新在留資格「特定技能」、ついに始動(2)

前回は、「特定技能」導入の背景について簡単に解説したが、今回は、「特定技能」の概要(上)を解説する。「特定技能」には、1号と2号の2種類があるが、まず1号の概要をメインで解説しつつ、その中で2号との違いに言及する。

①目的:深刻な人手不足に対応するため、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人材を受け入れること

②学歴要件:無し

③実務経験要件:無し

⇒専門的・技術的分野(例えば、技術・人文知識・国際業務)の在留資格とは異なり、学歴や実務経験は不要である。ある意味、試験に受かりさえすれば門戸は開かれる。

④日本語水準要件:1号→ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力を有することを基本とし、特定産業分野における業務上必要な日本語能力水準、2号→無し

⇒1号の日本語水準要件の充足性は、基本的に試験等で確認されるが、技能実習2号を良好に修了した者は、試験等が免除される。

⑤技能水準要件:1号:特定産業分野における相当程度の知識又は経験を必要とする技能、2号→熟練した技能

⇒1号と同様に、1号技能水準要件の充足性は、基本的に試験等で確認されるが、技能実習2号を良好に修了した者は、当該試験等が免除される。但し、免除されるのは実習内容と関連性の有する技能試験に限られる。そして、2号技能水準要件の充足性は、試験等によってのみ確認される。すなわち、特定技能1号から移行される制度はないため、1号にて5年間在留していたとしても、2号の技能試験等に合格しなければ2号を取得できないし、他方、1号を経由せずとも、2号の技能試験等に合格すれば、2号を取得することができる。なお、1号の技能試験は、介護、宿泊及び外食業についてはすでに開始しており、他の分野についても今年度中に開始する予定である。他方、2号の技能試験の開始は2021年を予定しており、当分の受け入れはない。

⇒日本語要件と技能水準要件のハードルは低いものではないので、現実的には、技能実習制度からの移行が認められるものを除いては、他の在留資格(例えば、留学)で在留している間に日本語能力・技能を習得し、試験に合格することを目指すことになろう。

⑥在留期間:1号→1年、6か月又は4か月ごとの更新(通算で上限5年)、2号→3年、1年又は6か月ごとの更新(上限なし)

⑦家族帯同:1号→不可、2号→要件を満たせば可(配偶者、子)

⑧永住権取得において在留期間がカウントされるか:1号→カウントされない、2号→カウントされる

※(3)は、「特定技能」の概要(下)を解説する。

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