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【思わぬ出会いと再会がある不思議な本屋さん】小さな棚が繋いでいく


このエッセイを楽しみたい方は  Chapter 0  から
本屋のことを知りたい方は         Chapter 4  から

Chapter 0


6連勤が終わり、待ちに待った週末。

天気は、晴れ時々曇り。風も少し吹いている。

梅雨が明けのこの時期にしては

いい気候。

出かけるのにはぴったりの日だ。

今日は前から行こうと思っていた本屋。

「ぼくの書店」

近所の本屋でも、一駅先の大型本屋でもなく

「ぼくの書店」に行くのだ。

なぜ、ここに行きたいと思ったかを話すと

とてつもなく長くなるので、今回は割愛。

ひと言で言うならば、

ここには、本を通して人と人の繋がりがある

直感的にそう思ったからだ。


Chapter 1    ひとつめの勇気


電車をいくつか乗り継いで、

目的地最寄りの駅へ。

駅のホームに着くと

やわらかな声のアナウンスが

優しく迎えてくれた(気がする)。

しかし、気持ちはそれどころではなかった。

緊張と少しのワクワクを携え

Googleマップを見ながら5分ほど歩く。

「目的地周辺です」のアナウンスがあり

周りを見渡すと目印の塀が見えた。

入り方はSNSの動画で予習済。
(入り口は少し見えにくいところにある)

動画の通りに足を進め、

お店の扉の前へ。


ドアに手をかけ、開けようとするが

あれ??開かない。

まさかの休み?!

でも、今日は営業日だったはず。

色々なことを考え一旦引き返すことにした。

そうか、

店主はお昼休憩をとっていて

たまたま、外出中だったかもしれない。

それなら私もお昼ご飯を食べて

出直そうではないか。

一つ目の勇気を使い切った私は

そんなことを考えつつ

近くのスターバックスへ。

30分ほど時間を潰し、

再度「ぼくの書店」に向かう。


Chapter 2    ふたつめの勇気


いざ、2度目の挑戦。

店主も昼ごはんから帰ってきてるはず。

そんな想像をしながら、

扉を1度目より強く引いてみる。

しかし、やっぱり開かない。

今日はご縁がなかったのかもしれない。

諦めて今日は帰ろう。

後ろ髪を引かれつつ、「ぼくの書店」を後にした。


Chapter 3    みっつめの勇気


帰りの駅のホームのベンチに腰をかける。

寂しいような、少し残念なような

そんな気持ちを紛らわそうと

ケータイをひらき、

「ぼくの書店」のアカウントをぼーっと眺める。

帰りの電車がくるまであと6分。

と、ここで

とてつもなくいいことを思いついた。

ダイレクトメールで連絡をとろうじゃないか。

3つ目の勇気を使い

開いているかどうかを問うメッセージを送る。

幸いにも返信がすぐに返ってきて、

お店が開いていることが分かった。

閉店まで45分くらい。

これは、もう行くしかない。

Googleマップを見なくても分かる道を歩き

いよいよ、あの開かない扉の前へ。

取っ手に手をかけ

思いっきり横に引く。

カタカタという心地いい音を立てて

体の幅半分ほど扉が開いた。


Chapter 4   互いを尊重し合う空間で


ついにお店の中に足を踏み入れることが

できたのである。

お店の中は

"外国の田舎の家"と"日本の昔ながらの家"の

いいとこ取りをしたような佇まいで

黄色いやわらなか光が店内を優しく照らしていた。

古い家と本とお花と。

それぞれが自分の個性を持って

互いに尊重し合いながら

存在しているように思えた。




Chapter 5  心地よい距離感の店番さん


今日は「ぼくの書店」の代表の方が

店番をされていた(多分)。

緊張で何を話したか覚えてはいないが

ひと言、ふた言は言葉を交わしたと思う。

その後、私が本棚に向かうと

店番の方もパソコンの作業に戻った(後ろをあまり

見ていなかったのでこれは私の憶測ではあるが)。

ある程度、距離を保ちつつも、

声をかけたい時は、すぐにかけることができる

穏やかな空気がそこにはあって。

人の視線に緊張してしまう私にとっては

心地よい距離感だった。

何度かこのお店に通い、

ここの場所と人に慣れてきたら

店番の方ともお話ししてみたい。

そう思いながら、

徐々に、本棚に意識が向いていくのを感じた。


Chapter 6  出会いと再会がある不思議な本棚


本棚はひと区画ごとにオーナーさんがいて。

小さいスペースだけど、

いや、小さいスペースだからこそ、

オーナーさんの思いや工夫が

たくさん詰まっていて。

本棚を横に見ていくだけでも

本屋さんをいくつも

ハシゴしている気持ちになった。

小さい頃、母に読み聞かせをしてもらった本。


小学生の時に夢中になって読んだ本。

普段、自分が手に取らないであろう本。

将来読めるようになりたいと思う本。

本の数はそれほど多くはないのに

思わぬ出会いと再会があった。

本当に不思議な本棚。

Chapter 7  迎えた一冊の本


本日、迎えた本は、

『大草原の小さな家』。

私が小さい頃に

母が寝る前に読み聞かせをしてくれた本。

この本が誰かに読まれてきたのだと思うと

新品の本にはないぬくもりがあるような気がした。

今夜のお供にしよう。




Chapter 8  小さな野望


いつか

私も、

この本棚の

ひと区画の

オーナーになってみたいなぁ

なんて想像を巡らしながら。




帰りの電車で記事を書いていたら、

乗り過ごしてしまった。

今からは電車を降りることに集中しようと思うので

本日はこの辺で。








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