眠れない。
寝不足なはずなのに。
すぐにでも、眠りにつきたいのに。
夢なんて見ずに、気づいたら朝、くらい
そのくらい熟睡したいのに。


不意に、天井が明るくなる。
あ、来た、
寝たいのに、寝れない原因。
あの人からのメッセージ。
画面に映し出される、無機質な文字。
それによって作られる、
愛しさで溢れる言葉たち。


ーおはように、なるのかな。
　今日も君が、幸せだけを感じられる
　そんな一日でありますように。
ふふ、と声が漏れた。
そんな自分を律するように
小さく咳払いをして、
既読がついたことに気づいてくれるだろうかと
数分画面とにらめっこをしていると、
画面が切り替わり、彼の名前。


ー起きてたの、こんな時間まで。
　美容に悪いから、早寝するって言ってたのに。
目を伏せながら、微笑みながら、
喋っている表情が目に浮かぶ。
会いたいの、
うん、
眠れない程に、
うん、
好きよ、
うん、僕も、君を、愛しているよ。


彼の声が、子守唄になる。
夢で、逢いに来てくれる？
そしたらわたし、あなたに逢う為に、
眠れるよう努力するわ。
うん、逢いに行くよ、
少し時間がかかるから、ゆっくり
ゆっくり僕を思いながら目を閉じて。


早く、来て、ね。
目を閉じかけたそのとき、
インターフォンが鳴った。
同じ音が彼の元からも聞こえた。