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【毒親】『親という傷 幼少期の心の傷をとりのぞけばあなたの人生は好転する』◇まとめ その10【トラウマ】

 本書のまとめの10本目。今回は「Chapter8 衝突」の後半です。 

 全部の目次は,こちらの記事に記載しています。


Part.3 人との関わり方を変える

Chapter8 衝突(後編)

衝突はどのようにして始まるか

  • 4,侮辱しないでほしい(再びカール(仮名)の事例)

 カールは怒り狂って「辞めてやる!」と言いながら著者のもとを訪れた。彼に一度わめき散らすように著者が進めると,彼は語気粗く一気に語り出した。じっくり聞いてみると,彼の会社の上司がかなり厳しいらしく,上司がカールのことを他の同僚の前でこき下ろしたり,社内のメールを彼だけに送らなかったりなど,ひどい目に遭わされているという。それで,カールとその上司はその日かなり激しく(殴り合いにはならなかったものの)喧嘩をしたらしかった。
 著者は彼が落ち着いてから話し合い,幼少期に海軍軍人の父親から厳しいしつけをされた彼の「帰属意識の傷」が,メールの宛先を自分だけ省かれたことによって活性化したのではないかと分析した。
侮辱は,究極の批判だ。もっとも相手を傷つける衝突の仕方である(p.269)」

  • 5,壁をつくらないでほしい(再びマークとトロイ(いずれも仮名)の事例)

 マークとトロイは,過去のカウンセリングから,互いに信頼の傷があることを,著者も当人同士も知っていました。昨夜,トロイが互いの経済面について,今後のことを話し合おうとしたところ,マークが携帯電話ばかり見ていることにいら立ったトロイは自身の「信頼の傷」の疼きを感じ,節約をお互いに意識しようという旨のことを伝えた。しかしマークはそれを「君だけ節約しろ」と捉えて,マークの「信頼の傷」も疼き始めた。マークは家を出て,トロイが眠るまで携帯電話の電源を切り,一切応じないという壁を彼との間に作ってしまった。

反応性を理解に置き換える

 では,これらの衝突の原因が分かったところで,今後はどのように対応していけばよいのしょう。

 それぞれの事例から読み解くと,著者は次のように提案しています。「(衝突によって生じる)反応性を理解に置き換える」という方法です。

 それぞれの事例の中で,クライエントはパートナー,上司,母親と衝突を起こしました。それによって,「喧嘩を起こす」「いがみ合う」「無視する」などの「ネガティブな反応性」が生じてしまいました。

反応性」については,こちらの過去の記事をご覧ください

 このネガティブな反応性を,「理解」に置き換えること,それをワークとして練習していくことを提案しています。

具体的には,

① まず疼いている傷が,どの傷なのかを見つける。

② 次に,傷が疼くことで生じた自身の「不満」は何かを見つける。

③ その不満の裏側に隠された「感情的欲求」を発見する。

④ 不満と感情的欲求を分けて考え,不満の方ではなく「感情的欲求」を相手に伝える。

 著者はこれらの流れを,ベロニカの事例を通して伝えています。

 自尊感情の傷が疼いたベロニカはパートナーに対して,「自分勝手だ」「私のことを気にかけてくれない」「あなたはこれまでで最低の恋人だ」と伝えるのではなく,その傷の疼きの裏にある感情的欲求を言葉にすることを提案しています。つまり,「わたしは自分があなたにとって特別な存在だと感じたいの」「私のことを思いやってほしいの」「自分があなたにとって大事だと感じたいの」というふうに伝えるのです。

 まず疼いている傷が,どの傷なのかを見つける 。
⇒ 「自尊感情の傷」
② 次に,傷が疼くことで生じた自身の「不満」は何かを見つける。
⇒ 彼が自分の言うことを聞いてくれない。
③ その不満の裏側に隠された「感情的欲求」を発見する。
⇒ 彼が頼みを聞いてくれないことで,自身の存在意義が失われると思ってしまう。私は彼に存在を認めて,大事にされたい。
④ 不満と感情的欲求を分けて考え,不満の方ではなく「感情的欲求」を相手に伝える。
⇒ 言葉にして相手に伝える(前述)

 一見難しそうですが,本書には,( )に書き込む形で,実践できるようになっています。

 しかし,知識として持っていることも大切ですが,人間関係では実践も大切になってきます。「意識した衝突」は,意識しないとできません。
同じように「理解」も意識しないと,できないということでしょう。

 自分の衝突の仕方がまずい場合が多いなと思うならば,本書の「理解に置き換える方法」が役に立つでしょう。

 ただし,著者が勧めているのは,「衝突していないとき」にワークをすることです。なぜなら「衝突の最中はたいてい感情的になりすぎているので,うまく処理できない(p.280)」からです。

衝突を舵取りするコツをつかめば,つながりと親密さにおける果てしない可能性を見出すだろう。(p.281)」

―― ■ 以上が本書のまとめ。以下は私の感想文です ■ ――

 Part.3は少し長かったですが,これまでの5つの傷の疼きから生じる人間関係の「衝突」について見てきました。

 私が感じたのは,人間関係の難しさです。

 みんなそれぞれ著者の言う「見てもらい,聞いてもらい,理解してもらいたい」という欲求を持っています。

 私の場合は娘なのですが,子どもを見ていると,本当にそう思います。何せ子どもはどんな時も「○○ができたから,大人に見てもらいたい」「◇◇があったこと,聞いてもらいたい」「△△な気持ちになったこと,理解してもらいたい」のオンパレードですから。

 私もできる限りそれに応えようとしていますが,上手くいかないことの方が多いと感じます。

 そのため,著者のワークを,私も一人のときにやってみています。

 まだ事例の人々のように,上手くはできていませんが,「意識した衝突」を心がけて行きたいと思います。

 さて,Chapter8が終わりました。次回から「Chapter9 コミュニケーション」に進んでいきます。

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