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君の名前で僕を呼んで/Call Me By Your Name

まるで絵画みたいな映画。たまらなく好みでした。
私の中で  “絵画みたいな”  と感じる映画はいくつかあって、トム・フォードの映画などもその一つなのですが、今回はまったく違った、でも確実に  “絵画映画だ!”  感じる最高の映画でした。
初めの1枚目のカットから一気に広がる心地よい世界、映画館にいるのに気持ちの良い風が横を吹き抜けていくのを感じるほど。
冒頭の、エリオが出ていった後の窓辺のシーン。
風で揺れるカーテンのシーンがとても印象的で、いっきに入り込んでしまいました。
終始、水や風、光が印象的で、それらが作り出す  “時間”  “間”  の使い方が絶妙で最高。
絵画や写真にも共通するのですが、風や光、空気といったその世界・空間を感じられる作品があって、そういった作品に出会えたときは本当に幸せです。
この映画は、自分はそこに居ないけれど、その作品の中に、そのシーンに自分が居るような。
ここには存在しないけれど、まわりにその世界の空気が広がって、その世界に包まれているような。
そんな錯覚を与えてくれる映画でした。

終盤のパパの言葉には号泣させられました。
そしてむかえるエンディング。
暖炉の前のエリオの表情、その移り変わりが本当に美しく、物語のすべてが詰まっていて思わず唇を噛み締めてしまいました。
それとは対照的に、後ろで流れる日常の風景。
母親に呼ばれ振り返る最後がもう完璧で、本当に素敵な映画に出会えてよかったとまた涙。
また一つ、大好きな映画が増えました。
個人的には、1人で静かに観たい映画です。


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