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榛名山のはるなさん

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榛名山、走り屋でこの言葉を聞いてピンとこない人間はいないだろう。群馬エリアの中でもかなりの精鋭達が週末になると集結し自分達の走りを磨いている。 『1番速く走る』 たったそれだけの… もっと読む
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榛名山のはるなさん 第15話

15話 C32ローレル VS RX-7FD3S

「戦でござるううううぅぅぅっっっっ!!!!」
意気揚々とナイトウとタムラはC32ローレルに近づく。
その時、ちょうどエンジンルームを整備する事に集中していたはやまるが顔を上げる。

「あれぇ、どこかで聞いたことあると思えば君達は、、」

「おおっ!その声ははやまる殿!!まさかこのローレルははやまる殿の車でござったか!」

「違う違う、こ

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榛名山のはるなさん 第14話

第14話 メイク&バトル

軽井沢インターから入り、群馬方面へ向かう。
古い車だが、オーナーはこの車を普段からも乗っていて大切にしており、ETCなどの設備もしっかりしていた。

「ステアリング軽いですね、、もしかして入れてます?」

「うん、パワステ入ってる。オーナーさんがどうしても運転しづらそうだったからサービスで付けてあげたんだ。」

「サービス!?はやまるさん気前良すぎですよ

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榛名山のはるなさん 第13話

C32型ローレルとはるな

午前中はあっという間に過ぎた。
「ふぅ、流石は僕!午前中でなんとか終わり!おーい、はるなそろそろご飯にしようぜ。いつも通りはるなの分も作ってきたよ。」

「やった!今日のランチは何かな〜。」

「すみませーん。」
その時ガレージを訪ねる声がした。はるなは女性客なんて珍しいと思いながら立ち上がり向かう。お客さんの対応ははるなの担当だ。
はやまるが対応しても良いのだ

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榛名山のはるなさん 第12話

第12話 はやまるとローレル

「すいませんでしたああぁぁぁぁっっ!!!」

女子3人の前での男2人の本気の土下座はなかなか異様な光景だった。
2人の行動は早かった。
車を降りた瞬間、BRZを見つけるとすぐさま近くに車に走って近づく2人は女子から見れば恐怖の対象でしかなかった。

はるなはその後もBRZで走るのが楽しくなりほぼ全力で車坂峠を攻めていた。
後方を見る事も忘れていた。到着し

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榛名山のはるなさん 11話

第11 話 BRZ vs エボ IV

ズギャアアアアアアア!!

けたたましいホイールスピンの音を立て、 BRZは高峰を猛スピードで下る。

「凄いねBRZ !レッドゾーン近くまでこんなにスムーズ に気持ち良く回るのね! 7500 回転まできっちり回してあげるよBRZ !」

スバル BRZ 。トヨタのFT86とは兄弟車である。ボクサー エンジン FA20 を搭載し、可能な

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榛名山のはるなさん 10話

第10話 コンセントレーション

卓球部のエースと互角近くの卓球をプレイするはるなに体育館は大盛り上がりだった。
学校では今まで空気的な存在のはるなが、峠でのバトル並みに一気にスポットを当てられていた。

1セット目は、はるなが先取した。2セット目はギリギリの戦いでシズカが先取。
3セット目もほぼ互角の戦いだった。

気がつけば、10-10。
同級生も、、、いや、ギャラリーも否が応にも

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榛名山のはるなさん 9話

第9話 才能のかけら

「はるな、はるな!!」

「ふにゃ、、、プリンはプッチンしないで食べるのが美学です!」

「何の話よおバカ!次体育だよ!」

「え、、、やば!」

本日の体育の内容は卓球であった。
はるなはサツキと一緒に卓球台でしょぼいラリーを繰り広げていた。というよりさせられていた。サツキのせいで。

「くらえ!!我が魂、スピリットオブ、、、ジャベリン!!!」

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榛名山のはるなさん 8話

第8話 日常のファンファーレ

それは、はやまるだった。

はやまるがはるなを支えながら涼音とギャラリーに向かって言う。
「ここ最近、コイツも車いじったりで寝不足でさ、また次の機会でどうかな?」

「はやまるさん、、」

「、、、はるなちゃん、この人は?」
涼音ははやまるの突然の登場にビックリし目を丸くする。

「えと、この人ははやまるさん。私のバイト先の人なの。」

「初め

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榛名山のはるなさん 7話

第7話 伝説と週末は、終わりを告げ始まりへ

スタート地点にいるケンスケに連絡が入る。
「勝ったのは、、、ギャランです、、」

ケンスケは悔しさいっぱいの気持ちを抑えながら、サンライズのメンバー、ギャラリーに聞こえるように言った。

「今連絡が入った!!今回のバトル、、、勝ったのはギャランだ!!!」

ギャラリーが一気に湧いた。

「うえええええ!!!嘘だろ!?あの涼音さんが!?

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榛名山のはるなさん 6話

第6話 NSX vs ギャラン 終焉

ヘアピンが終わり、この後は4連ヘアピンの中低速セクション。高回転ユニットのV-TECは高回転まで回すことで出力を得る。
しかし、はるなのギャランは違う。2リッター4B11エンジンの最高速を犠牲にし、中低速回転域で進化を発揮する様に考えられたチューニングである。ここは希望の場所。ほんの少しだけギャランに分があると思える唯一の場所。

しかし、吸排気系

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榛名山のはるなさん 5話

第5話 NSX vs ギャラン 先行の代償

普段の生活では、絶対に聞かないであろうエンジンの咆哮。公道ではあり得ないスピードで一気に加速していく。
そんな中でも前を走るギャランと1mもない感覚で追走するNSX。

「ごめんねーはるなちゃん。まずはあなたの年齢では考えられない、狂気じみたテクニックを後ろから見せてね。」
涼音がにこにこしながらギャランを見つめる。

最初のヘアピンに差し

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榛名山のはるなさん 4話

第4話 究極の榛名山バトル after24hour

ケンスケが負けた次の夜、榛名山には不思議と走り屋達がいなかった。いや、正確にはいる。しかし、誰も走っていないのだ。

サンライズ榛名のナンバー2が負けた。SNS全盛期のこの時代、ニッチな世界の情報伝達は凄まじく早い。ケンスケが負けたのを見ていたギャラリーがSNSに一斉につぶやいたせいだ。

ギャランの存在は一気に伝達され注目される。

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榛名山のはるなさん3話

CY4Aのセッティングと白鳥姉弟

ここ、長野県はある1画だけ芸能人や政財界、また都会からの人達の避暑地になっている場所がある。
そこはショッピングモールやアウトレットでいつも賑わっている地域、軽井沢。

そんなオシャレな避暑地の駅から、少し離れた所にある異質な場所。駅近くの一等地だというのにヤケに広い土地があった。そこには無造作に何十台もの車が置いてあり、オシャレとは無縁な場所。

解体

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榛名山のはるなさん 2話

「ふう、、、疲れたぁ、、」

シビックを完全にバックミラーから消し去り、ギャランフォルティスのドライバーはやっとアクセルを抜き、ため息を一つついた。
近くのコンビニに入り、車を停める。
外の空気を吸う為に運転席がゆっくりと開けられる。

降りてきたのは、、身長160センチに満たない小柄な女の子であった。
肩甲骨までかかる髪、定規で合わせて切った様なまっすぐのパッツン前髪。ぱっちりした瞳。服

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