにおいても同じです。先進的技術を活用し、効率化された快適で便利なサービスに人は集まる時代です。世界を例に見るとそれは顕著に分かります。

平成元年に発表された世界の時価総額ランキングは、50社中35社が日本でした。ですが、平成30年にはなんと、トヨタ自動車しかランクインしていません。トップランキングは、Amazon、Microsoft、Facebookとどれもテクノロジー企業です。そして7、8位は、中国版LINEのようなサービス「WeChat」と、中国人が普段使いしているキャッシュレスサービス「Alipay」を進める中国の企業でした。以下の図からも分かるように、テクノロジーを活かした会社が飛躍的に伸びているのです。

スクリーンショット 2019-11-03 21.15.40

日本の大企業に研修へ行くと「上の理解がないからテクノロジー化は無理なんです」という意見をよく耳にします。経営陣クラスは50代後半から60代であるため、テクノロジーに対する感度がまるっきり違うのです。

ですが、今若い世代の人たちが経営の主導権を握るのを待っているうちに、海外の企業にはどんどん差をつけられてしまうでしょう。では、まず何から始めたら良いのか、現場で試せる簡単な考え方を紹介いたします。


改善のヒントはあなたの「現場」にある

あなたの日頃の業務の中に、テクノロジーを使うことで改善できる業務はないでしょうか。例えば、取引先とのやりとりの中にそのヒントが隠れているかもしれません

僕は以前、とある京都のメーカーと仕事をした際に「請求書は紙で郵送してください」と言われました。『テクノロジー活用』という研修を請け負った仕事だったにも関わらず…悲しかったですね。あなたもルールだからと当たり前のように「請求書は紙で」とお願いをしていませんか?

実は紙で請求書を送る場合、請求書を印刷し、2枚以上の際にはホチキスどめをしてセロテープで止め、割印と代表印を押して、封入をする必要があります。もちろん送り先を書いて、発送手続きをしに郵便局にも行かなければなりません。これほどの手間が生じてしまうんです。

そしてこの手間はもう、今の時代省けないわけではないんです。契約締結をクラウド上で行える「クラウドサイン」は法律上問題はありません。多くのベンチャー企業は活用しています。請求書はひとつの例で、実際に請求書の管理の仕方を変えるには上の判断が必要になるとは思いますが、普段当たり前のように行なっている業務に疑問を持ち、より効率的に快適にする方法はないのか、自分で調べてみることは非常に大切です。

普段自分が関わっているステークホルダーに不便をかけていないか、1つずつ洗い出し、解決策をぜひ考えてみてください。彼らを喜ばせるために、何を変えることができるのか。現場で働く人はまず、不便や不満が潜んでいるかもしれない現状を認識することから始めてもらえたらと思います。


▶︎関連記事
#1「働く」の、これからを。“働きごこち研究所”が立ち上がるまでの軌跡
#2 人工知能時代の働き方——まずは日常生活で「サクサクユーザー」を目指そう
#3 世界で1番早く「高齢化」が進む国、ニッポンに対して僕らができること

▶︎働きごこち研究所についてはこちら
http://www.hatarakigokochi.jp/
▶︎藤野貴教の書籍 『2020年人工知能時代 僕たちの幸せな働き方』は、おかげさまで中国・台湾・韓国で翻訳されました。
https://www.amazon.co.jp/2020年人工知能時代-僕たちの幸せな働き方-藤野-貴教/dp/4761272546

藤野貴教 Fujino Takanori
株式会社働きごこち研究所 代表取締役 ワークスタイルクリエイター
2007年、株式会社働きごこち研究所を設立。「働くって楽しい!」と感じられる働きごこちのよい組織づくりの支援する傍、2015年より「テクノロジーの進化と人間の働き方の進化」をメイン研究領域としている。日本のビジネスパーソンのテクノロジーリテラシーを高め、人工知能時代のビジネスリーダーを育てることが志。グロービス経営大学院MBA取得。『2020年人工知能時代 僕たちの幸せな働き方(かんき出版)』を上梓。
執筆アシスタント : 水玉綾 Aya Mizutama   フリーランスの編集者・ライター
株式会社CRAZYにて人事担当として、2016年10月に採用広報を目的としたオウンドメディア「CRAZY MAGAZINE」を立ち上げ、2018年7月に独立。現在は外部広報として「CRAZY MAGAZINE」の編集長をする傍、DeNAの採用メディア「フルスイング」で企画編集や、「新R25」「未来を変えるプロジェクト」等のメディアにて働きかた・組織論を中心としたインタビュー・記事制作を担当。


2冊目の本書いていて、たまにやる気出すためのNote書きます。