本当の怪談は意味が分からない。

『夏の日の横断歩道』

ふと思い返すと僕の日常の中で、バカが頻発に勃発するのだが、怪奇現象も同じくらい勃発する。
ただ、やはり毎回そうなのだが意味が全く分からない。ここに1つ紹介しよう。

小学校3年生の時だ。
怪談というと夏の日が定番。
やはり定番の暑い日だった。ぼくはアイスを食べ過ぎたのか、毎日裸で寝るのを習慣にしていたせいなのか、風邪を引いた。
しかし、家の同居していたジジババは学校を休むなんてのは不良の始まりだ。と、心の底から本気で思っているらしく熱でフラフラだというのに休ませてもらえなかった。

よってその日はふらふらのまま学校に行った。

当時、3年生になってからの僕の担任の先生はニキビ顔のデブでブスの女の先生だった。
見た目も悪けりゃ性格も悪くヒステリーもちの文句しかない三拍子揃った素晴らしい先生だった。

僕は、具合が悪くて保健室で休ませて欲しいとブス先生な伝えたが「よし徐々に行こう。まずは1時間目を受けろ」と流石はブス先生。受け答えは斜め上をいっていた。

ぼくは流行りのADHDだったので、授業が始まると同時に学校を飛び出し、近くのクリニックに向かった。

そこはヤブで有名だったが、近所のジジババでいつも賑わっていた。
なぜなら近所にはそこしか病院がないからだ。

学校から300メートルぐらいの場所だったが、その時は本当に遠く感じた。

はぁ、はぁ、、、

途中、横断歩道で白杖を持ったじいさんがいた。
じいさんの隣に僕が並ぶとじいさんは「そこの僕、〇〇病院に行きたいのだが、道を教えてくれないか?」
と話しかけてきた。
ぼくは自分で精一杯だったが、困ってる人を見捨てないポリシーなのでじいさんの手をとり僕の向かってるのも〇〇病院だから一緒に行こうと2人で病院に向かった。
と、言ってもその横断歩道から〇〇病院はまっすぐ50メートル程度。
あっという間に到着し、〇〇病院の入口でじいさんに
「ここが〇〇病院だよ、じいさん」
「おお、ありがとうな僕。」

話して前を向いたら、、、

意味が分からなかった。全然意味が分からなかった。

間違いなくじいさんの手を引き、横断歩道を渡り病院まできたのに、、、

僕は、横断歩道でじいさんと手を繋いで立っていた。

「え!?」

「僕、もう手を離して良いよ」

「ごめん、じいさん勘違いした。僕熱があってボケてたみたい。〇〇病院だよね?行くべえ」

「ん?今着いた気がしたけど、、ワシもボケたかのう。それじゃ、、僕、お願いね。」

「うん」

そして今度こそは間違いなくいつもの通りをじいさんと話しながら歩き、じいさんの住んでる所の話や、僕んちは厳しいから風邪引いてるのに学校に行かされてる話をした。
そして間違いなく〇〇病院のドアを開けて受付に行こうとしたら

僕とじいさんは横断歩道歩道に立っていた。

「え!?!、、ちょい、、、ちょい待て、、、おかしいぞ」

戻ってる。確実に戻ってる、、、

「何がおかしいんじゃ?それじゃ僕、〇〇病院までお願いしようかの。」

「え?」

さっきはじいさんも着いた気になっていたのに今度は、じいさんの記憶も無い。なんでだ?

「うん、、、」

僕はじいさんとまた同じ道を歩いた。
まったく意味が分からないまま、また病院に到着した。
そしてさっきとまったく同じように病院のガラスドアを開けて受付に向かおうとしたら

横断歩道に戻っていた。
「だからなんでぇ!?意味がわかんねえ!!」
そしてさっきまで手を握っていたじいさんもなぜかいなかった、、、
確実にじいさんの手を握っていた。まだじいさんの手の感触が残っていた。
意味がまったく分からなかったが、暑いやら具合悪いやらでさっさと薬が欲しかったのでまた〇〇病院に向かった。

そしてなぜか今回は普通に受付をすませられた。
僕は気になって受付に白杖を持ったじいさんが今さっき来たか聞いてみたが受付の看護師さんは面倒なガキだな、、って思いを100%表情に出して「来てない」と一言だけ言った。
看護師の言い方はムカついたが、本当に意味が分からなかった。
待合室で大人しく座り、1時間ほど待った。
その後、まったく必要とは思えない診察を1分程で終え、金が無いので後で持ってくる事を伝えた。地元なのでそーゆーのがありだった。

薬を貰って病院の外に出ると、横断歩道にいたじいさんが病院の入口にいた。
ものすごくびっくりしたし声をかけたかったけど、僕はガラスドアを開け「どうぞ」と一言だけ言ってじいさんとすれ違った。

そして振り向くとじいさん入口に入った途端消えた。
youtuberのヘタクソな編集のように。

もう2度と関わりたくないなと思いながら、その日は学校をサボって近くの秘密基地で薬を飲んだあと夕方まで寝た。
家に帰るといつも通りジジババにゲンコツを食らった。

風邪引いてフラフラなのにゲンコツ食らうのも意味がわからなかったけど、じいさんの事もあるし具合悪いしさっさと寝たかったので風呂も入らず寝た。

それからそのじいさんは見ていない。

本当の怪談は意味が分からない。


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