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内臓脂肪…

皮下脂肪、内臓脂肪、異化性脂肪の中でも特に悪さをするのが内臓脂肪。
今日は内臓脂肪がどんな悪事を働くのか、深掘りします。


肥大化した内臓脂肪が悪さをする

内臓脂肪はアディポサイトカインと総称される生理活性物質を放出する内分泌器官としての役割を持っています。

しかし、その内臓脂肪が肥大化してしまうとアディポサイトカインのバランスが崩れ、病気のリスクを高めてしまうのです。

アディポサイトカインはさらに善玉アディポサイトカインと悪玉アディポサイトカインにわけることができます。

レプチンの増加で食欲がおさまりにくくなる

レプチンは脳の視床下部に働きかけて、満腹感を感じさせる働きがあります。
肥大化した脂肪細胞では、レプチンの量が増大します。
満腹感を感じさせるレプチンは、多くなれば多くなるほど良さそうに感じますが、レプチンは大量に放出されると「レプチン抵抗性」ができてしまい、レプチンの効きが悪くなってしまいます。
つまり肥満の人は食欲がおさまりにくくなってしまうのです。

アディポネクチンの減少で様々な病気の引き金になる

アディポネクチンは、心臓の機能を保護したり、動脈硬化をおさえたりする働きがあります。
アディポネクチンは内臓脂肪蓄積時に低下し、逆に体重が減少によって増加する性質があります。
アディポネクチンが低下してしまうと「低アディポネクチン血症」になり、動脈硬化、糖尿病、高脂血症、高血圧、心不全、慢性腎臓病、COPD、骨粗しょう症、慢性臓器障害・老化加速疾患群の病態に関わることがわかってきています。

TNF-αの増加で糖尿病のリスクが増加する

TNF-αは、筋肉や肝臓での糖利用を抑制し、インスリン抵抗性を介して糖・脂質代謝異常をもたらします。
またTNF-αはアディポネクチンの産生分泌を減少させる作用もあるため、ダブルで良くない事をしてくれます。


あとがき

職場で利用している体組成計には、「内臓脂肪指数」という数値が出てくるようになっています。
「内臓脂肪の方が落としやすい」「皮下脂肪の方が落としにくい」なんて楽観的な言い方をしてしまっていたのでは、、と、ちょっと反省しています。

参考文献
日本内科学会雑誌第100巻第4号
日本内科学会雑誌第105巻第3号
Newton2023年5月号減量の科学


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