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異文化とエンタメを分析する2023年11月の読書7冊

今月の読書は異文化系×2冊、エンタメ系×5冊。
異文化系の1冊は会社で回覧されたもの、他の6冊は図書館で借りたものなので投資額は0円。それぞれ簡単に紹介する。


①世界の広告クリエイティブを読み解く(山本真郷/渡邉寧)

私の普段の仕事のことは会社の規定上、SNSで語れないためnoteでもほとんど触れていない。一言だけ言うと「グローバル人材育成」に関わっている。
この著書は、会社で委託している講師の方が自身の海外経験を踏まえて、異文化を「広告」という目線で考察した一冊。(職場にて回覧されていた)
世界の広告や販促などのクリエイティブ事例を、ホフステードの6次元モデルを用いて読み解く。
“広告”を見ればその国の“文化”を理解できる
例えば、男性性の強い米国を代表するビールブランド、バドワイザーのロゴは「THE KING OF BEERS(ビールの王様)」と自信満々。
一方、女性性が勝る国、デンマークのビールブランド、カールスバーグのキャッチコピーは「PROBABLY THE BEST BEER IN THE WORLD」、これは1973年から使われているそうで、「PROBABLY(たぶん)」と謙虚に表現している点が興味深い。
広告という媒体を使うことで、文化の差を端的に理解できる点が非常に良かった。そして、日本と世界という単純な構図ではなく、各国文化の差を相対的に理解しビジネスを行うことが重要であることを改めて学習した。

オシャレカフェにて


②異文化コミュニケーション学(鳥飼玖美子)

もう一つ「異文化」をテーマにした1冊。
私にとっての鳥飼さんはNHKの英語教育番組の先生として大変お世話になった方という印象。(といっても英語が話せるようにはならなかった・・・笑)
異文化コミュニケーションと言っても、民族や言語の違いだけでなく専門性が異なる人同士の対話も含まれ(コロナ禍で顕在化)幅が広い。まさにダイバーシティがテーマである。
それらを数多くの海外ドラマの具体的なセリフやシーンから検証する。
というかほぼ韓流ドラマの引用であり(引用の量もハンパない💦)鳥飼先生が韓流ドラマに相当ハマったことがうかがえるのも楽しい。私はK-POP好きではあるが韓流ドラマはほとんど観ていない。韓流ドラマを観ていれば、もう少し入り込めるのかな・・・とも感じた。
ほとんどエンタメカテゴリーの書かもしれない笑

スタバなう


③放送禁止歌(森達也/デーブ・スペクター)

1999年11月フジテレビで放送された『「放送禁止歌」〜歌っているのは誰? 規制しているのは誰?〜』の制作過程を書籍化した一冊。
放送禁止歌と聞くと個人的にはつボイノリオが懐かしいが笑、そもそも歌を放送禁止にする規制など存在していないことを知る。
あくまでメディア側の自主規制が基本、「タブー」に対し思考停止でリスクを負うことを避ける日本のメディアの実情が浮かび上がる。それは某アイドル事務所の問題に代表されるように、24年経った今も本質的に変わっていないと感じる。
そして、取材はかなり際どいところまで突っ込む様相、筆者の取材姿勢・信念に驚いた。その詳細をここで書く勇気は私にはない・・・
尚、著者の森達也氏のことは本書を読むまでまったく存じ上げなかったが、今もかなり際どい?社会問題に切り込んだ活動をされていることを知った。


海の家のかき氷とともに
実際は夏に読んだことがわかってしまう


④くさらないイケメン図鑑(吉田潮)

イケメンという言葉が定着して久しい、ハンサムでも二枚目でも男前でもなく「イケメン」
イケメンを好むイラストレーターがアイドルを除く256人の俳優をカテゴリー分けしてイケメン愛ゼロでイケメン分析...というよりも筆者の偏見でイジる。だから何だよ、という内容であるが、それを読む自分も何だよ、ということでもある。とてもくだらないが、とても楽しい一冊。
観察力と表現力のセンスはなかなかのものである。

井の頭公園のカフェにて


山田孝之はマリモ(^^


⑤一発屋芸人列伝(山田ルイ53世)

一発屋と呼ばれテレビから姿を消した芸人たちの人生は、今も続いている。
一発屋芸人12組に対し一発屋の筆者が取材。
レイザーラモンHG、波田陽区、テツandトモなどの一世を風靡?した芸人から今や二発屋芸人?のとにかく明るい安村、そして0.5発屋芸人のハローケイスケ(私はほぼ知らなかった)まで幅広い。
涙なしにはなしには読めない?人生ノンフィクション
そして、何よりも筆者のウィットと知性に溢れた文章に魅かれる。

なぜかドキンちゃんチョコとともに


⑥筒美京平 大ヒットメーカーの秘密(近田春夫)

シングル売り上げは7560万枚で、2位の小室哲哉(7184万枚)を凌ぐ
作った曲は3000近く、日本一のヒットメーカーが亡くなって3年。
私生活をほとんど知られていない「含羞の人」の秘密に迫る一冊。
「仮面舞踏会」ではカラオケでお世話になりました。

青春時代、早見優の大ファンであった


⑦ぼくのマンガ人生(手塚治虫)

61歳で亡くなる直前の講演記録を編集、肉声がそのまま伝わるかのような熱いメッセージは没後30年経った今も色褪せない。
戦時下にも関わらずマンガという才能を認めてくれた大人たちがあったからこそ、日本のマンガの歴史ができた。
子供(若者)の限りない可能性を信じよう。

生きていたという感慨、生命のありがたさというようなものが、意識しなくても自然に出てしまうのです
ぼくなりにそれが人生の最大の体験(終戦)で、とにかく描いているかぎりどうしても出てしまうのです
「生命の尊厳」はぼくの信念です
ですから、ぼくの作品の中にはこのテーマがくりかえし出てきます

本書より引用
高校時代からの手塚ファンである


図らずもエンタメ系に寄ってしまった私の読書投稿を最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
もともと幼少時代からミーハー育ちなので、エンタメ系で面白そうな本に魅かれてしまいます。
それでも、放送禁止歌から読み取れる、昔から変わらない日本のメディアの実態、筒美京平氏の生き様、レイザーラモンHG・山田ルイ53世が単なる一発屋でなかったことなど、学び?が多い読書月となりました。

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