[詩]無駄

傷痕をかぞえて
同じ数だけ薔薇を燃やす
ひと匙ぶんのサラダ油
垂らせば花弁は身をふるわせる
そうしたらひとしきり祈る
どうか幸福であるよう。

灰はベランダから撒く
(安全のため日中は行わないこと)
排気ガスにさらわれすぐに消える
ひらひら落ちる燃え殻
これが終止符の風景

お風呂場で油を傷痕に垂らしても
ひやっとするだけ
ばかばかしくてすぐに石鹸をつける
水をかけると
油はぬるぬると肌に残ったまま

朝、
光射すベランダに肌をさらせば
熱を帯びる傷痕
いつもの朝をむかえる只中で
ふと、
油の焦げる匂い


※この作品は7/7(日)にさっぽろテレビ塔で開催される「第四回文学フリマ札幌」にて所属サークル「座す」(う-48)の発行する冊子「座す Vol.1」に収録されます。

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