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明け方の夢日記

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逃亡者

逃亡者

まずいことをやらかしてしまい、ばれる前に逃げようと、家出をした。
迎えに来た大人たちの車に乗り、知らない土地へ逃げることに。

真っ当になりたかったのにもうかなわない、これからは犯罪を重ねて生きるしかないのだ、という薄暗い気持ちがじわじわとしみこんでくる。大好きな家族のいる実家ではもう暮らせない。

途中立ち寄ったドンキで財布をすられ、わずかな全財産とカード類、身分証明を全て失った。
私という

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帰る場所

帰る場所

その家で、暮らし始めた日を覚えている。

玄関から奥へ伸びる廊下を抜けたつきあたり、大きな窓のある台所に、4人掛けの食卓があった。出迎えてくれた祖母と叔母。叔母はにこやかに、当時人気のアニメキャラクターが印刷された、小さなブリキのトランクをくれた。

古い2階建ての木造家屋。大工の大叔父が建てたという住まいは、慎ましく清貧だった。窓が多く、光がたくさん入るようになっていて、その分夜はずしりと暗かっ

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空を飛ぶ夢

空を飛ぶ夢

毎日、空を飛ぶ夢ばかり見ていた。

地面を蹴って、からだが浮かぶ。思ったとおりのところへ飛んでいける。風景が、あるくよりずっと早くながれていくのを横目でみながら。たまにほうきにのったり、のらなかったり。海に浮かぶ小さな島まで行って、きれいな色のジュースをのんだり、木に実っているお菓子を食べたりもした。

学校は毎日行った。仲間はずれにされても、無視されても、悪口を言われても、ものを投げつけられても

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はじまりの感覚

はじまりの感覚

顔合わせの飲み会で、向かいに座っていたのがその人だった。
お世辞にもおしゃれとはいえず、髪は少し長めでぼさぼさ、無精髭も伸びていた。眉だけはきりっとひきしまり、目は細く鋭い。周りで話が盛り上がっていても、会話に加わることはなく、たまにつられて笑ったりしている程度。どことなく漂う薄暗い倦怠感。
少しも好きなタイプの人ではなかったけれど、怠惰そうに傾けた首すじのラインをきれいだと思った。

会の目的で

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覚書 ばぁちゃんが会いに来た

覚書 ばぁちゃんが会いに来た

家に帰ったら、居間にばぁちゃんが座っていた。おばちゃんが、ばぁちゃん来たよ、と言った。ばぁちゃんはにこにこ笑っていた。よく知っている、体調を崩す前のばぁちゃんで、中身だけ若返ってしゃきしゃき話をしていた。家も、いまの実家ではなく、幼いころ住んでいた古い懐かしい家。

ばぁちゃんはいつも半透明に透けていてさわれなかった。だけどいるだけで嬉しかった。ばぁちゃんはときどき姿が見えなかったけれど、あるとき

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