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ダメなアンケートとその改善例

ダメなアンケートとは、実施しても結果が解釈できず、反省や改善につなげることが出来ないものです。授業評価アンケートや保護者アンケートなどに、以下の特徴はありませんか?ダメなアンケートの特徴を把握しましょう。

想定するアンケート形式

1:全く当てはまらない、2:あまり当てはまらない、3:どちらでもない、4:やや当てはまる、5:とても当てはまる、で以下の質問に答えてください。

りんごが好きだ。 1−2−3−4−5
みかんが好きだ。 1−2−3−4−5

リッカート尺度のアンケート

記述内容に対して、4段階や5段階の数字のうち、一番当てはまるものを答える形式のアンケートを想定しています。なお、このような形式のアンケートは、リッカート尺度と呼ばれます。

だめな例①:1つの質問項目に2つ以上の要素を入れる

1つの質問項目で複数の内容を尋ねているものはダブルバーレル質問と言います。具体例を見てみましょう。

授業は興味関心を高め、学習に役立ち、わかりやすく、ICTを活用したものとなっている。

ダブルバーレル質問の例

上記は、4つの内容を尋ねている質問です。よく読むと、①授業が興味関心を高めてくれるものかどうか、②学習に役立っているかどうか、③わかりやすいかどうか、④ICTを活用しているか、と4つの別々の内容を一つの文に含めてしまっています。

仮にこの質問に対する回答が5段階(5が最高)で、5:20%・4:30%・3:30%・2:10%・1:10%だとしましょう。3〜4が一番多いので何か授業者の努力が足りない部分があることは分かります。しかし、一体4つの内容のうち、どれがダメだったのかが結果からは分かりません。結果をどう解釈し授業改善に活かすことができないアンケートでは、ダメなアンケートでしょう。

改善例としては、以下のように、質問項目を別々に尋ねることです。この際、質問項目をいたずらに増やさぬよう、精選することも大事でしょう。

授業は興味関心を高めてくれる
授業は学習に役立つ。
授業はわかりやすい。
授業ではICT(タブレットや電子黒板など)が活用されている。

ダブルバーレル質問の改善例

だめな例②:複数の捉え方ができる質問項目

同じ質問項目でも、回答者によって捉え方が異なる項目は、結果の解釈ができないため、ダメなアンケートです。上記のダブルバーレル質問の改善例の1つをよく見てみましょう。

授業はわかりやすい。

複数の捉え方ができる質問項目

『授業は分かりやすい』は一体授業の何が分かりやすいのでしょうか。教員の話し方やスピード、板書の内容、文字の大きさ、プリントの内容、授業の説明、など複数が考えられます。学習者によって、わかりやすいの対象が異なる恐れがあるため、結果の解釈が非常に困難な質問項目になってしまっています。

改善策としては、以下のようなものが挙げられます。誰が読んでも同じ捉え方になるような質問であるためには、質問項目はある程度、具体的な内容にする必要があります。

教員の話し方はわかりやすい。
板書はわかりやすい。
授業資料やプリントはわかりやすい。
教員の説明の仕方はわかりやすい。

わかりやすいを尋ねる質問項目の改善例

だめな例③:主語と述語が不一致な質問項目

ここからは致命的にダメなアンケートの例です。

最低限、日本語として理解できる主述の一致した記述を作りましょう。例えば、『話すスピードは分かりやすい』などの記述文には問題があることは明らかでしょう。

ダメな例④:専門用語を入れた質問項目

一部の人しか理解できないような専門用語を含んだアンケートは致命的にダメなアンケートです。

授業は主体的・対話的で深い学びになっている。

専門用語を含む質問項目

アンケートは、全ての人が読んで理解できる記述にする必要があります。例えば、『授業は主体的・対話的で深い学びになっている』などの例が以前に見受けられました。流行りに乗って作成されたアンケートです。しかし、『主体的・対話的』という用語は一般的に使われるものではなく専門用語です。せめて、『授業では生徒同士意見を述べたり意見を交換する機会がある』などのように、誰でも分かる噛み砕いた記述文にするべきでしょう。

まとめ

よくあるダメなアンケートについて説明しました。アンケートは市場調査や統計調査をする方の専門分野です。その点、教員は研修を受ける機会がほとんどなく、素人同然です。

一見簡単そうに見えても、教員が適当に作ってダメなアンケートが量産されているのを多く目撃してきました。あなたの身近なアンケートが、ダメなアンケートになっていないかどうか、目を光らせてみてはいかがでしょうか?


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