hirorinn000

長編を書こうと思っています。 題は「風化の頃」。キリンジの好きな曲からとってます。いま…

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長編を書こうと思っています。 題は「風化の頃」。キリンジの好きな曲からとってます。いま投稿しているのは主に風化の頃に入れたいワンシーンです。文章は下手くそなので何かアドバイス等ありましたらなんでもおっしゃってください!

最近の記事

僕とキリンジ 

 この記事を閲覧された方のうち、いったい何人がキリンジ(もしくはKIRINJI)についてご存じでしょうか。いやしかし、読者の方がキリンジについて知らないからといってそれは問題ではありません。これは自己満足的なゆがんだ欲求によって投稿された文章の書きだしとして適当でないにしても、僕の好きなバンドについて紹介する記事としてはある意味をもつでしょうから、この書き出しについてそれ以上の意味はありません。  さて、僕とキリンジと題した以上この記事では僕とキリンジの歴史について話さなけ

    • 散文ラブレター

       (これはある種のトートロジーだが)自然の美しい山の中腹に、まるで抱き合って冬を凌ぐ二匹のキツネのように隣り合わせで建っている2軒の家に僕らはそれぞれ生まれた。  「風に流れる細い髪から窺われる君の横顔が好きなんだ」なんて夜半の月の前で何度だっていえたろうに、すまし込んだセリフを心にとどめたまま、ついぞ君に明け渡せなかった僕の自尊がいつまでも残余している。この自尊と懐羞がいつまでも喉に詰まって剝れない。  君は一人娘で家には祖母(祖父は君の生まれる前に亡くなったという)と

      • 日記

        ここ最近は心(情緒)の機能のほとんどが働くなっている気がする。体調がよくないのもあるし、学期末というのもある。 幼いころ頭痛や腹痛に苦しんでいるとき、僕は一生この痛みと添い遂げなければいけないと思われてたいへん鬱屈したが、今もこんな感じである。 今週を乗り越えれば何とかなるだろう。僕は自棄っぱちのオプティミストなんだ。何とかする。

        • 簡単な契り

          結婚ってブラックコーヒーみたいなものね ひとつも甘くないのに みんな飲んでるからついつい飲んじゃう あの日 あなたと契ったブラックはちっとも苦くなかったわ あなたとみらい 信じてたから もう一度あの味 確かめたくっても あのカフェはもうない あなたが唯一、部屋に残したコーヒーの木 わたしへの当てつけのつもり? 一人で淹れた 不味いインスタント・コーヒー 今年も白い花が咲いては枯れる

        僕とキリンジ 

          永訣、ローマ字、ストロベリー・タルト

          ほとんどの付き合っている男女の別れ方がそうであるそうに(僕らはけっして恋人という関係ではなっかたのだが)一応、僕らにあった出来事を話し合いながら最後の食事をとった。僕らはまるで秋のクマのように記憶の中にある思い出を片っ端からひろってそれについて話し合った。そのほとんどは普通のカップルにとってはとるに足らない日常の些細なことだったが、来たる孤独の季節にむけて一つでも多くの美しい思い出を僕の心の最奥にとどめておきたかった。  白い陶器の食器に落ちた暗い蛍光灯の鈍い輝きが僕に冬の到

          永訣、ローマ字、ストロベリー・タルト

          フォルムだけでもいい

          緩慢な時間の中で 微小な持続の間で ちょっとの君を見つける 例えば37%くらい? あるいはもっと… 遥かな記憶の底で蟠る君の姿を  ふと思い出すことがあっても すぐに何処かに行っちまうよ 目の前でエレベーターの扉が閉まるみたいに 重厚で絶対的な金属製の扉の向こうで 振り向きかけた君を そのフォルムだけでも抱きしめたい ってハコの中でまだ考えてるんだぜ

          フォルムだけでもいい

          FLEE FOR FREE!!! 

           目が覚めると夕暮れだった。どうやらあれから一日中寝ていたらしい。  寝室は初夏の淡い夕暮れに染まっていた。寝室をでて、キッチンの戸棚を開きガラスのコップを取り出した。ガラスのコップはすでに澱んだ夕陽でいっぱいだったが僕は構わず蛇口のレバーハンドルを上げコップに水道水を注いだ。新品の細いロープのような澄んだ清潔な水が一直線にコップに向かっていき、それに従ってコップは次第に輝きを取り戻しついには水で満たされた。僕はその水を飲みほす。乾いたのどが潤っていくのを実感するのと同時に、

          FLEE FOR FREE!!! 

          雷って、怖いよね

           初夏の街は今日も雨だった。僕の街は雨濯のうだるような蒸し暑さに憑かれていた。  僕はむっと熱れのする帰途についていた。大学前のバス停には僕以外にいなかった。駅行きのバスはあと17分待たなければ来ない、立って待つのも立ち草臥れるので僕は木のベンチに座った。雨音はいい加減にテンポを変え続けていて、それに紛れて微かに時報のチャイムが聞こえてくる。時報は僕に時刻が午後18時であることを教えてくれた。バス停のある並木通りはいつもは百色の傘に彩られるのだが、今日はほとんど人がいなかった

          雷って、怖いよね