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英花伝書ー植物と人間の文化ー

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英花伝書ー植物と人間の文化ー植物と人の生死#4

英花伝書ー植物と人間の文化ー植物と人の生死#4

私が現在描いている作品は植物ー花ですのでそれに関する覚書をまとめます。

なぜ花を題材にするか?

花の存在はわたしたちを慰めてくれる。漢方にも使われるし、アロマテラピーとして実際に癒してくれる。

花そのものが芸術だ。花道、フラワーアレンジメント、美術作品などに使われてきた。

心象のなかの花、心の世界の花。夢の中にも出てくることがある。

花の美しさに心を託す。

花が枯れたときの心の状態、可

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英花伝書ー植物と人間の文化ー(芭蕉と禅仏教)#3

英花伝書ー植物と人間の文化ー(芭蕉と禅仏教)#3

鐘消えて花の香は撞く夕べかな 芭蕉

夕方、寺の鐘の残響が残り、それと共に、桜の香りが鼻に匂うという情景。ここには、沈黙と静寂がある。

芭蕉の俳句は、自己の存在を消して、風景の情感だけを表す。

江戸時代の代表的な詩は俳句だが、現在、老人市民文学に成り下がっている。

高悟帰俗と言う芭蕉の考えに普通の人は至らない。

私は俳句は母から教わった。最高の先生だった。
しかし、芭蕉を読まなかったし、学

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英花伝書ー植物と人間の文化ー#2

英花伝書ー植物と人間の文化ー#2

目が見えぬ霧立ち込める森の闇 ひとり寂しくかなたさまよふ 西川英行

この短歌は、自分の心の状態を森の風景に託し、心象として森を歌ったものです。

このように私の作品は心象を植物に託して表現することが多いです。
 
そうして描くことに意味はあるのか?芸術とは何か?と問うていくことに芸術家としての存在意義を見出しています。
 
現在、私は、芸術とは自己慰安である(自分を慰めること)という吉本隆明さん

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英花伝書ー植物と人間の文化ー#1

英花伝書ー植物と人間の文化ー#1

我々は死の木につかの間の花として咲く Morgan Gibson

 
 私は小中学生の頃は、和歌や俳句で植物を好きになり、高校生の頃から、植物に関する絵を描いてきました。

最近になって、植物に関する考えを深めようと思って知識をあつめようとし、それについて考えようと思いました。

しかし生物学的な本ばかりで、美的側面や、芸術的な、心を慰める植物の世界についての本は見つからなくて、自分で書こうと思

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