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2019年コミティア

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2019年に出したコミティア同人誌(オリジナル)のまとめ。 短編集だった。
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ダム

ダム

耳の脇で砂を噛んだような音がした。

外は雲一つない晴天だった。昨夜半端にしめたカーテン越しに差し込んでくる光が眩しい。目が覚めた途端ベッドの中が暑くて、早々に起き上がる。この部屋には時計がないのでテレビをつけた。日がすでに高かったので予感はあったが、家を出ようと思っていた時間の十分前だった。なんとなく億劫でアラームをつけなかった弊害がばっちり出ていた。

六月の下旬を過ぎたが、まだ梅雨入りのニュ

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アンナとハンナ

アンナとハンナ

 お姉ちゃん、と雛乃は言った。「私、川に行きたい」。

なんだかわざとらしいぐらい、フロントガラスを真っ直ぐに見つめていた。

「ドブ川でもいいの?」

 私は、泥のついたジャガイモを洗ったときのように、底の見えないほど淀んだ川を思い浮かべながら言った。あの川が一番家から近い。ザリガニさえ釣れないのだと聞いた。いつからあるのか、所々に黴の生えたクーラーボックスがずっと川岸に落ちていて、誰も手入れを

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プール

プール

夜のプールは昼に見るかたちとまるで違う。粘度が高くて体の形にまつわりつくようなのに、どうしても白々しい。体を冷やす以上のことはけしてできず、沁み込んではいかない。

 草野は泳ぐことが嫌いではなかったけれども、得意じゃなかった。二十五メートルを泳ぎきれるかさえ怪しい。はじめ、スクロールの練習でもしようかと思って泳ぎ始めたら、三メートルもいかないうちに夏帆にとめられてしまった。

「音も波もたちすぎ

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エイリアンズ

エイリアンズ

莉穂は力いっぱい目をつぶり、引き換えに大きく口を開けている。懸命に後ろに体を傾けるので、背後に立ったみさきは腿で倒れてくる背中を押し戻している。銀のヘラを舌に押し当てられて、莉穂は小さくえづいた。粒のような歯がヘラに当たってかちっと鳴る。

「なんともありませんね」舌圧子を引っ込めると医者は言った。

 俯き加減のスイカより一回り小さな頭が不満げに揺れた。莉穂は足をぶらつかせ背もたれのない椅子の脚

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