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神道

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天鈿女と神楽

【天鈿女命】
 天鈿女命「アマノウズメノミコト」は、不細工を表現する、お多福「おたふく」や「おかめ」の起源だとされています。祀られている神社は、三重の椿大神神社や、長野の鈿女神社などです。天鈿女命は、天岩戸神話で、踊りで世界を救った神として知られています。天岩戸神話とは、太陽神である天照大神が、天岩戸に隠れてしまった神話のことです。それに困った神々は、会議を開き作戦を考えました。その実行役を任され

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建御名方について

建御名方について

【国譲り】
 建御名方「タケミナカタ」は、国津神の長である大国主の次男として生まれました。その兄は、神託の神である事代主神です。大国主は、もともと葦原中国「地上世界」を支配していました。しかし、その支配権を要求してきたのが高天原の神々です。高天原の長「天照大神」は、「武甕槌」という力の強い神を派遣しました。
 それに最後まで抵抗したのが建御名方です。建御名方は、千引の石「巨大な岩」を持ちながら武甕

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年神様と正月について

年神様と正月について

【日本神話】 
 年神は、スサノオと大市比売の子として生まれ、多くの妻を持ち、大山杭などの沢山の子をもうけました。日本の神話に、年神が登場するのは、大国主命「オオクニヌシ」の国づくりの話です。当時、大国主命は、少彦名命「スクナビコナ」という右腕を失っていました。その大国主命の前に現れたのが年神です。年神は、大国主命の国づくりに協力しました。大国主命は、日本という国を作った神様です。年神は、穀物の「

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大宜津比売と五穀の誕生

【大宜津比売】 
 大宜津比売「オオゲツヒメ」は、イザナギとイザナミの13番目の子供として生まれました。イザナギとイザナミは、八百万の神々の親だとされています。オオゲツヒメの「ゲ」は「食物」のことです。そのため、食べ物を司る神であり、特に穀物の女神だとされています。オオゲツヒメは、同じ食べ物の神である宇迦之御魂「稲荷神」や、豊宇気毘売神と同一視されることもあります。ちなみに、宇迦之御魂「うかのみた

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倭建命の生涯

倭建命の生涯

【倭建命】
 倭建命「ヤマトタケルノミコト」は、日本を代表する英雄です。別名を、小碓命「オウスノミコト」と言います。小碓とは、産湯を使った石のタライから名づけられました。日本書紀では「日本武尊」と表記されています。「命」や「尊」は、飛鳥、奈良時代に神や皇族などに付けられた敬称です。倭建命は、実在の人物ではありません。大和朝廷の複数の英雄たちを統合し、それらを一人の人物としたのではないかとされてい

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日本人と餅について

日本人と餅について

【餅】
 餅は、稲作文化の日本人にとっては、特別な食べ物です。そのため「ハレ」の日には、必ず餅をついて祝ってきました。ハレとは「晴れ」のことで「儀式」や「祭り」など、非日常のことです。それに対して、普段の生活を「ケ」と言います。もともと餅は、神様に捧げるものだったので、ハレの日にしか口にしませんでした。米には、稲魂が宿るとされています。それを餅にすることで、霊力は増すとされました。餅は、霊力を持っ

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八岐大蛇とは何か?

八岐大蛇とは何か?

【八岐大蛇】

 八岐大蛇は、8つの頭と8本の尾を持つ大蛇です。目は、鬼灯のように真っ赤だとされています。その背中には「コケ」「ヒノキ」「スギ」などの木が生えていました。オロチの名前の由来は「愚かな知」だという説があります。愚かなとは、欲望のままに行動することです。その8つの頭は、迷いのことだとされています。
 八岐大蛇は、越の国から来て、毎年一人ずつ娘を食べていました。そこへやって来たのが、高天

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熱田神宮と「草薙の剣」

熱田神宮と「草薙の剣」

【熱田神宮】
 名古屋市にある熱田神宮は、年間100万人が訪れる日本人の心のふるさとです。熱田神宮は、伊勢神宮に次ぐ、由緒ある神社で、皇室第2の霊廟とされています。昔から「熱田さん」と呼ばれ、人々に親しまれました。熱田神宮「あつたじんぐう」は「熱田大神」を主祭神としています。熱田大神とは、草薙剣を御神体とする天照大神のことです。熱田神宮は、国家鎮護の神社とされています。国家鎮護とは、災いを沈め、国

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神社とは何か

神社とは何か

【神社】
 神社は、神道の信仰に基づいて作られています。神道は、日本固有の宗教です。その起源は「祖霊信仰」と「自然崇拝」とされています。祖霊信仰は、先祖を敬う気持ちから、自然発生的に生まれました。自然崇拝の方は、自然の恵みや、畏怖の念が起源とされています。山、岩、古木などを御神体とするのは、そのためです。
 神社には「産土型」と「勧請型」があります。産土型「うぶすな」とは、地元の人たちの神社です。

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伊勢神宮について

伊勢神宮について

【伊勢神宮】
 伊勢神宮は「お伊勢さま」「大神宮」とも呼ばれています。その正式名称は「神宮」です。他の神宮「じんぐう」と区別するために、伊勢神宮と呼ばれています。伊勢神宮とは、伊勢志摩にある125社からなる神社の総称です。全国にある神社の中心的な存在で、その総鎮守「ちんじゅ」とされています。神道信仰における最大の聖地として、古くは「平清盛」「足利義満」「織田信長」も訪れました。
 伊勢神宮は、

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日本の神話、木花咲耶姫

日本の神話、木花咲耶姫

 木花咲耶姫「コノハナサクヤビメ」は、山神の首領であった大山祇神の末娘です。桜の女神とされ、桜の花のように美しい女神でした。すぐに散る桜は、日本では儚さの象徴です。美人薄明と言われるように、木花咲耶姫は短命であり、人間の有限な命を表現する女神でした。一方、姉の石長比売は、容姿は醜かったのですが、岩のような永遠性の象徴です。木花咲耶姫は、花のように咲いても、永続しない繁栄や栄華などを象徴していました

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