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3万円のビールの味は鉄の味。

今回の話の要点はこうだ

・アル中の考え方はぶっ飛んでいる
・ヤンキー上がりの先輩には独自の常識がある
・金を巻き上げられる

それを踏まえて読んで頂きたい。


先輩の話だ。

、、、こう書いてみて気づいたのだが、以前の僕は先輩とばかりつるんでいたのがよくわかる

あの日は昨日のように雪が降り積もるクソ寒い日だった。ぼくは家で『ベルセルク』を読んでいた。良い気分で自分の時間を過ごしていたのに、携帯がけたたましく鳴り響いた。画面を見ると相手は先輩だった。
僕はため息をつきながらもすぐに電話をとる。

「よお、どーせヒマしてんだろ?ちょっとビール買ってこいよ。」

「え、雪降ってるよ、、、それに、、ぼくんちから先輩んち行くのに今だとかなり時間がかかるよ、、、」

「おらあああああ!!!!つべこべ言ってんじゃねえええええ!!!車のガソリンが少ねえし、雪降ってるけどタイヤノーマルなんだよバカヤロウ!!早く買ってこいやあああああ!!!」

「、、、、、、、。」

断ると、もう僕には未来が見えていた。
先輩はそうゆう時だけ行動力全開で必ず復讐しにくる。

なので僕は渋々了解し、先輩の家に行く事にした。

僕の実家はまあまあの雪国だ。それなのに先輩が冬用タイヤを買ってないのは、ただ単にお金が無いからだ。先輩は当時無職だった。

案の定、先輩の家までいつもなら車で20分程度で着くのに1時間半かかった。その間も先輩から怖い話に登場するメリーさん並に怒涛の着信がきていた。
その度に先輩は濁点がいっぱい付いている言葉ばかりをセレクトした言葉をシャワーの様に浴びせられた。

この人は理不尽って言葉を知らないのだろうか?

たかだかビール6本を届けるために宅配amazonごっこをして先輩の家に着いたのに、なぜか先輩は不在で車で出かけていた。
先輩に電話してみると「てめぇが遅ぇから自分で買いに出かけたんだわバカヤロウ」と言い放たれた。

先輩の家に火でも点けて暖まってやろうかな?と本気で考えた。しかし、怒りを押し殺して先輩の部屋に上がり、とりあえずプレステを蹴り上げた後、また何事もなかったかの様に所定の位置に戻した。


しばらくすると車の音がした。

ボロロロロロロロ!!!!!!グギギギ!!!
なんだ!?と思った。
直管マフラーに乗った地獄の使者が先輩の首でも刈り取りに来たかな!?なんてバカな事を考えながら庭に出てみると先輩の軽自動車だった。

どうやら事故ったらしく車のフロントタイヤはあさっての方向を向き、フロントガラスは粉々に砕けていた。


そして、ひしゃげたドアを蹴り飛ばしながら先輩が血だらけで降りてきた。

「クソいてぇよコノヤロウ!!」

「ちょ!血だらけじゃん!!先輩、病院行こうよ!!」

「はぁ?まずは消毒だろ?まずはアルコール飲んで体の中から消毒だバカヤロウ!」

バカはアンタだよ。とツッコミたかったがとりあえず、先輩は血だらけのまま自分の部屋に行きビールを飲み始めた。

「チクショウ!カーブで2トントラックが滑ってきやがって突っ込まれたわ!おかげでグチャグチャよぐちゃぐちゃ!!」

「え!?なんで警察呼ばなかったの!?」

「いや、危うく呼ばれる所でヒヤヒヤしたんだわ。いやー呼ばれてたら完全アウトよ。車検半年くらい切れてるからな。」

「え?」

「だから呼ばれそうになった瞬間、『ちょっと待ったああああああああ!!!』って叫んでよ。事情説明したら納得してくれたわ。いやー良かった良かった。」

あっちのドライバーからしたら自分が悪いのに警察に連絡するな!なんて意味不明だろうな、、しかも血だらけのオバケが全力で止めに来てるし、、、

その後、先輩は自分の母ちゃんに救急箱を借りてくると僕に手当てをしろと命令してきたのでテキトーに頭をガーゼと包帯でグルグル巻きにしておいた。

田舎に戦争帰りのヤンキーが誕生した瞬間でもあった。

笑いをこらえながら、その後は一緒にゲームをしていると先程事故を起こしたトラック運転手が訪ねて来た。
てっきり謝罪に来たのかな?と思って玄関に覗きに行き話をコッソリ聞いていたら

さっきの事故は黙っといてやるから3万よこせという話だった。

先輩は母国を奪われた兵士のような顔をしながら3万円をソイツに渡していた。

僕は先輩の部屋に戻りながらグランツーリスモを再プレイしながらふと思った。

アイツ、、、踏んだり蹴ったりだな、、、。

シンシンと雪の降る日にサンタクロースが届けたプレゼントは絶望だった。笑笑

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