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はずかしい【恥ずかしい】

あとあと恥ずかしいことばかりが人生を盛り上げていくのだ、と。
~寛生

パスタソース【pasta sauce】

軽薄な夜風が ホテルのテラスを ベランダを テーブルのワインを辱めてゆく パスタのソースのよう
~井上陽水奥田民生『パスタ・セレナーデ』

はるかぜ【春風】 

遠く汽車の窓辺からは春風も見えるでしょう
ここで涙が出ないのも幸せのひとつなんです
ほらまた雨が降りそうです
~くるり『春風』

ひさいちにわらいを【被災地に笑いを】

よく「被災地にも笑いを」なんていうヤツがいるけど、今まさに苦しみの渦中にある人を笑いで励まそうなんてのは、戯(ざ)れ言でしかない。しっかりメシが食えて、安らかに眠れる場所があって、人間は初めて心から笑えるんだ。悲しいけど、目の前に死がチラついてる時には、芸術や演芸なんてのはどうだっていいんだよ。
~ビートたけし

ひとり【独り】

「人間はひとりでは生きられない」ということはよく言われることですが、「ひとりでは生きられない」という事実をむしろ積極的に「能力」としてとらえなおすことだってできるのではないかと私は思います。
「ひとりでは生きられない」からこそ私たちはコミュニケーション能力の開発に、他者と共生する仕方の工夫に惜しみなく資源を注ぎ込むのです。
~内田樹『ひとりでは生きられないのも芸のうち』

ひろゆきみたいに

ひろゆきが「経済学者はそんなに経済に詳しいならお金持ちになってみろよ!」とドヤ顔で語ってる動画を見たんだが、経済というのは基本国民全体を儲けさせる学問であり、自分が儲けるのはビジネス。ひろゆきみたいに経済とビジネスを混同してる人が新自由主義思想に染まるんだろうなと思った。
~贅沢微糖

ふあん【不安】 

不安なときにひまにしていると、
体から心が離れて、どんどん不安に力を与えてしまう。
~よしもとばなな『ハネムーン』

ふうけい【風景】

毎日毎日見る風景ってすごく大切だと思うのです。
~蜷川実花

ふゆかいなにんげんかんけい【不愉快な人間関係】

「不愉快な人間関係に耐える」というのは、人間が受ける精神的ダメージの中でももっとも破壊的なものの一つです。できるだけすみやかにそのような関係から逃れることが必須です。逃げ場を見つけられず、そのまま不愉快な人間関係の中にとどまっているうちに、やがて「耐える」ということが自己目的化し、「耐える」ことのうちに自己の存在証明が凝縮されてしまったような人間が出来上がります。
~内田樹『疲れすぎて眠れぬ夜のために』

ぶんしょうのほとんど【文章のほとんど】

僕たちが今読まされている、聴かされている文章のほとんどは、血の通った個人ではなく、定型が語っている、定型が書いている。
~内田樹『街場のメディア論』

へいせいのしょうひしゃ【平成の消費者】

平成の時代に、一億総中流であると自覚した日本人の多くは、「消費者」こそが主権者であると時代に持ち上げられ、「消費者」こそが自由な「個人」であると消費生活を謳歌した。
これから先、自ら進んで孤立化し、自己責任論を振りかざす「消費者」というものが、実は大企業者、為政者によって作り出された使い勝手の良い「顧客」であるに過ぎないことに気がつくことがあるのだろうか。
それには、この国に「消費者」個人主義が出来上がったのと同じほどの、長い時間が必要であることだけは確からしく思える。
〜平川克美「『消費者』主権国家まで」

へいせいのにほんじん【平成の日本人】

スマホを常時携帯しつつ、仲間の意図と自己の相対的位置を四六時中チェックしている平成の日本人は、側線を介して水流と水圧の変化を随時感知しながら、群れの中における自己の位置を永遠に微調整しているイワシに似た生き物に変容しつつある。
つまり、私ども日本人は、平成の30年を通じて、単なる個人としての自分自身にではなく、より巨大な集団の中の一員であることにアイデンティティを抱く群生動物に進化したわけですね。
なので、社会性昆虫ライクな人類である平成の日本人は、実質賃金が伸び悩んでいるみたいなことにいちいち不満は持たない。なんとなれば、賃金もまたあまたある宿命のひとつに過ぎないから。
〜小田嶋隆『ア・ピース・オブ・警句』